第57話 天国
ーー 大島拠点 頭領専用テント 霧隠れの以蔵 ーー
「静音、国際救済軍だったか? かれこれ攻略を開始して一ヶ月は経つが、攻略状況などリム殿からなにか聞いてないか? 」
「ええ、聞いているわ。リムさんがインキュバスを交代で派遣しているから色々とね」
「確か森と山岳と海に砂漠を同時攻略していたのだったな。お互い協力し合っているならもう攻略したか? 」
「森と山岳は3日前に一つずつ攻略して担当のインキュバスが戻ってきていたわ。海と砂漠はまだのようね」
「砂漠はよほど慣れた者か探知魔法や獣人がいないと厳しいだろうが、海は船に乗って戦う訳ではないのに苦戦しているのか? 」
この方舟にある海フィールドはお屋形様の御命令で偵察に行った際に見てきたが、海に浮かぶ島から島を大きな橋で繋げておりその橋の上で戦うといったフィールドだった。中級ダンジョンというレベルならば恐らくCかDランクの魔物が相手であろう。ボスが出たとしてもBランクだ。それほど苦戦するとも思えぬが……
「日本軍がいないから魔法使い不足なのよ。ボスのクラーケンは物理だけだと厳しいわ。ドラゴンタートルなんて出てきたらお手上げでしょうね」
「ああ、そうか。そうであったな。魔法がないと海も砂漠も厳しいのは納得だ。期間内に多くのフィールドを攻略しようと魔法使いを分散させたのやもしれぬな。急がば回れという言葉を知らんらしい」
「イギリスが魔法使いを多く抱えているけど、中級魔法を使える者が少なくその練度も低いそうよ。今まで日本に相当依存していたようね。私は森と山岳に集中した方がいいとは思うけど、なかなか諦めきれないみたいよ? 」
「森が残り4つに山岳が9つだったか? すぐに食糧が手に入る海を捨てきれぬのもわかるが……まずは中級の火魔法書を集めてからが確実であろうな。クラーケンもドラゴンタートルも火魔法に弱いゆえな」
まあ、我らの場合は精霊魔法で削っていき倒すことは苦ではないが、人族には厳しかろう。
「お屋形様はリムさんたちに手を出さないよう言っているし、お手並み拝見というところかしら? 」
「お屋形様は日本以外には無関心かと思っていたが、日本以外の国にしかも敵対した国々にチャンスを与えたのがよくわからぬ。放っておけばよいと思うのだが……」
「うふっ、それが私たちのお屋形様のお優しいところなのよ。お屋形様は為政者に対しては厳しい対応をするけど、その下にいる無辜の民には罪はないというお考えなの。だから為政者をいじめつつ民を救う道をお示しになったのよ。悪魔や魔王と言われてもね」
「おお……そうか……そうだな。愚かな為政者の犠牲になる民には罪は無いな。さすが我らのお屋形様よ、なんと慈悲深いことか……」
それでも無制限にお優しい訳ではない。現に南朝鮮に関しては一切の慈悲をお見せになる様子がない。あの国は軍だけではなく民間人も戦後の混乱期に日本に略奪に来たと聞いたからな。もともと日本を恨んでいる国民が多い国というのも関係しているのだろうな。
私も色々と南朝鮮の蛮行を調べたが、中華やロシアより厳しい対応をお屋形様がするのも頷けるというものよ。
「お屋形様にすら見捨てられたのだもの。あの民族に未来はないわね」
「確かにな。未来と言えば我らダークエルフの未来は明るいな。紫音と桜がお屋形様にたいそう気に入られてるそうではないか」
「そうなのよ! 紫音と桜がお屋形様によく呼ばれて、ほかの女忍と一緒にくノ一の訓練を直々に受けているのよ! 」
「おお〜お屋形様から直にか! でかしたぞ紫音! 桜!……しかし静音。女忍たちの様子が最近おかしくないか? どうもあか抜けたというか話し方がおかしいというか……最近は忍び装束を脱いでワンピースを着ている者や化粧をしている者をよく見かけるようになったのだが…… 」
そうなのだ。紫音も薄く化粧をするようになり、桜も話し方が変わったような気がする。それ以上にほかの女忍たちが妙に色っぽくなったというか、おしゃれになったというか……話し方もおかしくなった。お屋形様の訓練の成果と本人たちは言っているがさっぱり意味がわからぬ。それに独身の男衆どもが妙にソワソワしており落ち着かぬ。このままでは規律や風紀が乱れるのではないかと危惧するレベルだ。
「うふっ♪ あの子たちはいいのよ。種の繁栄のためにこのままでいいの。男衆には強大なライバル出現で血涙を流している者もいるけど、悔しかったら強くなりなさいってことよ。でもたとえ強くなっても顔の良さではお屋形様には敵わないけどね」
「なっ!? 種の……そういうことか! 紫音と桜以外はお屋形様にそういった感情を持ち合わせていないと思っていたが、訓練でグッと距離が近づいたのだな。これはめでたい! あれだけいればダークエルフも産まれるであろう。そうか……そうか……」
