第8話 天使
「ふう……よしっ! 今の俺ならできる! 完璧に再現できる」
とうとうこの時がやってきた。
俺は俺の持つ全ての力を今この瞬間に注ぎ込む!
「出でよ! 絶世の美女! セラフィーーーム!! 『創造』!! 」
俺は女神の島の砦の最上階の広間で、恋人であるリム三姉妹が見守る中。足もとに置いた魔石へと創造魔法を発動した。
魔法が発動した瞬間。SSランク近い魔石なだけあり、眩い光を放ち辺りを包み込んだ。
そして数十秒ほど経過した頃。魔石があった場所には、6枚の白い羽に身を包んだ
『鑑定』
俺は創造魔法がうまくいったか確認するために、セラフィムの胸と股間を凝視しながら鑑定を行った。
熾天使
種族:天使
体力:A
神力:SS
物攻撃:S
神攻撃:SS
物防御:S
魔防御:S
素早さ:A
器用さ:S
種族魔法:第三階級 天罰Ⅲ
「おお……ヴリエーミアのところにいた時と同じ能力だ。セラフィム。俺を覚えているか? 」
俺は時の古代ダンジョンで、俺と戦ったことを覚えているか確認した。
「……はい。ヴリエーミア様のダンジョンに挑んだ勇者……様です」
「記憶も復元できたか。セラフィム。今後名をセーラに変え俺に従え」
「はい。新たな主に従います」
よしっ! 創造魔法で造られた物は絶対服従するので大丈夫だとは思ってはいたが、俺が一度殺しているからな。従うかどうかの確認は必要だ。
しかし燃えるような赤い髪に、透き通るほどの白い肌に美貌。Fはある大きな胸に細い腰に突き出た尻。賢者の塔のセラフィムよりも能力が少し低く、胸も1カップほど小さく見えるが顔はソックリだ。あっちは実体が天界にあるから創造するのは遠慮したが、ヴリエーミアの配下だったこの子も極上の女だな。
「あんなダンジョンにいるよりは楽しい毎日を送らせてやる。それで今後はセーラに天使たちを率いてもらおうと思ってる」
「天使……達……ですか? 」
「これからセーラのように創るんだ。とりあえず300人創る。主天使や力天使など希望があれば言え。エンジェルキッズと天騎士は却下だ。あいつらの面倒なんて見たくないからな」
セーラも使いやすい配下の方がいいだろう。エンジェルキッズたちはイタズラ好きだし、天騎士は男の天使だからいらない。
「とりあえずで300……でございますか。さすが我が主です。では
「わかった。まずは主天使からやろう。ミラ! セーラにはデビルスパイダーの糸で作った天使の衣を渡してやってくれ。リムとユリは主天使以下にはデススパイダーの天使の衣を頼む」
俺は側に控えるリムたちに、創造をした子たちへ順次天使の衣を渡していくように頼んだ。
これはホビットたちに作ってもらったシルクのような手触りの布だ。それに天使の護りの魔法を付与してある。主天使は結界持ちだから必要ないっちゃないが、発動が遅いからな。保険として身に付けさせるさ。
「うん! わかったよ! 」
「ハッ! すぐに渡します」
「それじゃあどんどんいくぞ! 『創造』 」
俺はリムたちの返事を聞き主天使、力天使、能天使と創造をしていった。
彼女たちは皆美しく、そして全員が俺に服従を誓った。主天使がトラウマを持っていて俺に怯えていたけどな。時の古代ダンジョンで自信があった結界を破られて、俺に真っ二つにされたからまあ気持ちはわかる。おとなしい見た目なのに、あの時は目ん玉が飛び出るくらい驚いてたしな。
続いて大天使以下を創造していったが、この辺になると蘭が特にダンジョン別で魔石を分けてなかったので、雷神島のダンジョンの天使たちがごっちゃ混ぜになっている。でも多分俺を見て必要以上に驚いていたのが雷神島の天使たちだと思う。あの頃の俺はSランクで結構ギリギリで戦っていたしな。
それがEXランクになって神力まで身に付けてるんだ。そりゃ驚くわな。
そうして俺は300人の天使の創造に成功した。全員生前の能力を引き継いでいるし、今後ランクアップも可能だ。もちろん肉体は完全に復元しているから、主従の壁を少しずつ薄くしていきセクハラにならないスキンシップができるように頑張ろうと思う。
大丈夫だ。俺はあのダークエルフの女の子たちを、化粧とおしゃれを意識するようにさせた男だ。今じゃ不意打ちで、後ろから抱きついてきてくれるようにまでなっている。できる! 俺ならあと7ヶ月後のロットネスト島の夏までにできる!
