第35話 奴隷









「ダーリンもう9時よ。ご飯できてるから起きて。蘭ちゃんはもう起きてるわよ」


「ん……ああ……もうそんな時間か……」


「連隊の人たちさっき帰って来たけどみんなボロボロだったわよ? 置いてきたの? 」


「ああ、なかなかいい仕上がりになったから自力で帰れると思ってね。他国の軍は安全地帯から動いてなかったから大丈夫かなと思ってさ」


「欠員がないみたいだから大丈夫だったんだろうけど、相変わらずスパルタよね。まあいいわ、早くご飯食べちゃわないとマリーたちがスイーツ作り始めて甘い匂いで食欲なくなるわよ? 」


「うへぇ、それは嫌だな。顔を洗ってすぐ行くよ」


昨夜はやる気に溢れ力が有り余っていた第三連隊を中世界草原フィールドに連れて行き特別訓練を行った。

6時間という短時間であったため内容をかなり濃くしたせいか四肢の欠損者が多く、全てが終わった頃には連隊が全滅したような錯覚を覚えるほどの死屍累々の光景だった。最後の1時間は治療だけで終わってしまったくらいだ。

最初はやる気に満ちてリムをチラチラ見ながら引き攣った笑顔で戦っていた連隊の隊員たちも満足したようで、治療をする頃には目に光を宿しているものは誰一人いなかった。完全燃焼できたみたいでなによりだ。

でも連隊長が空に向かってなにかブツブツ言ってたけど大丈夫かな……最後尾で命令ばっかしてるのが気に入らなかったから、魔物の群れをバックアタックさせたのがマズかったのかも知れない。まあ実戦だしよくある事だから仕方ないよね。


治療が終わってからは自力で帰るように伝え、俺と蘭とリムたちは早々に引き上げて門の近くに張ったそれぞれのテントに入り、蘭と風呂に入って一戦してスッキリしてから部屋で眠りについたんだったな。







「ごちそうさま。美味しかったよ。マリー、少ししたら空爆に行くとリムと以蔵たちに伝えてくれ」


「了解しましたマスター」


「港を壊して二度と日本を侵略できないようにしないとね」


「中華大陸だっけ? ドラゴンやスフィンクスもいないし人族も強いやついないから退屈だよなー」


「当たり前じゃないセルシア。私たちのいた世界より20年は遅れてるんだからこの世界はこれからよ」


「そうですよセルシア。魔物が外にいないのはともかく、これから方舟の攻略が加速すれば上級魔法書も出てくるでしょうしこれからよ」


「そのうち光一と戦わせてやるよ。港だけど軍から中露の港の位置と、首都にある方舟特別エリアに繋がっていると思われる門の位置は聞いてるからな。港を潰して門の前で警告して終わりだな。権力者は地上にはいないだろうし、地上を破壊しても一般市民が被害を受けるだけだからな」


どの世界でも権力者は自分が傷付くことのない安全な場所から国民を死地に向かわせるもんだ。地上の要塞だとか地下のシェルターなら力ずくで破壊して引っ張り出すんだが、方舟の攻略済みフィールドだけは無理だ。神の力に守られている空間はどうしようもない。


「そうよね、日本人を攻略したフィールドに入れるようにはしているはずないもんね」


「そうだな。中華人と南朝鮮人と三等市民という名の奴隷階級であるオーストラリア人だけだろうな」


「同じ人間を奴隷にするなんてとんでもない国よね」


「奴隷ですか……同じ人間なのに……」


「んん? 奴隷のなにが悪いんだ? 竜人族にも借金返せなくてなったやついるぞ? 」


「セルシア、私たちの世界の一種の労働契約のような奴隷制度と、この世界の過去にあった奴隷制度は違うのよ。この世界の奴隷制度は恐らく家畜のような扱いをしているわ」


「家畜だって!? 牛や豚のようにか!? 同じ人族なのにそんなことできるのか!? 」


「あの国ならやるだろうな。反乱させないように家族は地上の複数の地域に集めて、男はまだ子供のうちから攻略済みフィールドの開拓に使ってるって話だ。見た目の良い女性は……悲惨な生活をしているだろうな」


