第36話 続 悪魔の契約








「中華の犬畜生にも劣る奴らをを皆殺しだ! 」


「「「「「おおおおおおお! 」」」」」


「鉱山組は武器庫を襲って装備を! 開拓組は門の前で倒れている兵から装備を集めろ! 漁師組は軍本部へ行き車両と燃料を奪え! これよりこの元オーストラリア陸軍中佐ジェフリー・オールドマンが指揮を執る! 」


「「「「「ジェフリー! ジェフリー! ジェフリー! ジェフリー! 」」」」」


「私たちは家族を傷付けられるのをこれ以上黙って見てられなどしない! 最後にオーストラリア人の誇りを中華の奴らに見せつけてやる! 」


「「「「「おおおおおお! 」」」」」


「命を惜しむな! 総員かかれ! 」


「はいストップ〜『轟雷』 」


ドゴォォォン!


「「「「 !? 」」」」」


「ジェフリーだったか? さっきまで俺を神だのなんだの拝んだうえに、己の無力さに泣いていた奴が急に元気になったな」


俺が今後コイツらをどうしようか考えている時に、オーストラリア人たちは勝手に怒り狂い勝手に盛り上がって勝手に勝てない戦いをしようとしていた。そんなタイミングでグリフォンに乗ったリムたちが中華兵の掃討から戻ってきて、男たちが俺の前でツルハシを振り上げている光景を見て敵対行動だと勘違いし槍を構えたので、慌ててインカムで状況を説明するはめになった。


俺は目を血走らせて怒るオーストラリア人の頭を冷やさせるために少し離れた場所に轟雷を放ち、最初に俺を神だのと言ってた金髪の髪を後ろで束ねている40代後半くらいのジェフリーという男に声を掛けた。


「な、なにをするのですか! 最低限の約束も守らずやっと授かった幼い娘まで傷付けられたのです! 我々はもう我慢などしません! 神が救ってくれないのならこの命を懸けて戦うのみ! 」


「で? 勝手に玉砕するのはいいが、お前の足元で泣いているその子はどうするんだ? 」


「…………」


「シルフィ、声を」


「ほんと力技なんだから。わかったわ、シルフお願い」


俺は頭に血が上り自暴自棄になっている馬鹿たち全員に声が届くようシルフィに頼んだ。


「聞け! 子供を傷付けられてブチ切れたのはわかる。だが魔法も使えないEランク程度のお前たちが一万人集まったところで、BやCランクのいる方舟攻略部隊千人が出てくれば確実に負ける。そしてお前らが全滅したあと残された家族がどうなるか考えたのか? 反逆者の家族を中華国がどうすると思う? 」


「「「「「…………」」」」」


「殺されるか今よりもっと酷い扱いになるのは間違いない。このかわいい少女たちもまた地獄を見ることになるだろうな」


「「「「「クッ…………」」」」」


「で、ですがこのまま黙ってなどいられないのです! このままではまた子供たちが襲われることになります! わずかな可能性に懸けてでも戦わねばならないのです! ニホンの偉大なる戦士よ! お願いがあります! 我々の子供だけでもニホンに連れて行ってください! 」


《 そ、そうだ! 子供たちさえ生き延びればオーストラリアは滅びたりしない! 》


《 お願いします! 子供たちだけでもニホンへ! 》


《 お願いします! 》


「断る! 」


「なっ!? 子供を見捨てると言うのですか! 」


「何言ってんだ? 子供を見捨てて勝手に死にに行くのはお前たちだろ。お前たちが見捨てた子供をなんで俺が日本に連れて行かなきゃなんないんだ? 自分の子供は自分で面倒を見ろ! 他人に頼るな! 」


