第56話 国際支援物資
「『ゲート』 よし! 繋がったぞ! 輸送部隊はどんどん運び込め! 終わったらあっち側で宴会だ! 」
「ハッ! 第三後方支援連隊前進! 宴会では酒が出るそうだぞ! 」
「「「「「 了解! イヤッホーー! 」」」」」
「それにしても凄い量よね。これ一日で運び終えれるの? 」
「そうね、食糧に開拓資材に耕運機に燃料まで。世界中の支援物資ともなると結構な量よね」
「私たちLight mareを動かすんですからこれくらいは当然よ」
「うふふ。子供用のお洋服がたくさんあったので子供たちが喜ぶ姿が目に浮かびます」
「明日はフィリピンにも支援物資を届けないといけないからな。あっちの方が人口は多いしこれだけあっても食糧は3~4ヶ月分がいいところだ。フィリピンに移住した東南アジアの人たちには、早く自力で資源フィールドから食糧を得てもらえるようになってもらわないとな」
今は攻略師団の第三連隊が鍛えているところだからな。フィリピン人は意外に魔法適正者が多かったからすぐに使い物になるだろう。
国際会議が終わり二週間が経ち、俺たちは国際救済連合からの支援物資を日本経由で新生オーストラリア国へと運び入れていた。
国際救済連合というのは、日本、インド、アラブ神国に南朝鮮を除いた全ての国が加盟している主に方舟を攻略するための連合で、あの国際会議の後に米国が旗振り役となり新たに作られた国際機関だ。
初代議長国は米国、副議長国はロシアとなっている。日本は連合内で揉めた時の外部調停役として任命されたらしい。
日本とインドとアラブは正式に同盟を結び、日印亜連合を発足することになっている。当初アラブ神国は日本の実力を知りつつも、米欧との貿易関係や国内の慎重派の意見もあり最後まで悩んでいた。でもそんな時に陛下が日本が苦しい時期に助けてくれた事への御礼を言うために、アラブ神国の大統領とお会いになったらしい。その際に陛下にこれからも日本をお願いしますと言われ、日本を選ぶことに決めたそうだ。
さすが日本の皇室を尊敬している国だけあって、陛下のお言葉は効果てきめんだったようだ。その後に総理に7日神麦を渡されて国に帰ったら大騒ぎになったようで、まさに日本は神の国だと第二の聖地に指定されるかのような勢いだったそうだ。
インドとアラブ神国には、いま第一と第二連隊が教練を行っている。俺が最低でもCランクまで上げてこいと言ったから結構必死みたいだ。早くもインドでは日本軍は悪魔の部隊と恐れられていると師団長が言っていた。連隊の奴らにはCランクにできなかったら一週間の再訓練と言っておいたからな。手を緩める気は無いようだ。ん? 南朝鮮? 知らんな。ロシアにも捨てられて毎日弾劾デモが起きてるらしいからそのうち政変があるんじゃないか? どうでもいいけど。
そんな感じで最初の一週間を過ごし、俺はクオンを連れてロシアへと東南アジアの人々を迎えに行き、ロシアからの人道支援という名の賠償代わりの食糧を受け取ってフィリピンに送り届けた。今後は日本を経由して定期的に食糧を送らせることになっている。滞ればすぐにロシア軍を殲滅しに行くと言ってあるから大丈夫だと思う。影武者の光一を鍛えないとな。
ただ、東南アジアの人たちはオーストラリア人より多く一千万人もいるので、早急に資源フィールドで狩りをさせないと飢えてしまう。なので日本軍を教導に派遣したというわけだ。
戦前は東南アジア諸国は政府はともかく親日の国民が多かったからな。日本としても見捨てられないそうだ。まあ南朝鮮に似てる国もあったから支援は最低限でいいと思うけどな。
その後は俺は恋人たちを連れてグアムのビーチで遊び休暇を満喫し、次はダークエルフを連れてこようと予定を組んでいたら政府から米国が泣きついてきたと連絡があったんだ。
どうも国際救済連合を発足したまではいいが、ロシアや癖のある南アメリカに意見がバラバラでまとまりの悪いアフリカや小国家連合が、攻略した後の分け前について文句を言っておりなかなか攻略戦を実施できないらしい。
俺はあっそって感じで放っておくつもりだった。だけど米国が三ヶ月だけでいいのでLight mareに後ろ盾になって欲しいと懇願してきて、なんでもするとまで言ってきたので条件を出してそれを呑めば受けてもいいと伝えた。
その条件とはオーストラリアを国家として認めることと、東南アジアの人たちがいるフィリピンをしばらくは保護地域として国際救済連合でも支援をすること。攻略戦では俺の決めた分配方法に文句を言わないことを条件として出した。
それからは早かった。米国は早々に会議を開き連合がまとまるためにLight mareを攻略戦の利益分配に関する調停役にすること、新生オーストラリアを国家と認めること、フィリピンにいる人々に人道支援を行うことの決議をとった。その際に反対者にはLight mareが個別に説得にいくことも伝えたそうだ。
まあ当然というべきか渋々だが反対者も無く俺の出した条件を受け入れくれた。
俺は採決が通ったと聞いて早速グリフォンとインキュバスを派遣した。彼らが戦場で各国の貢献度を判断することになるわけだ。なぜサキュバスを送らなかったのかって? なんで俺がどうでもいい国の奴らの目の保養をさせなきゃなんないんだ? まあ女の子を派遣したら、勘違いして舐めてかかってくる奴もいるかも知れないからな。無駄な死人を出さないための俺の優しさだよ。
国際救済連合は昨日あたりから早速攻略を開始しているらしい。中露や南アメリカなどの国が妨害しないなら小世界程度は攻略できるだろうな。早く小世界を攻略してくれればこっちも中世界にすぐ挑めるから助かるってもんだ。せいぜい頑張ってくれよ?