年に何人かが脱走して手作りの船で日本に流れ着くらしく、運良く日本の警戒艇に発見された者は政府が保護をしているようだ。彼ら彼女らが話す中華国での生活は現代の人間では想像ができないほど過酷なもので、男は家畜、女は性奴隷と呼ぶに相応しい仕打ちを受けているようだ。そんな中でも見た目の良い男女は政府高官に囲われて良い生活を送れているらしいが、飽きられると兵士たちの共有物として与えられてそれはそれは悲惨な目にあうそうだ。


「攻略済みフィールドにいるなら助けてあげられないわね……」


「助けられたとしても家族を入れると500万人はいるらしいから面倒なんて見れないさ。ロシアにも同じような扱いを受けている東南アジアから連れ出された者たちもいるしな。それに奴隷とまではいかなくてもアフリカ連合では部族間の酷い差別もあるし、小国家連合内にも格差や差別があるらしい。結局は当事者たちが解決していくしかないんだよ」


冷たいようだが戦いに負け国が滅びたんだ。勝った相手にどう扱われようがそれは勝った者の権利だ。それが嫌なら力を付けて戦いを挑み勝てばいい。国際法やら人権などというものはとうの昔にこの世界では滅んだ。力が全ての世界で力が無いのはそれだけで罪だ。

アトランとは違い人権の無い奴隷なんてのは胸糞悪いがな。


「日本だって連合で仲間はずれにされてたわけだしね。力を付けて反逆するしかないのよね」


「弱い者が虐げられる世の中ですか……私たちのいた世界はダンジョンという世界共通の敵がいたのでそこまでは酷くなかったのですけどね」


「この世界は限られた数のフィールドを取り合わなければ国や民族が滅ぶからな。協力し合えれば全ての国が生き残れるが、まあそれができたら日本が連合を脱退するはめになってないよな」


「あ〜もうっ! 嫌な世界ね! せいぜいクオンで乗り付けて脅してやりましょ! 」


「ああ、なるべくランクの高い兵士を見つけてその数を減らして嫌がらせをしてやるさ。それじゃあそろそろ行こうか」


さすがに特別エリアに繋がる門の前には高ランクの兵士がいるだろう。せいぜい数を減らして嫌がらせをしてやるさ。


それから俺たちはグリフォンに以蔵たちを乗せ、乗り切れなかった者とサキュバスたちと俺たちはクオンの背に乗ってまずは香港の港を襲撃しに向かった。


香港の港は人影が無く、遠くに方舟の門が見えるだけだった。門の周りには無数の魔力反応があることから、昨日の今日という事もあり逆侵攻を恐れて隠れているようだ。


「人がいないなら派手にやるか! 蘭! 久々に撃ちたいだろ? いいぞ 」


「はい! うふふ、二つ落としますよ〜『隕石落下メテオ 』 」


ゴゴゴゴゴ


ヒュゥゥゥゥ


ドーーーーン! ドーーーーン!


「すっげーーー! 蘭すごいなっ! 爽快だな! 」


「久々に見たけどこれは反則よね〜最上級火魔法かぁいつか私も使えるようになってみせるわ! 」


「ランちゃんちょっと隕石大き過ぎじゃない? 土煙が迫ってきたわ! シルフ、吹き飛ばして! 」


「海に落とさずピンポイントで港の周りだけに落とすなんて……蘭ちゃん凄いわ」


「蘭は数を撃ってるからな。ここはこんなもんだろう。次は上海に行くぞ」


大きな港だったが、蘭のメテオなら一瞬だな。もう二度と使う事はできないだろう。他にも大きな港はあるが、船は一隻も停泊していないし門が近くになければ新たに造船もできないだろうからスルーだ。