「光魔王様。全ての天使たちに衣を配り終えました」
「ああ、ありがとうリム。こっちにおいで」
「は、はい! 」
リムは俺が呼ぶと顔を俯かせながら小走りでやってきて、俺の隣に寄り添うように立った。
俺はそんなリムが可愛くて肩を抱き寄せ、リムが俺を見上げたタイミングで舌を絡め合う濃厚なキスをした。
後ろでミラがズルイやとか言っているが、多分3人の中で一番多くキスをしているのはミラだからな。俺はスルーしてリムの唇を味わった。
「あ……んっ……」
「セーラ。彼女はリム。元はサキュバスで今は聖魔人であり俺の恋人だ。後ろにいるミラとユリも俺の愛する恋人だ。しばらくは彼女たちに従え。彼女たちからこの世界の言葉を教わり、この世界での生き方を学べ」
「ま、魔族の下に……ですか? 」
「なんだ? 俺は元は勇者だが、魔王軍を率いて二つの国を滅ぼした魔王でもある。不満か? ならお前たちには消滅してもらう。愛するリムたちに逆らいそうな奴は近くに置けないからな。『セイクリッドクロス』 」
俺は聖剣を取り出し、魔族に従うのに抵抗があるセーラとその配下の天使たちの周囲にセイクリッドクロスを放った。
俺の聖剣を通して極限にまで増幅され、圧縮された光り輝く6つの十字架は、彼女たちの周囲をゆっくりと旋回していった。
《ひっ! せ、聖剣! 聖剣!! 》
《あ……ああ……あの時の……ひいぃ! 》
《セラフィム様! セラフィム様ぁぁ! 》
「しゅ、主よ! お怒りをお鎮めください! 私たちは主に歯向かうことなど思っておりません! 私たちと対極にある魔族の下につくということに驚いただけでございます! 主の御命令であれば、リム様に服従を致します! ですからどうか! どうかその最上級魔法を放つのだけは! 私を含め全員が消滅してしまいます! 」
「わかればいい」
俺は膝をつきこうべを垂れるセーラにそう言って魔法を消し、聖剣をアイテムボックスへとしまった。
やっぱ魔族の下は無理があったか。でも、以蔵たちは手一杯だしな。リムしかいないんだよな。
あーあ、こんな脅すようなことをしたら、壁が分厚くなるだけなのにな。サキュバスと天使たちとの楽園計画が延期になりそうだな。
「あ、ありがとうございます。そ、それにしても恐ろしいほどの神力……もしや主は神になられたのでは? 」
「ん? ああ、半神にはなってるな。リアラとアマテラス様とヴリエーミアが言うには、現人神になるのは時間の問題らしい」
リアラに原因を聞いてから2ヶ月経つが、神力の増加がとどまるところを知らず増え続けている。俺はヴリエーミアにもなんとかならないかベッドで聞いたけど、ヴリエーミアは俺が神界で出世するわって喜んじゃって全然協力してくれないんだ。
もう俺は諦めたよ。現人神にでもなんにでもしてくれ。
「なっ!? やはり……既に半神になっていらしたとは……人族の神が誕生するなど何万年振りの……主よ。改めてこのセーラ。身も心も全て主に捧げることを誓います。夜伽も経験はありませんが、必ず身に付けて務めさせていただきます」
「え? あ、ああ……その時は頼む」
え? どういうこと? セーラの目が潤んでるんたろけど? いや、主天使も力天使も大天使たちまでさっきと表情が違うぞ? もしかして神って天使にモテるの? 医者と看護師の関係みたいなもん?
こりゃダークエルフたちと同じコースで行けそうだな。いやいやいや、怖がられたと思ったけど怪我の功名だな。
「うふふ、セーラさん。房中術は私が教えて差し上げますわ。光魔王様は私のテクニックを褒めてくださってるんですのよ? 」
「それほどの……それは助かります。どうか私と配下の者たちをよろしくお願いします」
「ええ、光魔王様もきっと協力してくださいますわ。そうてすよね? 光魔王様? 」
「当然だ。セーラたちがこの世界に慣れるまでは協力は惜しまない」
ユリ! グッジョブ!
俺はエロい方面ではいつも俺の援護をしてくれるユリに、心の中でよくやったと叫んでいた。
「うふふ、それではリム姉様。セーラさんたちを2階のお部屋に案内をしましょう。配下の者は全て引越しを終えてますから」
「ああ、それではセーラ殿の今後生活する場所を案内する。そこでこの女神の島での注意事項を説明する。付いてきてくれ」
「「「「「はっ! 」」」」」
リムはセーラたちにそう言って、彼女たちをサキュバスとインキュバスたちが生活していた二階の居住区へと連れて行った。
砦に長いこと生活していたサキュバスたちは、横浜の自宅近くに建てたマンションが完成したからそこに全員移住させた。そこの最上階はワンフロアー全てが俺とリムたちの部屋となっていて、俺はそこへ通いながら彼女たちを愛し子を作ることになる。
リムは最初は俺と出会ったこの砦から離れたくないと言っていたが、俺が物理的にも近くにいて欲しいと言ったらすぐに引越しを始めたよ。ほんと可愛い女なんだよな。
さて、何はともあれ最高の形で天使たちを創造することに成功した。
これで俺の夢を実現する女の子たちは揃った。
あとは彼女たちの心を解きほぐし、約束の地であるロットネスト島のヌーディストビーチで夢を叶えるだけだ。
あと7ヶ月。必ず俺はあの地で楽園を作ってみせる!
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