自分たちは死ぬけど子供を頼む? 冗談じゃない! 子供の気持ちはどうなる? 親を失った子供の気持ちを考えられないのかコイツらは。


「そ、それは……くっ……」


「パパ……アンジェは平気だよ。こわかったけどお姉ちゃんが助けてくれたから……パパとママがいればアンジェは平気だよ」


「アンジェ……ごめんなパパが弱いから……戦うことから逃げていたから……パパのせいで酷い目に合わせてごめんな……」


「ううん、パパは強いよ? いつもママとアンジェを守ってくれるもん。パパは強くて大きいんだよ」


「アンジェ……違うんだ……パパは……パパは……くっ……ううっ……」


あんな辛い思いをしたのに強い子だ……

馬鹿な父親だけど死なせるわけにはいかないよな。この子のためにも。


「おい、ジェフリー……力が欲しいか? 」


「え? 力? ……そうだ、力さえあればアンジェも仲間も守れた……祖国も失うことも無かった……もし叶うなら力が欲しい……中華の兵を圧倒できる力が……」


「力を得る為ならばなんでもするか? 」


「し、します! 力を得るためならなんだってします! 悪魔に魂を売ってもいい! 」


「他の者たちはどうなんだ? 大切な人を守れる力が欲しいか? その力を得るためならジェフリーの言うように悪魔に魂を売れるか? 」


「売れます! 悪魔に魂を売った方が今よりマシだ! 」


「力が手に入るなら俺の魂を悪魔にくれてやったっていい! 」


「そうだ! 中華の奴らを倒して連れさらわれた妹を救えるならこの命くれてやる! 」


ハイッ! 言質いただきました! 悪魔の契約成立だ。


「わかった。お前たちに力をやろう」


「え? し、しかしどうやって……」


「自己紹介がまだだったな。俺の名は佐藤 光希。俺の率いるパーティの名はLight mare。俺たちは日本の神の導きにより、こことは違う世界の日本からやって来た者たちだ」


「わ、我らの神ではなくニホンの神の使徒だとおっしゃるのですか!? 」


《 やはり神の力だったんだ、あのドラゴンも天使も…… 》


《 こことは違う世界のニホン? 昔テレビでやっていたパラレルワールドとかいう世界のことか? 》


《 Light mare? 光と悪霊? いや、古代英語のmereはか? 確か悪魔という意味だったな。光の悪魔? え? 神の使いが? 》


《 我らが神の導きではなくニホンの神の導きで……》


「いいや? 使徒なんてものじゃないさ、普通の人間と異世界人だ。俺が住んでいる世界はここより魔物が身近にいるんだ。見ての通りエルフもいる」


「使徒様ではなく同じ人間が神の導きで? それに魔物が身近に……確かに昔小説に出てきたエルフの特徴通りですが……」


「異世界が存在すると思っていればいい。そうだな、まずは俺個人の力を見せておくか」


俺はそう言ってジェフリーに近付き、アンジェと呼ばれていた金髪の女の子の前で膝をついて目線を合わせた。

この子が9歳か……白人なのに日本人の同じ歳の子より小さいな……


「アンジェちゃん初めまして」


「ひっ! 」


「怖がらないでくれよ。俺はアンジェちゃんを助けたお姉さんの恋人なんだ。辛いのにお父さんを思いやって我慢して偉いね。ご褒美にあま〜いジュースをあげるね? 蘭! 」


俺が近づくとやっぱり我慢していたのかアンジェは怯えだした。このままじゃご褒美を渡せないと思い俺は蘭を呼んで代わりに渡してもらうことにした。


「はい! アンジェちゃんこれはとっても甘いリンゴジュースなんですよ〜飲んでみてください」


「あ、お姉ちゃん……リンゴ? ……甘い……おいしい……」


「佐藤さん娘に貴重な飲み物をありがとうございます。しかし力とはこの事ですか? 貴重な食糧を持っているという? 」


「見てればわかる。時の女神よ幼き子の悪夢を消し去り元の清らかな身体へ……『時戻し』 」


俺は美味しそうにそして味わうように、ゆっくりとジュースを飲んでいるアンジェの頭と身体に手をかざし時戻しの魔法を発動した。ほんの数時間戻すだけだから、ジェフリーやアンジェには時計と光が一瞬見えるだけだろうな。


「ふぁ〜キレイ……」


「なっ!? 時計!? こ、これは……」


そして魔法を掛け終わり自分の身体が光っていることに目をキラキラさせてみていたアンジェは、突然戸惑った表情を浮かべた。


「アンジェちゃん初めまして。俺とこのお姉ちゃんと会ったことあるかな? 」


「え? 無いよ? お兄ちゃんとお姉ちゃんは誰? あれ? ここはどこ? アンジェ工場にいたのに……あ、パパ! パパはなんでいるの!? お仕事じゃなかったの? それにアンジェが持ってるこの紙のパックはなに? 」