それから俺たちは速く飛ぶのが苦手でヘタれるクオンのケツを叩きながら上海へと向かい、その港にも人影がなかったので停泊していた数隻の船をクオンのブレスで撃沈し、蘭のメテオで港を破壊した。

対空砲火すら無かったのは自分たちが他国に攻められるなんて思いもしなかったんだろうな。


そして内陸にある首都北京へ向かうとさすがにあちらこちらから対空砲火があり、それをダークエルフが乗ったグリ子たちに潰しに行かせつつ進んだ。

北京に着くと都市の真ん中に大きなコンクリートの壁に囲まれた門あり、その周りには万単位の人間の魔力反応があった。俺は軍からもらった地図と照らし合わせ、その門が恐らく方舟の特別エリアに繋がってる門だということがわかった。


俺は高度を下げ門の前に布陣している兵士の真上にクオンとグリ子たちを滞空させた。下からは対空砲火と弓と時折魔法が放たれるが、その全てを無視して眼下にいる軍をよく見てみた。


「なんだありゃ? 装備どころかボロ切れを纏ってるだけで手に持ってるのはツルハシじゃねーか」


「うわっ! 臭いぞ! ここまで匂ってくる! アイツら骨と皮しか無いしゾンビなんじゃないのか? 」


「ほんと痩せこけていてゾンビみたいね……あれ? あの人たちオーストラリア人じゃない? 汚れてて分かりにくいけど顔立ちや髪の色がそれっぽいわ」


「凛の言う通り白人のようね。ランクはほとんどの人がEってところね。きっと鉱夫として働かせてた者たちを引っ張り出してきたのね」


「門の前にいるちゃんとした装備を付けているのが中華軍ですね。2000ほどしかいませんが、先ほどから攻撃してきているのはその兵士たちです。こちらはDランクというところでしょうか? 」


「主様、後方の中華兵が門の中に入って行きます」


「あ〜そういうことか。俺たちが向かっているのを察知して兵をかき集めたけど少ないから急いでオーストラリア人を呼んだわけか。お偉いさんや中華兵が逃げる時間を稼ぐ為にな」


さすが勝てないと判断したらすぐ逃げることで有名な中華兵だ。あの国は昔から軍の士気が低いからな。オーストラリア人は肉壁か人柱ってとこか。


「卑怯な奴らだな! 旦那さま! 戦わないで逃げる奴らは皆殺しだよな? 」


「そうだな。セルシア、リムたちと行ってこい! 装備を身に付けてない奴らは殺すなよ? 」


「ハッ! 光魔王様の為に! 」


「わかったよ旦那さま! リム行くよ! 」


「蘭も行きます! セルちゃん行きましょう! 」


「蘭も来るのか? じゃあ門に入ろうとする奴らから殺ろうぜ! 」


「うふふ、競争です♪ 」


「リム! 蘭とセルシアの前に出るなよ? 巻き込まれるぞ! 」


「そ、そういたします……」


「ひえ〜蘭お妃様の前とか怖くて飛べないよ〜」


「ミラ姉さん、私たちは逃げる者を追うだけにした方が良さそうですわ」


「シルフィ、風のシールドでオーストラリア人に誤爆しないようにしてやってくれ」


「そうね、ランちゃんが行くなら必要ね。まったく誰に似たのか……シルフ! 広範囲になるけどお願いね」


シルフィに似たんだよ……蘭も行くなら絶対派手な事になるからな。骨と皮しか無いようなオーストラリア人は蘭の魔法の余波だけでも即死しそうだ。


そしてシルフィが風のシールドを張った直後に門の前が派手に爆発した。俺はあまりの予想通りの展開に頭を押さえたのだった。


「蘭ちゃんは鬼よね……」


「大雑把なのは凛ちゃんも言えないわよ? 」


「いくらなんでも蘭ちゃんほどじゃないわよ! 私はよもうちょっと周りを見てるわ! 」


「森での豪炎に、賢者の杖をしまい忘れてからの暴虐の炎にそれから……」


「わ、私も蘭ちゃんのこと言えないかも……」


「ふふふ、コウの側にいるとそうなるのよ。仕方ないわ」


言ってろ!