女忍たちはお屋形様を崇拝しており、異性としては見ていなかった。それでももしかしたらと今回の任務に静音が未婚の者を多く連れてきたが……まさか全員がお屋形様を異性として意識するとはな。これでダークエルフの未来は明るくなった。
しかし里の男衆はこれから相当な努力をしなければならぬな。お屋形様のお手つきになる前に想い人を振り向かせねばならぬ。それは相当な試練であろう。
そもそも我らエルフ種はその寿命の長さから、異性に対して淡白なうえにのんびりし過ぎなのだ。お屋形様という強大な恋敵が現れれば焦りもしよう。これは里にとっても良い傾向だ。
「男衆が好きな女忍を振り向かせるもよし、お屋形様に種をいただけるのもよしで里の未来は明るいわ。私たちダークエルフはシルフィーナ以外のエルフよりは性欲も強いし子もできやすい。紫音と桜にも頑張ってもらわないと」
「うむ、シルフィーナは例外だな。確かエルフ種と人族では3:7の割合だったか? 10人子を作っていただければ3人はダークエルフとして生まれる。これはベビーブームとなりそうだな」
「エルフより子ができやすいと言っても人族同士のようにすぐできないわよ。でもお屋形様は普通の人族とは違い永遠の命をお持ちだから、将来はダークエルフが増えるのは間違いないわ。今のうちに蘭さんにお許しをいただいておかないと」
「そうだな。蘭殿には話を通しておく必要があるだろう。なんだかんだと言っても奥方様の中でお屋形様が一番大切に思っておられるお方は蘭殿だからな」
従魔契約で魂の繋がりがあるのもそうだが、あのお二人は心底お互いを信じ求めあっているのがわかる。やはり辛い時や苦しい時に支え合った相手とは特別なものよ。私と静音のようにな。
それにしても我が里の女忍たちもやるものよの……お屋形様との間にお子ができることを思えば、多少の風紀の乱れは容認するしかなさそうだな。
こちらの世界の小説やアニメなどでは獣人やエルフとのハーフという種が存在するらしいが、我らの世界にはハーフなどという存在はいない。異種族間での交配では子ができる確率は同種族に比べぐっと下がるが、生まれてくる子は父方か母方のどちらかの種族となる。多少身体的特徴が変わる場合もあるが、それは見た目てきには大した変化ではない。エルフなのに少し胸が大きいとか、ホビットやドワーフなのに少し背が高いなどその程度だ。
我が里の代々の頭領の血筋には、遥か昔に我らダークエルフをお救いくださった勇者様の血が流れている。それゆえに頭領の血筋の者は高い能力を持ち、契約精霊の成長が早いのだ。紫音に桜、そして里の女忍たちがお屋形様のお子を産み、3割の確率を越えてダークエルフとして産まれれば我が里の未来は明るいというものよ。
あわよくば紫音と桜を娶っていただければこれに勝る幸せはない。
「以蔵、焦っては駄目よ。お屋形様は情に熱いお方。子作りをする間柄になれば、自然と娶っていただけると思うわ。もしも凛さんたちの反対があったとしても妾にはなれるはずよ。それだって紫音と桜は幸せだと感じるはず。長い時間を掛ければ必ずそうなるわ」
「確かにそうよな。我らが生きているうちに孫を見ることもできよう」
我らの寿命はあと300年ほどか。それだけあれば大丈夫であろう。お屋形様とダークエルフの子か……たいそう強い子になりそうだ。
まさか我らが死んだと思っていた紫音と桜の子を見れるようになるとはな……これも全てお屋形様と出会えたおかげというものよ。
事ここに至っては、我らもオーストラリアの者たちのようにお屋形様を崇める必要がありそうだな。
今度里の者と相談してみるとするか。
ーー グアム ココパームガーデンビーチ in 佐藤 光希 ーー
「あははは! 待て〜 」
「「「「「きゃーー♪ 」」」」」
「『転移』 そこだ! 」
カシュッ カシュッ
シュコッ
カシュッ カシュッ
「きゃ〜 冷た〜い! 光希様ずるいですぅ〜」
「あははは! みんな逃げるの速いからさ。どれどれ……
「え? きゃっ! 透けてる……光希様のえっち♡ 」
「いやははは、これも訓練さ。こうやって男と遊ぶのも楽しいだろ? 」
「……はい。とても……でもそれは光希様だから……」
「それは嬉しいな。じゃあ寧々のその爆乳でまたオイルを塗ってもらおうかな」
「あっ、やだ恥ずかしい……でも……お塗りします……」
「うほっ! あ、いやありがとう。また俺のを挟んでもらおうかな。それじゃあ他の子も捕まえてくるから、ビーチパラソルのとこで待っててくれ」
「は、はい! 御奉仕させていただきます」
「よーし次は誰が当たりかな〜まだ大当たりが出てないからな。大当たりの子には俺が全身くまなくマッサージしてあげるぞ〜」
「「「「「 きゃーー♪ 」」」」」
うはははは! 天国だ! 俺は天国にいるぞ!