「さて、俺たちもゲートを潜ってあっち側に行くか」
「そうね、子供たち用にマリーたちがたくさんクッキーを作ってくれたから早く食べさせてあげよ♪ 」
「コウとドグさんたちがマリーたち用の魔導テントと広いキッチンを作ってあげたから、あの子たち毎日イキイキとお菓子作りしてるわ」
「あたしもお菓子作り教えてもらってるんだ! 今度旦那さまにあたしが作ったお菓子を食べてもらうんだ」
「ふふっ、光希はマリーたちに甘いですからね。私もセルシアと一緒に教わってます」
「うふふ、蘭は試食係に呼ばれました♪ 」
次は蘭が持っている最上級ダンジョンの最下層にいるサイレントビーの蜂蜜狙いか……この間うっかりマリーに話しちゃったんだよな。
「まあ暇だったし、俺たちのテントに常に甘い匂いが漂っているのも限界だったからな。スイーツ研究用のテントを作ってやったんだ。元の世界に帰ったら家にも作ってやる予定だしな」
マリーたちは俺たちのテントでスイーツを常に作ってるから、テント中が甘い匂いでもう限界だった。だから魔導テントを作ってオーブンや冷蔵庫を設置して試食のためのリビングも作ってやった。
そしたらさ、マリーがほんの少しだけ笑ったんだ。多分嬉しかったんだと思う。毎日色々なドラマや映画を見せた甲斐があったよ。なかなか可愛い笑顔だった。
「まあマリーたちはよくやってくれてるわ。それくらいのご褒美は必要よね。それより早く行きましょ! 」
「そうだな。ジェフリーも向こうで待ってるしな」
俺はそう言って先を歩く凛の後をついていった。
「使徒様! 」
《 使徒様だ! 》
《 ああ……使徒様 》
《 しとさま〜 》
《《《 使徒様! 》》》
「やめろ! 拝むな! 跪くな! 日本軍の奴らがビックリしてるだろ! 」
俺がゲートを潜ってシドニーの街に出ると、そこには多くのオーストラリア人が待ち構えていた。
以前見た時より皆が血色が良い顔をしており、服も廃墟から集めたのか以前のようなボロボロの服ではなくちゃんとした物を身に付けていたが、見渡す限り大人も子供も跪き俺に向かって手を合わせていた。
その様子を目の当たりにした日本軍の奴らは、全員が足を止め車両を止めて驚いた顔で俺を見ていた。
なんだこれ? 凄い恥ずかしい……
「ぷっ! ダーリンここじゃ神様みたいね」
「なんだこいつら!? なんで祈ってんだ? あたしの旦那さまは死んでないぞ? 」
「セルシア貴女なに言ってるのよ……それにしてもこれは凄いわね。信者が数百万人いるならもう一つの宗教よね」
「ちょっとこれは驚きですね…… 」
「うふふ、蘭の主様ですからこれくらいは当然です」
「す、すみません使徒様。皆には普通に出迎えるように言ってあったんですが…… 」
「そんな風には微塵も見えないけどな……やめろよ? 俺を担ぎ上げた宗教とか作るなよ? そんなのがあったら二度とここへは来ないからな? 」
「え……あ……はい……そう言っておきます……」
あんのかよ! そんな邪教はすぐ解散させろ!