「ダーリンそれでどうするの? オーストラリアの人たち蘭ちゃんとセルシアを見て腰が抜けてるわよ? ただでさえクオンを見て顔を蒼ざめさせていたのにショック死しそうよ? 」


「別にどうもしないさ。さすがにこんな戦闘の素人相手に戦うつもりもないし、蘭が戻ってきたら去るだけさ。しかし見事にEランクが揃ってるな。労働力として使うためにEまで上げさせて、そのあとこき使ってるってとこか」


見張りの兵は蘭たちが倒してるんだから、このまま逃げるもよし反乱するもよし。オーストラリア人が考える事だ。


「中華兵よりもランクを低くして反乱に備えてるのね。昨日の侵攻で減ったとはいってもまだ何万人もいそうよね」


「人口が多いからね。ランクは低くても数が多いから、ここにいるオーストラリア人が反乱しても鎮圧されるだけだね。逃げた方がいいんじゃないかな」


俺と凛がそんな話をしていると地上からなにやら英語で俺たちに叫んでいる男がいた。


《 神よ! 》


「ん? なんだ? 俺に言ってんのかアレ? 」


「ぷっ! ダーリンが神だって! ぷっ! 」


「ふふふ、光希が神だなんて」


「ふふっ、エッチな神もいたものよね〜」


そうだな、煩悩しか無いからな。別に言われなくてもわかってるよ!


《 ドラゴンと共に現れた我らが神よ! 》


「なんか誤解しているようだから解いてくるか……」


「うわ〜あの集団の前に降りるのは恥ずかしいわね」


「なんというかあの人数に拝まれると、こんな私でごめんなさいと言いたくなるわね」


「光希の後ろに隠れましょう」


俺は男が神と言い出した途端に周りの者が跪き十字を切って手を合わせて祈ってるいるのを見て、降りたくなかったがこのまま誤解を解かないまま去るのも気が引けたのでクオンを地上に降ろすことにした。

凛とシルフィと夏海は俺の後ろに隠れている。俺だって嫌なんだけどな、こんな集団の前に立つのはさ。


「おお〜神よ! 我らをお救いください! 」


「英語はそんなに得意じゃないんだけどな……誤解があるようだから言っておく。俺はお前たちの神でもなんでもない。少し変わった日本人だ」


「ニ、ニホン人!? し、しかし天使を引き連れて……」


「アレは天使じゃない。天使と悪魔の中間の光魔だ。きのう日本に中露連合が侵攻してきたからそれを壊滅して、今日は逆侵攻というか警告に来ただけだ。別にお前たちを助けるつもりで来たわけじゃない。勘違いするな」


光魔とか言ったけど幻術を掛けた悪魔なんだけどな。しかしなんで俺がこんな骨みたいなおっさんどもを助けなきゃなんないんだよ。助けたら家族もとか言い出すんだろ? んで食糧も面倒見ろって? ここにいる奴らの家族だけでも万単位だろ? 冗談じゃない。日本だってそんなにまだ余裕無いのに面倒見てられるかよ。


「そ、そんな……祈りが神に通じたものと……神よ……」


「ああ……神は俺たちを見捨てたんだ…… 」


「これほど強力な力を持つ人が神では無かっただなんて……」


「もう駄目だ……永遠に俺たちは奴隷のままなんだ 」


イラつくなコイツら……


「お前らはずっとそうやって祈ってるだけか? 」


「「「…………」」」


「いま俺の仲間が中華兵を皆殺しにしているところだ。家族を助けに行くなら今だぞ? 反乱をするのも今がチャンスだ。戦わないのか? 逃げないのか? ずっと祈って神とやらの助けを待っているのか? 」


