第9話 クレイジーシスターズ






俺たちは日本政府に実力を証明するために、人のいないフィリピンのルソン島にある門から方舟の中世界草原フィールドへとやってきた。

門を潜ると外の世界と連動しているのかフィールドは闇に包まれていた。暗視を発動すると見渡す限り草原が広がっており、ところどころに大樹が鎮座していて川も流れているようだった。かなり広いフィールドでグリ子に乗っても最奥まで数時間は要しそうだ。探知には多くの魔物の反応と野営をしているのだろうか? フィールドの端の方で一定の距離を保っている100人ほどの集団の反応がいくつもあった。


「上からも見てみるか。グリ子! とりあえず上空へ飛んでくれ! 」


キュオォォン


俺は門の入口で色々と試した後に、上空からフィールドの形を確認するべく皆を置いてグリ子を飛び立たせた。


ゴンッ!


キュオッ!?


「え!? 天井!? 飛行制限あんのかよ!? マジか〜」


グリ子を飛び立たせると結界が何かに当たる音がして、グリ子がそれ以上高度を上げることができなかった。どうやらこのフィールドは飛行制限が掛かっているようだ。


「ここはどれくらいの高さだ? あの大樹が10mくらいだから……高度50mくらいかな。地上から魔法撃たれたら当たるな……うーん、まあいいか。グリ子! みんなの所に戻ってくれ」


キュオォン


「どうしたのダーリン、なにかあったの? 」


「急に上昇やめたわよね? 何か見つけたの? 」


「それが飛行制限があるみたいなんだ。恐らく50mほどまでしか高度を取れない」


「ええ〜? 低くない? 富良野ダンジョンなら200mは余裕だったのに〜」


「げっ! そんくらいしか飛べないのか!? あたし頭をぶつけそうだ」


「ヘリコプターとか使わせないためかしら? 」


「シルフィ、ヘリじゃ飛行系魔物にすぐ落とされるわよ。遠距離砲撃対策かもしれないわ」


「あ〜遠距離砲か……確かに付与魔法覚える人が出てきたら迫撃砲とか高射砲は、フィールドでは有効になるよな。魔物が多いなら尚更だな」


「なるほどね〜神様も人間の兵器をよく見てるわね」


「そうみたいだね。リム! 飛行制限が掛かっていて50mより上は行けなさそうだ。飛ぶ時は気を付けるように皆に伝えてくれ」


「ハッ! お気遣いありがとうございます。皆に伝えます」


「セルシアも俺が渡した結界を常に張っておくんだぞ? お前は絶対頭ぶつけるからな」


「えへへへ、わかった! 旦那さまからもらった結界の腕輪に守ってもらうよ! 旦那さまに守ってもらいながら戦うんだ。えへへへ」


「せるちゃんかわいい! 」


「わっ! 蘭! いきなり抱きつくなよ! 女に抱きつかれても嬉しくないんだからな! へへへ」


頭ぶつけることは否定しないのな。まあセルシアも自信が無いんだろう。なんか蘭に抱きつかれて嬉しそうだしセルシアはほっとけばいいか。


「さて、他の国の連中は恐らく門の前の安全地帯で野営しているみたいだし、暗黙の了解なのか夜の戦闘はしないらしいから今のうちに攻略するか」


「抜け駆けしても増えた魔物を単独で倒せないからかしらね 」


「私たちには関係ないけどね。で? コウ、どうするの? 結構魔物は散らばってるわよ? 」


「まずは中央までみんなで行こう。インカムの調子を再度確認してくれ。移動中に段取りを説明する。シルフィと以蔵と静音は俺と一緒にグリ子に乗って、蘭たちはそれぞれ一頭づつに乗りサキュバスとダークエルフを後ろに乗せて飛んでくれ」