「「「「「!? 」」」」」


「あ、アンジェ? このお姉さんに助けられたのを覚えてないのか? さっきのパパとの会話も? 」


「助けられた? 何に? それにパパとのお話? 今してるよ? 」


「久々だったがうまくいったな」


アトランでは盗賊に攫われたりオークに攫われたりした人が多かったからよく使ってたが、日本に来てからは記憶まで時を戻すのはやってなかったからな。うまくいって良かったよ。


「さ、佐藤さんいったいこれは……」


「ほんの数時間時を戻しただけだ。肉体も記憶もな。アンジェちゃんの身体は元の清らかな状態に戻った。そしてここ数時間の間に起こった事は覚えていない。というか無かったことになっている」


「と、時を戻した? そんなことが……そんなことを……まるで神ではないか」


「神じゃない、人間だ。これは特殊な魔法ってだけだ。手に入れる為に神の試練を乗り越えなきゃならないがな」


「これが魔法……神の試練……やはり貴方様は神の使徒様なのでは? 」


「だからただの人間だ。少しばかり強いからって神の使いっぱしりにされてる不幸な人間だよ。それよりお前らに力を与えることができるというのは信じられたか? 」


「は、はい! 使徒様!」


《 奇跡だ、神の奇跡だ! 》


《 使徒様! 俺の娘もお願いします! どうかそのお力をスターシャにも! 》


《 使徒様! 俺の娘にも! 》


《 《 《 使徒様!! 》》》


あ、あれ? なんで? 違うって言ってるのになんで使徒? やめろ! アマテラス様に知られたらまた使われる! 今すぐその呼び名をやめろ! 他の神が聞いたらどうすんだ!


「ぷっ! ダーリンが神様から使徒様にクラスチェンジしたわ。ぷっ……」


「子供を助けたかっただけなのに変な理由付けするからよ」


「ふふふ、光希は照れ屋さんですからね」


「え? 旦那さまって使徒だっのか!? さすがあたしの旦那さまだな! 」


「セルちゃん違いますよ? 主様が聞いたら怒りますよ? 」


「ええ!? なんでだ? 違うのか? 神様に頼まれて来た神の使いだから合ってるんじゃないのか? 」


セルシア、それを言ったらここにいる全員が使徒になるだろ……


俺はリムたちを配下にした時の過ちを繰り返さないためにも、俺を再び拝み始めるオーストラリア人たちに違うからなと言いながら蘭と一緒に子供たちに時戻しの魔法を掛けて回った。

もうコイツらをオーストラリア人だなんて呼ばないからな! オージービーフのオージーでいいや。あれ? 確か意味は同じだったよな? まあいいか。


そして全ての子供に魔法を掛け終わり、魔法を掛けられた女の子たちは最初何がなんだかわからない状態で戸惑っていたが、今は蘭に渡されたジュースをニコニコしながら飲んでいた。

うん、やっぱり子供の幸せそうな笑顔はいいな。癒されるわ〜


さてと、違うと言ってんのにさっきから使徒だのなんだのうるさいオージーどもにそんな高尚な存在じゃないと教えてやるかな。言葉で言って分からないようだから身体でな。


「さて、お前らは悪魔に魂を売ってでも強くなりたいと言ったわけだ」


「え? あ、はい。大切な人を守れるのならば悪魔と契約してでも強くなりたいと言いましたが……」


「リム! だそうだ」


「ハッ! 聞け! 貴様ら! 私は光魔王軍 光魔族族長のリムだ! 貴様らは幸運にも光魔王様より力を授かる栄誉を与えられた! 光魔王様に代わり私が責任を持って貴様らを鍛えて力を与えてやる! これ以降私の命令には絶対服従してもらう! 」


「ま、魔王!? し、使徒様じゃないのか!? 」


《 お、おい! 魔王って、本当に俺たちは悪魔と契約を? 》


《 な、なんだっていいさ! 強くなれるなら! 中華のクソどもをぶっ殺せる力が得られるなら神だろうが悪魔だろうがなんだっていい! 》


《 そ、そうだ! た、魂を取られるのは死んでからだろ? 生きてる間に家族を救えるならなんだっていい 》


はいはい、想定の範囲内想定の範囲内。それにしても使徒から魔王ってすごい落差だな!


