第61話 ハーレムへの道







夏も終わり季節は秋を迎え肌寒さを感じるようになった。

秋といっても紅葉もなくそれどころか草木の一本もない街で、俺は東京ドームに荷物を山積みにしたリアカーを引いてせっせと移住する人々を眺めていた。


「光一よくやった。中世界草原フィールドのボスを倒したそうじゃないか」


「師団の連中のお陰でトロールキングに集中できたからな。1対1ならたいした魔物じゃない」


「フッ……そうか。しかしこれで日本は中世界草原フィールドを3つ攻略したからな。次は森に挑んだ方がいいな。ちょっと厄介なのがいたがまあ大丈夫だろう」


この間森素材を確認しにいった時にパニックコンドルと王猿らしき反応があったんだよな。王猿がいる森ならボスにぬえがいる可能性がある。顔が猿で胴体が狸じゃなくて虎で尾が蛇だから日本の物語に出てくる鵺とはちょっと違うんだが、似ているから過去の勇者がそう名付けて定着したらしい。

ちなみに王猿は魔猿をデカくした緑色の巨猿だ。パニックコンドルと同じくBランクで、鵺はAランクとなる。


鵺の厄介なところはその素早い動きと拘束系の闇魔法に尾にから出る猛毒だ。中級解毒薬をあらかじめ飲んでおかないと戦うのは危険だろう。Aランクの光一なら耐えられるかもしれないが軍の奴らは無理だ。

最初は俺が解毒薬を支給するが、次からは攻略した森で採取してもらわないと厳しいな。

ボスが現れる場所が固定ならボスに挑む奴だけ持っていればいいんだが、どこに現れるかわからないのがキツイ。


「鵺か……草原みたいに力勝負とならない森はやっぱり難易度が高いな。小世界の森でさえ毒系の魔物のせいで初級解毒薬を多く使うというのにな」


「救済軍よりは恵まれてるだろ。前回の森攻略で解毒薬不足でかなりの犠牲を出してるからな。それに魔力感知や探知の魔法をしっかりモノにしていれば森なんて草原と変わらないさ」


初級解毒薬はレシピなんて無くても作れるが、錬金魔法を使える者の数が救済軍は圧倒的に少ないからな。

ポーションといい錬金魔法を使える者の数といい日本は恵まれている。その日本を村八分にした米国はホント馬鹿だよな。


「探知は俺も夏美もフィールドだけじゃなく、家でも毎日魔力が切れるまで使ってる。おかげでお袋の位置が常にわかるから、夏美とエロいことしまくれるのがいいな」


「光一……」


いや、俺もダンジョンでそういう使い方をして夏海を興奮させたりしてるが……


「探知はフィールドでも私生活でも便利な魔法だよな! 」


「あ、うん。実は遮音という初級空間魔法もあってな? 」


「ください! 凄く欲しい! 音だけが悩みだったんだ」


あっ、やっぱり食い付いた。


「今のランクじゃキャパがもう無いからSランクになったらな」


「うおおお! やる! やってやる! 遮音と探知のコンボなら路地裏でだって……」


もうやだこのエロ猿……

俺は俺と同じ顔をして、気持ち悪い笑みを浮かべながらやる気に満ちている光一を見て少し傷付いていた。


「明日、日本軍が装備の補修などで準備している間に新生オーストラリア軍を連れて中世界森フィールドに挑むが参加してみるか? 」


「参加する! 夏美も玲も連れて行くよ」


「玲? ほほぅ……そうか、ヤッたか」


「ふ……ふへへ……休日に二人で砂漠フィールドで訓練した時にね。いやぁ普段冷たい表情の子がデレて乱れてで最高だったよ! 」


「そうかそうか、おめでとう! ハーレムへの第一歩だな! まだあの精力剤は使うなよ? 使うのはもう一人くらい増えてからだな」


「ありがとう! これも光希のおかげだ! 強くなればモテる! あの言葉に嘘はなかった! どんどん増やしてあの薬を使えるようになるよ! 」


「馬鹿野郎! 増やせばいいってもんじゃないぞ? 夏美に寂しい思いをさせたらお前にハーレムを作る資格は無いからな? きっちり平等に愛してこそのハーレムだ。忘れるなよ? 」


釣った魚に餌をやらない奴にハーレムを作る資格などない! 俺だって毎日恋人たち全員を気に掛けて、二人っきりになる時間を作ったりと努力してるんだ。全員といつまでもラブラブでいてこそ理想のハーレムなんだ。


「ハッ!? そ、そうだ……一番辛い時期にずっと寄り添ってくれていた夏美に寂しい思いなんてさせたら……わかったよ。必ず全員を平等に愛して決して寂しい思いなんてさせない! 蘭さんに凛さんに夏海さん、それにシルフィーナさんを常に笑顔にさせている光希みたいになるよ! 」