「わかったわ」


「「はっ! 」」


「一頭づつ? あ、探知魔法を使って何かやるのね。わかったわ」


「蘭が露払いします! 」


「私も紫音ちゃんと桜ちゃんを乗せて蘭ちゃんと露払いします」


「わかった。それじゃあ蘭と夏海が先導してくれ。他の皆は左右を頼む。俺は後方から援護する」


「「ハッ! 」」


「「はっ! 承知致しました! 」」


そして俺たちは蘭と夏海が乗るグーリーとグーミーを先頭にフィールド中央へと向かった。

途中、黒死鳥が率いる夜魔切鳥の群れに何度か襲われたが、蘭の天雷と夏海の天津青雷刀に付与されている天雷に一つ前に使っていた白雷刀に付与されている雷鳥で次々と撃ち落としていった。討ちもらした夜魔切鳥は紫音と桜が闇精霊魔法で問題なく仕留めていき、凛が出番が無いとボヤいていた。


「この辺でいいかな。それじゃあさっき説明した通り準備をしてくれ」


「わかったわ! まさか魔誘香を使って一箇所に集めるなんてね。豪快よね! 」


「この普通じゃしない発想を見て育ったんだから、やっぱりコウにランちゃんは似たんだわ」


「確かに大量の魔物を一箇所に集めれば、ボスを出現させる条件がすぐに揃いますね。光希以外やろうとは思わないでしょうけど」


「お、お屋形様は本当にこのフィールドの魔物を集めるおつもりなのか……」


「…………ふっ……桜はまだ光希様を過小評価している。光希様は私たちを助ける前に数十万の死霊の軍団を一撃で消滅させた。これくらいよゆー」


「し、紫音それは本当? 私は聞いてないぞその英雄譚! 」


「……桜は光希様に対する想いが足りない……その差」


「くっ……私としたことが……紫音に後れをとるなんて……」


「……姉より優れた妹はこの世に存在しない。それだけのこと」


「双子なんだからそんなに違わないでしょ! 」


「あらあら紫音に桜? お屋形様の命令を聞いてなかったのかしら? 早く準備して行きなさい! 夏海さんが待ってますよ! 」


「は、はい! 」


「……はい」




「よしっ! それじゃあ魔誘香を全員持ったな? 蘭と凛と夏海が探知で魔物が多くいる場所に行くから、他の者は凛と夏海の後に付いて行って飛行系魔物の処理を頼む。それじゃあ行ってくれ! 」


「わかったわ! それじゃあ行くわよ! しゅっぱーつ! 」


「いいなー! 転移だけじゃなくてみんな探知も使えるのかー! 空間魔法いいなー! 」


「セルシア! 頑張って蘭のフォローをしたらご褒美に探知魔法使えるようにしてやる。だからいい子にしてろよ? 」


「え!? 旦那さま本当か!? わかった! 蘭をしっかりフォローするよ! 蘭、早く行こう! 」


「うふふふ。せるちゃんはしゃいで可愛いです。それじゃあ行きますよー! 鳥さん達はせるちゃんに任せます」


「おうっ! あたしに任せな! 全部叩き落としてやるんだ! 」


セルシアは探知を覚えたら少しは慎重になるかなと思って言ってみたが、あんまり変わらなさそうだな。セルシアに何かあったらシルフィと蘭が悲しむからとついつい甘やかしちゃうんだよな。


俺が皆に出発するように言うと北と東と西の三方向にそれぞれ散って行った。それを見届けて俺は南から魔物を誘導するべく、シルフィと以蔵夫婦を乗せて来た道を戻っていった。



そして2時間後。

俺はユニコーンの亜種でかなり気性の荒い二本角のバイコーンが率いる黒鬼馬の群れを引き連れ、フィールド中央に戻っていた。そして前方を見ると蘭がBランクの白狼が率いる黒狼の群れを引き連れこっちに向かって来た。