「待て待て、俺は人間だ。悪魔じゃない。光魔王軍てのはチーム名みたいなもんだ、気にするな。とまあそういう訳で、お前らのランクがある程度上がるまでこのリムに鍛えてもらう。だがさすがに人数が多過ぎるし、一度にお前らがいなくなれば家族への配給が無くなるかもしれない。3000人だ、3000人選抜しろ。魔力が高いものはこちらで別途選抜する」


「つ、つまり我々の中から3000人を選抜してその者たちに力を頂けると? 」


「そうだ。俺は神じゃないし魔王でもない。たとえ神だとしても人間を一瞬で強くする事などできない。選抜された者には魔物を倒して力を付けてもらう。二週間で全員Bランクにしてやる」


「なっ!? たった二週間で! ? そんなことが……」


「できるさ。EからCに上げるのはそれほど大変じゃない。CからBに上げるがキツイんだ。しかし既に俺は日本軍相手に短期間でそれをやっている。お前らの強くなりたいとという気持ちが本物ならば二週間でBランクになれる」


「ほ、本物です! 腕の一本や二本無くなっても必ず強くなります! 」


「そうか、その言葉をよく覚えておく。早く選抜しろ! 心の強そうなやつを選べよ? 」


本当に四肢が吹き飛ぶけどな。


それからジェフリーの指揮のもとオージー選抜が行われた。その間にリムたちに蘭が倒した中華兵の武器と、近くにあると聞いた武器庫を襲撃させ装備を根こそぎ回収させに行かせる事にした。俺と蘭も魔力の高価そうな者を100人ほど選んでいった。

このうち最低でも50人くらいは四属性の適性がある者がいるだろう。初級魔法書は有り余ってるしここらで放出するかな。対価はそうだな……いつか日本の味方になってくれればいいな。つまり保険だ。





「使徒様! 選抜完了しました! 」


「光魔王様、装備の回収及び武器庫の襲撃完了しました」


「そうか、リムはご苦労だったな。それでは撤収する! 選抜されなかった者は子供たちを家に戻し、中華国の者にドラゴンのブレスで仲間が消し炭にされたと報告をしておけ。これよりフィリピンの門へ繋ぐ、門を潜ったらリムの指示に従え。 『ゲート』 」


「も、門!? 」


「な、なんだこれは! 」


「方舟の門とは違う……これは一体……」


「おいっ! お前たち! グズグズするな! 光魔王様が門を潜れと言ったのだ! 急げ! 走って門を潜れ! 」


「「「イ、イエスマム! 」」」


「以蔵! ダークエルフたちを連れてリムの手伝いをしてやってくれ」


「はっ! 仰せのままに」


「静音には兵士用の魔導テントをあるだけ渡しておく。人数が多くて大変だろうが食事など世話をしてやってくれ」


「はっ! お任せください」


「リム、門を潜ったらこのアイテムバッグに入っている飯をたらふく食わせてやれ。そして資源フィールドで五日間鍛えろ。魔誘香は全て使って構わない」


「ハッ! 必ずや五日間で全員をCランクへ上げてみせます! 」


この世界に来てから以蔵とリムたちにはだいぶ苦労を掛けてるな。そろそろ渡すかな。


「よしっ! サキュバスもダークエルフたちも一列に並んで利き腕と反対側の腕を出し、肌を露出させろ!」


「「「「「ハッ! 」」」」」


「「「「「はっ! 仰せのままに」」」」」


「お前たちの働きには満足している。これは日頃の感謝の気持ちだ。空間魔法の探知を使えるようにしてやる。まずはリムからだ。少し痛みがあるぞ……紋章魔法『探知』 よしっ! これで使えるようになった。最初は狭い範囲で使えよ? 」