「ぷっ! あはははは! ダーリンは救世主だもんね! そりゃ拝みたくもなるわね。光希教て名前だったりして。ぷぷっ……」
「くっ……シルフィ声を……」
「ふふふ、わかったわ。シルフ、オーストラリアの神になったコウの声を皆に届けて」
「なってねえよ! ったく! ……あ〜新生オーストラリア国の皆、出迎えてくれてありがとう。ジェフリーから聞いていると思うが世界中から支援物資が送られてきた。これは対価を払って得た物だから世界に感謝する必要はない。間違っても米国に感謝とかしなくていいからな? まあそういう訳だから倉庫や攻略済みフィールドへの運び込みを手伝ってやってくれ。それと、俺は神でも何でもない。次に俺に手を合わせたら二度とここへは来ないからな? 」
《 え? は、はい! 使徒様! 》
《 お、おい!立て! 二度と来ないっておっしゃってるぞ! 》
《 そ、そんな…… 》
《 申し訳ありません使徒様! 》
《 しとさま……ごめんなさい…… 》
「あ〜いや、まあそういうことだ。子供たちはあっちの広場においで。お菓子をいっぱい持ってきたから配ってやる。甘いジュースもあるぞ? 」
《 え? ほんと? やったー! 》
《 あまいジュースまたのめるの!? 》
《 みんな呼んでこなきゃ! 》
「みんな、子供たちを頼む」
「わかったわ!みんなで配って子供たちを笑顔にしてくるわ! 」
「おっし!あたしもサンタクロースになるぞ! 」
「そういえばこっちは冬なのよね。少し肌寒いから火を起こしてあげましょう」
「私はテーブルを出すわ。蘭ちゃんはジュースをお願い」
「はい! なっちゃん! 蘭はジュースを配ります! 」
俺は恋人たちに子供たちの世話を頼み、俺にもう来ないなんて嘘ですよね? とか言ってくる民衆に愛想笑いをして手を振り、ジェフリーを連れてその場を離れた。
「申し訳ありません使徒様。使徒様にここへ連れられて来てからというものの信者……いえ、使徒様に深い感謝をしている者がおりまして……」
「いやどう考えてもお前らが使徒様とか呼ぶからだろ……ちゃんと国民に俺は普通の人間だと言っておけよ? 」
「はあ……普通……ですか……」
「くっ……もういい! それより軍の志願者はどれくらいいたんだ? 」
「それが多過ぎまして、とりあえず一度に訓練ができるよう1000人づつ採用しています。その他の者には護衛を付けて資源フィールドにて狩りをさせ、ランクを上げさせております。国営のハンター協会の設立準備も進んでおります」
「そうか、武器は足りてるのか? 一応あんまいいもんじゃないが世界中から中古の武器と防具は集めたが……」
米国ほか、俺の言った通りの物を用意してきたが思ったよりもボロだった。無いよりはいいが……
「それは助かります。正直廃墟から鉄パイプを集めて槍として使ってたくらいでしたので、中古でもちゃんとした武器があると助かります」
「う〜ん、鍛治ができる設備とうちの鍛治士を今度用意してやる。ジェフリーはこの錬金の魔法書の適性者を探しておけ。5人もいれば武器の作製も楽になるだろう」
俺はそう言ってアイテムボックスから初級錬金の魔法書を五冊出しジェフリーに渡した。
5人くらいなら適性者が見つかるだろう。
「こ、こんな貴重な魔法書を……それに設備に鍛治士まで……ありがとうございます」
「気にするな。お前らの実力ならそう苦労する事なく手に入る物だ。設備はそんな本格的な物でもないしな。国として認められたんだ。いつかまた侵略される可能性もある。今は牙を研いでおけ」
「ハッ! 二度とこの国を滅ぼしません! 」
「そのうち中世界フィールドの攻略に呼ぶ。軍の訓練を怠るなよ? 森を手に入れるぞ」
「ハッ! いつでもお呼びください! 使徒様の剣となり魔物を滅ぼしてみせましょう! 」
「ちげーよ! 国民の剣となるんだよ! お前は一国の大統領に選ばれたんだろうが! 俺のために戦ってどうすんだよ! 」
「い、いやしかし我々をお救いくださった使徒様のために戦うのであれば、国民は喜んで支持をしてくれます。皆が笑いながら魔物の群れに飛び込むことでしょう」
「こえーよ! どこの狂信者だよ! やめろよ? そんなことさせんなよ? 絶対だぞ? 」
「あ、はい! 昔ニホンで流行ったフリというやつですね。お任せください! この身をもって魔物に立ち向かい笑って死んでみせましょう! 」
「フリじゃねーよ! なんでそんなこと知ってんだよ! それに大統領が身体張って死んでどうすんだよ! 」
「え? 違うのですか? あのダッチョウ倶楽部の番組はオーストラリアでも人気でして、私も若い頃よく観てましたからてっきりそうかと……」
すげーなダッチョウ倶楽部! 海外にまで知られてたのかよ!
ってそうじゃない! もうコイツと話すの疲れるわ……
「もういいわ……とりあえずお前は戦場に立つな。それと軍には国民のために戦うという意識をもっと持つように言え」
「……はい」
俺は残念がるジェフリーをスルーし、攻略済みフィールドに繋がる門の近くのビルを改装し政府で使っているという建物に入り、ジェフリーの執務室で食糧の備蓄や今後の開拓計画や訓練計画のことなどを話し合った。
その際ジェフリーの執務机の背後のオーストラリア国旗の前に、ドラゴンにまたがり両手で剣を頭上に掲げている男の木製の像が置いてあったが俺は見なかったことにした。
その像の前には跪き手を合わせる人々がおり、とても宗教的な雰囲気を醸し出していたからだ。
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