いや〜以蔵たちが訓練に行くと言うから恋人たちを置いて付いていってさ、静音に一言いってダークエルフの女の子たちをグアムへと連れてきたんだ。静音は満面の笑顔でどうか女衆たちをよろしくお願いしますとか言ってたな。うんうん、俺に任せてくれ任せてくれってな!
女の子たちも俺がどこへ連れて行って何をするのか察したのか、それはもう嬉しそうに付いてきてくれてさ。グアムにゲートを繋いで潜った瞬間に皆が俺に抱きついてきて、もう俺モテモテよ!
そして恒例のお着替えタイムなんだけど、ここで俺は最終兵器の水に濡れると溶ける水着と水に濡れるとスケスケになる水着を取り出したんだ。どれもビキニタイプの白い水着で、Tバックとかでもないし生地の面積も大きめだ。これを普通の水着と混ぜて皆に好きなのを身に付けるように言ってテントで着替えさせた。
俺はその間にウォーターガンを取り出し水をタンクに入れ皆が出てくるのを待ったんだ。
水着に着替えて出てきた皆は、俺がウォーターガンを持っているのを不思議そうに見ながらもこれから何をして遊ぶのか楽しみにしているようだった。
そんな彼女たちに俺は単純に俺から逃げて、ウォーターガンから出る水に当たらないようにする訓練だと言い訓練を始めた。
そこからはビーチ全体を使って逃げる女の子たちを、追いかけては撃ち追いかけては撃ちの楽しいひと時を満喫している。
ちなみに大当たりは3着ある。さ〜て誰が大当たりを身につけてるのかな〜♪
「…………大当たりはきっと私のはず」
「し、紫音。大当たりってなにかしら? 当たりがこの白いビキニが透けるのでしょ? 」
「……わからない……わ。でも光希様にマッサージして欲しい……わ」
「そ、そうね! 私も光希様にまたこの身体を……恥ずかしい…… 」
「ん? 岩の陰に闇精霊で潜んでいる? そこだ! 」
カシュッ カシュッ!
「…………見つかった……あ……」
「きゃっ! 光希様には通じなかった……わ……え? 」
「おお! 二人とも大当たりか! ほらほらっ! 逃げないと全部溶けちゃうぞ! 」
紫音と桜が静音に比べれば未熟な術で岩の陰の中に潜んでいたので、俺は魔力を通した水を陰に打ち込んだ。すると陰から紫音と桜が飛び出してきたが、既に2人の胸には水が掛かっておりその水着を徐々に溶かしていっていた。
カシュッ カシュッ!
「……あ……」
「きゃっ! む、胸が……あ、下も……きゃーー! 」
「早く逃げないからだ。おっと、もう下まで溶け始めてるから今動くと全部脱げちゃうぞ? 」
紫音と桜は水着が溶けていくことにビックリしたのか動けずにおり、そこへ俺が追い討ちでウォーターガンを撃ち込んだら二人のビキニのトップスが完全に溶け、その豊満なプリプリの胸をさらけ出していた。
うーん、眼福眼福♪
桜はすぐに胸を両腕で隠したけど紫音はノーガードだな。思わずガン見しちゃうよな。
「……いい」
「ん? どうした紫音? 」
「……光希様なら……見られてもへいき」
「し、紫音!? ……わ、私も……い、いいです」
「いやははは、嬉しいなぁ。それじゃあ大当たりを引いた二人には宣言通りあとでマッサージをしてやるからその時にな。とりあえずこの新しい水着に着替えておけ。俺は他の子を捕まえてくるからさ。さーて皆はどこかな〜『飛翔』」
俺は今すぐ見たい気持ちをグッと堪えその場で上空へと上がった。
二人の身体はあとでゆっくりと隅々まで見せてもらうし触らせてもらうからな。
「……あっ……しまった」
「は、恥ずかしかった……わ」
「……ここで抱きつくべきだった」
「ええ!? こ、ここで!? 」
「……光希様を皆が狙ってる……里で一番最初に子種をもらうのは私たち」
「こ、子種!? ……で、でも確かに千鶴も真冬も寧々たちも皆が光希様に抱かれたいって言ってた……わ」
「……桜、恥ずかしがってたら経験がある
「た、たしかに……わ、わかった……わ。私も恥ずかしがってなんていられない……わ」
「……ヤるしかない」
「う、うん! 紫音に付いてく! 」
ん? 二人は何を話してるんだ?
俺が興が削がれるので探知を使わずに空から女の子たちを目視で探していると、紫音と桜がなにやら意気込んでいた。
まあいっか! おっと、二人とも着替え始めたな。
さーて次はあそこに隠れてる仔猫ちゃんにしよかな。あれは雪乃かな? よーし待ってろよ雪乃〜
俺は蝶々を追い掛ける少年が如く、ウォーターガンを片手に女の子たちを追い掛けるのだった。
うはははは! 超楽しい!
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