「あっ……んっ……こ、光魔王様……わ、私に魔法を……しかも魔族では決して立ち入ることのできない浮遊島のダンジョンにある空間魔法を……あ、ありがとうございます! 必ず使いこなしてみせます! 光魔王様の刻印……光魔王様の魔法……」


俺は感激しているリムをよそにミラ、ユリそして他のサキュバスとインキュバスたちへと次々と刻印をしていった。痛みを堪えるリムの声と表情に少しムラっときたのはナイショだ。


「ひゃっほーい! 探知に結界にボクに死角なし! 光魔王様ありがとう! 大好き! 」


「ああ……胸に刻印して光魔王様の物だという証にしていただいても良かったですのに……でも光魔王様の魔法が私の身体に……熱いですわ……」


やめろ! 胸の谷間を見せて誘惑するんじゃない! 負けちゃうだろうが!


「次は以蔵だな、闇の精霊は夜しか広範囲を探知できないし感覚的なものと聞く。これで昼も夜も死角は無くなるはずだ。いつもありがとう。以蔵や静音たちの働きには感謝している」


「お、お屋形様……我らにこれほどの希少な魔法を……わ、私は……良かった……お屋形様にお仕えできて良かった……くっ……」


「あらあら以蔵ったら年がいもなく泣いて。気持ちはわかるわ。感謝しているのは私たちですのにこれほど厚遇していただけるなんて……忍び冥利につきるとはこの事ね」


泣くなよ以蔵……ほんとお前には感謝してんだからさ。

俺は男泣きしている以蔵とそれを慰めている静音にさっさと刻印をし、紫音と桜、そして他のダークエルフたちにも刻印を施していった。もうだいぶ慣れてきたからサクサクできるようになったな。


「お、お、お屋形様の魔法がう、腕に! し、紫音! わ、私の身体に刻印されてしまった! こ、これは私はもうお屋形様の物ってことでいいのか? いいんだよな? 」


「…………桜うるさい……いま光希様の魔法の余韻に浸っているところ……邪魔しないで……それにその理屈だとお父様も光希様のモノになったということになる」


「そ、それはイヤだな……」


相変わらず紫音と桜の掛け合いは面白いな。これは二人とももうビーチでムフフできるんじゃないか? しかしまだその他のダークエルフが堅いんだよな。もっと気楽にフランクに行こうぜ! そして一緒に夏のビーチをヌーディストビーチに!

俺は緊張しながら腕を出している他のダークエルフの美女たちに刻印をしながら、そんなダークエルフ天国を妄想していた。あ、紋章魔法の発動失敗した……いかんいかん集中集中。



「これでよしっ! 最初はあまり使い過ぎるなよ? それじゃあオージーどもを頼む」


「「「「「ハッ! お任せください! 」」」」」


「「「「「はっ! お任せを! 」」」」」


俺はリムと以蔵たち全員に刻印を終わらせオージーたちの後に続くように言い、残りの待機組のオージーたちには子供たちを連れさっさと居住区に戻るように指示をした。



「みんなお待たせ! 」


「お〜アイツらも探知の魔法をもらったのか! 以蔵と静音との模擬戦が楽しくなりそうだな! 」


「みんなお揃いよね。私はリムたちが喜んでいるのを見てホッコリしていたわ。ダーリンてマメよね」


「良い働きをしたらそれ相応の対価をあげるのところなんて、コウは経営者に向いてるんじゃないかしら」


「光希は優しいんです。だから魔族でもついてくるんですよね」


「うふふ、主様は優しいですから」


「訓練の効率化の為だよ。探知があれば魔物の誘導が捗るからね。よしっ!クオンに乗ってくれ! 」


「ぷっ! そういうことにしておくわ」


「ふふっ、コウは素直じゃないわね」


俺は恋人たちのからかいの声をスルーしてクオンに乗り、門の周辺にブレスを吐かせた。

クオンのブレスにさらされた建物は燃え上がった後に倒壊し、蘭たちに倒された中華兵の亡骸は塵と化した。これで3000人が消えても誰も疑わないだろう。空は曇りだし衛星からも見えていないはずだ。


そして俺たちは北京の門の周囲を満遍なく廃墟とした後に、ロシアの港へとクオンを向かわせた。






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