「に、逃げても食糧が無ければ飢え死にするだけです……戦っても皆殺しになるだけです」


「そ、そうだ……中華兵は強い……俺たちなんかが勝てるわけない……」


「あ、あなたは強いからそんなことが言えるんだ。 神の奇跡でも無ければ俺たちはどこにも逃げることなんてできないんだ」


「そうか……なら一生奴隷でいろ。家族や恋人が中華国の奴らの慰み者になっているのを指を咥えて見ていればいい。お前ら本当にあのパワフルでプライドが高いが陽気で、なによりも家族を大切にするオーストラリア人か? 」


すっかり牙を折られてんな。ダメだなコイツら。家族を攫われても戦おうとしないなら男としてもう終わってる。

俺の言葉に悔しいのかあちこちから泣き声が聞こえてくる。できない言い訳をした後に泣くだけか……


「クッ……ううっ……ナターシャ……」


「ちきしょう……俺の恋人を……クソッ…… 」


「アイツら俺の女房をすきにしやがって……くそう……」


俺が情けなく泣くことしかしない男たちを軽蔑した目で見ていると蘭から念話が届いた。


『 主様、門へ逃げるトラックを追いかけたら荷台に子供が……』


『子供? 』


『はい。痩せてますが恐らく10歳前後のオーストラリア人の女の子が20人ほど……全員兵士に乱暴された後のようです』


『そんな小さな子をか! 兵士は皆殺しにしたんだろうな? 』


『はい、近くにいた兵は全て』


『そうか……転移で子供たちを連れてきてくれ』


『はい』


俺たちが来てもう駄目だと思って子供を攫って門に逃げようとしたのか?

年端もいかない女の子たちに乱暴するとは……鬼畜どもめ!

蘭も相当怒ってたな。きっと兵士たちは楽には死ねなかっただろう。



少しするとクオンの横にトラックごと蘭が転移してきた。突然現れたトラックに悔し涙を流していたオーストラリア人は驚き仰け反っていたが、トラックの中から泣いている子供を抱えて降りてくるセルシアを見て目の色が変わった。


「アンジェ! 」


「ニーナにハンナも! 」


「メリッサ! なぜここにいるんだ! 工場にいるはずじゃ……」


「この子たちが中華兵に攫われていたところを助けました。かわいそうに兵士に乱暴されていました」


「とんでもねー奴らだった! 全員アソコをちょん切って殺してくださいと言うまで切り刻んでやったよ! その子供たちは治療したけど相当ショックだったみたいだ。かわいそうによ……」


「なんだって! 子供には手を出さないという約束だったのに! 」


「お、俺の娘によくも……まだ9才なんだぞ! 」


「ハンナ……ああ……ハンナ……」


「ああ……アンジェ……かわいそうに……怖かったよな……パパが守ってやれなくてごめんな……パパが弱いから……」


「くそっ! 女房だけじゃなく娘まで! 殺してやる……中華の奴ら皆殺しにしてやる! 」


「俺ももう我慢できねえ! こんな小さな子にまで手を出しやがって! アイツらは人間じゃねえ! 」


「このまま食糧庫と武器庫を襲おう! そして中華兵を皆殺しだ! 」


「子供を傷付けられて黙ってられるか! 俺もやるぞ! 死ぬ時は中華の奴らも道連れだ! 」


おお? なんだよ、まだ牙が残ってたんじゃねーか。そうだよな、子供を傷付けられて黙ってたらお前らこそ人間じゃないもんな。


「凛、夏海、シルフィ」


「わかってるわよダーリン。ダーリンのしたいようにすればいいわ。それを支えるのが私のしたいことよ」


「光希なら力を貸すと思ってました。どこまでも付いて行きます」


「家族の為に戦う意思を見せた者に手を貸したくなるのはコウだけじゃないわ」


「すまんな」


手を貸すつもりはなかったんだけどな……子供が傷付けられるのを見てしまったらからな。


さて、でもどうするかな。俺たちは攻略済みフィールドには入れない。かといってコイツらだけ行かせても全滅するだろうな……


俺は怒りに震えてツルハシを頭上に掲げ、報復を叫ぶオーストラリア人の男たちを見ながらどうやって反乱を成功させるか考えていた。







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