「……セルシアもだ」


「え? あれ? セルシアさんは可愛い妹みたいな感じだったって……」


「い、妹属性もいいかなと……」


そう……蘭の策略により、俺はとうとうセルシアに手を出してしまった。

まさか蘭が超精力剤を作れたとは……それを食事に盛られるなんて思ってもいなかった。

そして凛と夏海とシルフィーナと共謀して、俺が理性を忘れて猛っている時にセルシアを寝室に引き込んでいたなんて……

やってる最中に気づいてとうとう手を出してしまったかという思いと、まあ時間の問題だったしなという諦めの気持ちが俺の中に渦巻いた。この世界に来てからずっとお風呂で寸前のところまでしてたからな。

俺に懐くセルシアを気に入っていたのも確かだしまあいっかと思ったのは確かだ。

俺は腹を決めて素直にセルシアに愛しいと思ってると伝え、涙を流して喜ぶセルシアにキスをして優しく愛したよ。


蘭が言うにはセルシアは俺がダークエルフとリムたちと急接近しているのを見て焦っていたらしい。それで蘭に相談して一計を案じたというわけのようだ。やっちゃえばいいんですとか蘭らしい考え方だよな。

ほかの恋人たちもシルフィーナはセルシアとは古い友人だから当然として、毎日一緒に風呂に入ってる凛も夏海ももういいんじゃないかなと思って手伝ったそうだ。

その時に20人くらい増えるのは覚悟してるけど、私たちに寂しい思いをさせたら家出するからと脅されたっけ。さすがに20人は俺だって無理だけどな。


セルシアの気持ちはわかっていたし俺も独占したいと思ってはいたが、脳筋を二人抱えることに二の足を踏んでいたことでセルシアに行動を起こさせてしまった。男として情け無い限りだ。


「セルシアさんに手を出したのか……そうか……いや、凄い美人だしスタイルも抜群だし羨ましい……よ? うん、羨ましい……かな」


「無理するな。あの脳筋の制御は大変だが、まあ可愛いやつだよ。俺に全てを委ねてくれてるしな。幸せにしてやるつもりだ」


「すげーな光希……さすがドラゴンを従えてるだけあるわ。でもすげー美人だしな……いや、やっぱりアリだな! 多少のトラブルなんてあのセルシアさんと相思相愛になれるならアリだな! 」


「多少……で済めばいいけどな。まあ俺の言うことはちゃんと聞くからそこまで大変じゃない……と思う」


たいていが俺がいないとこでやらかすんだけどな。シルフィーナがしっかり見ておくと言ってたしな。蘭とセルシア二人をしっかり見れるかどうかは怪しいが……


「なんにしても恋人を五人に恋人候補がリムさんたち三姉妹に紫音さんと桜さんもいるんだろ? さすが俺だな! 俺もこの世界で後を追ってみせる! うおおお! 漲ってきた! 頑張って攻略して森フィールドに家でも建てるかな! 」


「そうだな。いつかあの子たちの気持ちにも応えてやりたいな。凛と夏海の顔色を見ながらだけどな」


蘭とシルフィーナにセルシアは恐らくどんなに増えようがなんとも思わないだろう。いや、むしろ増やそうとしているくらいだ。だが凛は寂しがり屋だし、夏海も定期的に二人きりの時間を作らないとすぐネガティブな思考に陥るからな。いずれ大ハーレムを作りたいが今はダメだ。焦ってはいけない。少しずつ少しずつだ。それまでは隠れてコソコソするくらいがちょうどいい。


「いや〜我ながら策士だな。そうか、俺も夏美をしっかりケアしながら徐々にだな。まずは力をつけてどれだけ増えても守れるようにしなきゃな! 明日は率先して前に出ないとな! 」


「夏美と神崎を守りながらだボケ! ボスが出たらやらせてやるからそれまでは大人しくしてろ」


「あっ、そうだった……森で守りながら戦うのは難易度高いな。気を引き締めていかないと」


「そう言うことだ。それじゃあ明日な。さっき渡した黒蜜餅を忘れずにお袋に渡しておいてくれよ? 」


「ああ、明日! 餅はありがとうな、お袋も喜ぶよ。しかし光希も来ればいいのになんで来ないんだ? 」


「……いいんだよ。お袋が喜んでくれればそれでいいんだ。それじゃあ頼んだぞ! 」


「あっ! ちょっ……ま」


俺は光一にそう言って拠点へと転移をした。

別にお袋に会いたくない訳でも、会ってホームシックにかかる訳でもない。ただ、少し若返ったけどお袋は俺が異世界に召喚される前のお袋のままで……でも俺は異世界で……

あ〜もうっ! 考えたって仕方ないだろ!


よしっ!今日はシルフィとセルシアを連れて屋外でエロいことしよう!あの二人なら開放感に溢れた激しいエッチをしてくれるしな! 滝に打たれながら二人のお尻を交互に……漲ってきた!

俺はモヤモヤする思いを振り払い、スキップをしながら大島の山に訓練に行っているシルフィとセルシアがいるところまで転移をし、滝の前で休憩していた二人にそのまま襲い掛かったのだった。


セルシアは最初は恥ずかしがってたけど最後は何度も求めてきたし、シルフィは大きな声をあげて大喜びだったな。こういう思ってもいなかった時に突然襲われるのがいいらしい。さすがエロフだわ。

そうして日が暮れるまで獣のように愛し合った俺たちは、手を繋ぎながら空をゆっくり飛んで拠点へと帰ったのだった。





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