「主様〜! 大漁です! 魔誘香凄いです! 」


「旦那さま〜! 蘭をちゃんとフォローしたぞ! 探知魔法楽しみにしてるぞ! 」


「お帰り。セルシア上出来だ。テントに帰ったら使えるようにしてやる」


「やったー! えへへへ、楽しみだな〜」


「静音、お屋形様は魔法を授けることができるのか? 」


「わからないわ。でもお屋形様ならなんでもできそうよね」


「以蔵さんに静音さん。コウは身内しかいないからああ言ってるけど、他言は無用よ? 」


「シルフィーナ、ではやはり……もちろん他言などしない。しかしなんというお方だ……」


「本当にできるのね……もちろん他言はしないわよ。でもとんでもない能力よね……」


シルフィがフォローしてくれたが、別に以蔵たちが吹聴するなんて思ってないからな。大丈夫だと思ったから皆の前で言ったんだ。もうそれくらいの信頼はしているさ。


「キャーキャー! ハズレ引いたわ! オークアーチャーとウィザードとか! 黒死鳥の群れに囲まれて手こずっている間にグリ美の結界破られて焦ったわよ! 何度殲滅しようと思ったか! 」


「光魔王様! ボクすっごい無双したんだよ! 」


「ミラ! 結界の腕輪の魔力が切れてるだろ! 黒死鳥の群れに突っ込むとか馬鹿なのか死ぬのか? 」


「ミラ姉さんがスフィンクスに挑んだ時の反省を綺麗さっぱり忘れていて、さすがの私もドン引きですわ」


「光希! オーガの群れを見つけたので連れてきました! 」


「こ、黒死鳥強い……」


「……結界の腕輪の魔石が切れるところだった」


俺が蘭とセルシアを迎え入れたタイミングで東西から同時に凛と同乗していたリム三姉妹に、夏海と紫音姉妹がそれぞれオークとオーガの群れを引き連れて戻ってきた。凛は遠距離攻撃をしてくるオークの群れを引いてハズレだと叫び、ミラは……また無双モードに入ったんだな。懲りないやつだ。

紫音と桜は魔力切れか……まだ二人には厳しかったかな?以蔵と静音が首を横に振ってるしな、まだまだってことなんだろう。


「よしっ! みんなご苦労さん! ざっと3000ってとこかな? オーガキングもいるな。みんな中央に寄れ! 一気に殲滅して経験値もらうぞー! 凛と蘭はアレをやっていいぞ!」


「え? いいの!? ひっさしぶりー! 蘭ちゃんやるわよ! 」


「はい! 凛ちゃんとのオリジナル魔法をお披露目です! 」


「ま、まさか……凛とランちゃんはアレをここでやるの!? 」


「確かに上海の時のようにアレをやるには環境が整ってますけど……」


「紫音? 蘭さんと凛さんの魔法ってなんだ? 知ってるか? 」


「……わからない……けどあの二人はそれぞれ中華広東共和国で狂炎の魔女と暴虐の天狐と呼ばれている。二人が揃うとクレイジーシスターズとも呼ぶ人も」


「な、なんだその二つ名は……何をしたらそんな物騒な二つ名が付くんだ……」


紫音と桜が不安がってるが適度に凛と蘭は暴れさせないと駄目なんだ。わかってくれ。大丈夫、上級結界を俺とシルフィで二重に張るからな。

それにしても酷い二つ名だな……


「よしっ! 二人ともいいぞ! 『女神の護り』 」


「二人ともほどほどにするのよ? 紋章『女神の護り』 」


「シルフィわかってるわよ。よ〜し蘭ちゃん行くわよ〜 魔力全開! 『豪炎』」


「はい! 行きます! 『竜巻刃』」


「凛と!」


「蘭の!」


「「『暴虐の炎』」」


ゴゴゴゴゴッ!


「し、紫音! な、なんだアレは!? 」


「……凄い魔力」


「ヒャッホーイ! 蘭お妃様も凛お妃様もすごいやー! ボクもあんな大魔法撃ちたい! 」


「ユリ……私はミラをこの結界から叩き出したくなってきたぞ」


「あらリム姉さん奇遇ですね。私も全く同じことを思ってましたわ」


蘭と凛が発動した火炎竜巻は、周囲に集めた魔物たちを焼き払いながらかなりの速度で俺たちの周りを移動していた。あれ? なんか速くね? 前はもっとゆっくりだったような……それに火力強くないか?


「あははははは! 凛! なんだこの炎! 熱いぞ! あたしの火龍の咆哮より熱そうだ! 」


「馬鹿! 凛のおバカ! 全然わかってないじゃない! なんで賢者の杖を持って発動してるのよ! 火力強すぎよ! 」


「あ……賢者の杖しまうの忘れてたわ……」


「凛ちゃんまたなの!? だから考えてから行動しなさいっていつも言ってるでしょ! 」


「り、凛ちゃんちょっと制御厳しいです。練習より火力が……ら、蘭はギリギリです……」


「あ、熱い! し、紫音! シルフィーナさんと夏海さんが凛さんを怒ってるぞ? だ、大丈夫なのか私たち 」


「……ヒント……クレイジーシスターズ」


「大丈夫じゃないってこと!? 」


パリーン


「主様ごめんなさい! 制御失敗しました! 結界が……」


「大丈夫だ蘭、二重に張ってあるから。まったく凛はいつもどこか抜けてんだよな。シルフィ、消してやってくれ」


「はあ〜もうしょうがないわね……これは魔力かなり込めないと厳しいわね。シルフ! 特位精霊の力を見せてあげて! 『シルフの鉄槌』 」


ドンッ!


俺は蘭が苦しそうにしているのでシルフィに魔法を消すのを頼んだ。シルフィはやれやれって顔でかなりの魔力を消費して精霊魔法を発動した。

特位精霊が放つ精霊魔法は凄まじく、火炎竜巻はまるでロウソクの火にコップをかぶせた時のように一瞬で消え去った。


「なっ!? こ、これがシルフィーナさんの精霊魔法……」


「……これが特位精霊……」


「紫音、桜? よく見ておくのよ? お父さんやお母さんでも到達できていない特位精霊の力を」


「はい! シルフィーナさんはいったいどれほどの鍛錬を積んだのだろう……なんて凄い人だ……」


「……過去勇者様のパーティにいたエルフしか到達できなかった領域にシルフィーナさんが……」


え? 魂が融合したら昇格したんだけど? それまでシルフィは事務仕事しかしてなかったんだけど?

なぜか紫音と桜がシルフィを尊敬の眼差しで見ていて俺は困惑した。シルフィはドヤ顔してるし、実は棚ぼたとか言ったら怒られそうだな……


「シル姉さん助かりました〜凛ちゃん酷いです」


「シルフィありがと! 蘭ちゃんごめんね。ついうっかり賢者の杖しまい忘れてたわテヘッ♪ 」


「凛? あなたは注意力が足らないのよもうっ! コウがいるからって気を抜き過ぎよ! 」


「ごめんなさーい」


「まあいいさ、何かあっても対処できるから魔法を許可したんだしな。それにほら、魔物は全滅して……なんだ? 突然……ああそういうことか……」


「え? なに? ダーリンどうした……あっ、いきなり探知に……」


「突然現れたわね。一番多く魔物を倒したパーティの近くに現れるってことなのかしら? 」


「シルフィ、でも距離的には微妙よ? 近くもなく遠くもないって感じよね」


「後方に現れたことから他のパーティがいる所との中間地点てとこかな? でもこっちに向かって来ているから、多く魔物を倒したパーティの方が優先権があるってとこかもな」


俺がシルフィと凛の会話に入ると突然探知に500ほどの魔物の集団の反応が現れた。恐らくボスの軍団なのだろう。それは門と俺たちの中間地点に現れ、俺たちのいる場所に凄いスピードで近付いてきている。

この速度は狼か馬系かな。しかし、もしこのフィールドに何千人もいたらこのボスの軍団は氾濫なみの数になるんじゃないか? そりゃ中世界の攻略は少数でやるはずだよ。BやCランクの魔物の氾濫とか上級ダンジョンの氾濫レベルだからな。壁があるわけでもないのに普通の人間じゃ無理だろ。


「来たわ! 黒狼と白狼に……あれは? 」


「白狼王よ! Aランクよ! 」


「ひゃー! Aランク魔物だよリム姉さん! あーこんな時に結界の腕輪の魔力が無いや! ボクの急降下突撃が……」


「まったくミラは懲りないな……でも私たちの出番はなさそうだ」


「光魔王様が前に出ましたわ。私たちは下に降りて魔石と素材を拾いましょう」


「そうだね、光魔王様なら一瞬で終わらせちゃうから帰る準備しとかなきゃ」


俺はミラたちの会話を聞きながら前に出た。どうやら野営していた各国の軍が俺たちの存在と、ボスが現れたことに気付いたようなので一瞬で終わらせようと思ったからだ。まあ、あれだけ派手な魔法を撃ったからな。普通気付くよな。


さて、もう少しで射程に入るな。


「俺がやるから下がっててくれ。リムたちはここでドロップ品の回収を、蘭たちと以蔵たちはボス討伐後に出る鍵とドロップ品の回収を頼む」


「ハッ! 光魔王軍降下せよ! 」


「はっ! 」


「どんな鍵かしら? 」


「金色の鍵らしいわよ? 」


「神殿の鍵だから豪華なんじゃない? 方舟も黄金だし」


「神様って派手好きよね〜」


「ほんと派手好きだよな。よしっ! 射程に入った!『 プレッシャー』 」


ドンッ!


「あ……消えた……」


「一瞬だったわね。あんなに広範囲に地面が凹んでるわ」


「魔物が止まったと思ったら消えましたね」


「さあ、鍵回収に行くぞ! 」


俺は魔力をかなり多めに込めたプレッシャーを放ち白狼王ともども押し潰した。それは一瞬の出来事で、白狼王率いる軍団はその場にドロップ品のみ残し消え去った。

死体が残らないっていいよな。残ってたらもの凄い惨状になっていて、みんなから白い目で見られてただろうな。でもこの強さのプレッシャーは人間には使えないな。エグ過ぎる。


「お屋形様ありました! 」


「結構大きいわね。手のひらくらいはあるわ」


「やっぱり豪華な鍵だったわね」


「金だけではなく宝石も散りばめられてますね」


「桜ありがとう。しかし無駄に豪華だな……ドロップ品を回収したら上空に上がれ! 軍が来るぞ!?急げ! 」


「「「はっ! 」」」


桜が見つけた鍵は昔の鍵のような形で、俺の手のひらくらいの大きさに無駄に装飾がされていた。それはもう金色に宝石が散りばめられていてゴージャスだった。鍵にここまで装飾する必要あるのかね。

しかし桜から鍵を受け取る時に忍び装束の胸の谷間が見えたけど、やっぱダークエルフの胸はぱっつんぱっつんだな。紫音の方が少し大きいか? いやしかし小麦色の肌にぱっつんぱっつんの巨乳とか堪んないな! しかも先端はピンク! 小麦色とピンク! 今年の夏は紫音と桜を海に誘って……おっと! いかんいかん、今はそれどころじゃない集中集中!


軍は車両を使っているようで俺たちを半包囲するように後方から近づいて来ており、雑念を払った俺は皆を急ぎ上空に上げてフィールドの最奥を目指して飛び立った。




「主様! 蘭が行った時は無かったのに神殿があります! 」


「神殿を光らせる意味あるの!? 追いかけてくる軍にバレバレじゃない! 」


「神様は争わせたいのかしら? 」


「神殿も金色なのね……ええ、知ってたわ」


「成金の家に入る気分だな。とりあえず行こう! 」


1時間ほど飛ぶと前方に黄金に輝くギリシャのパルテノン神殿みたいな建造物が見えた。それは中央に装飾の施された扉があり、絶対この鍵じゃ小さくて開けられないと思うほど巨大な金色の扉だった。

とりあえず俺は扉の前までグリ子たちを飛ばして、どうやって開けるかは到着してから考えることにした。


他国は開けれたんだから何か方法があるだろう。こういうのはたいていあの扉は張りぼてで、横に小さな扉があるパターンなんだよ。


あるよな?






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