第18話 仇討ち
ーー 台州市 台州川前 霧隠れの以蔵 ーー
ドンッ!
「くっ……一体何が……」
「きゃっ! ……以蔵」
「し、静音……ゾンビ共が……」
「か、川に押し寄せていたゾンビが……消えた?」
竜に乗った佐藤様が現れたと思ったら空が光り、その数瞬の後に光が地上に落ちた。そして遅れて何かが地上に叩きつけられるような音がし、光が落ちた場所を見てみるとそこにいた死霊の軍団が跡形もなく消えていた。
「しょ、消滅したのか? 20万以上いたあの死霊の軍団が? あれは魔法だったのか?」
「わからないわ……ただあの剣の輝きは父上が昔言っていた聖剣の輝きに間違い無いわ。聖剣から放たれた何かだったのでしょう……信じられない威力だわ……」
「まるで神による裁きの光を見たようだった……」
「勇者様とはここまでの存在だったのね……」
「長老の話を聞き知ったつもりでいたが、実際に目にすると長老達は控えめに言っていたのだな」
「これが魔王を倒す力……人族の短い寿命でこれ程の力を手に入れるにどれほど戦い続けたのか……やはり私達の主になるお方のようね」
「ああ、間違い無い。我々が身命を賭してお仕えするに足るお方だ……あ、あれは! 静音! エルダーリッチが!」
「……!? あの裁きの光に耐えたみたいだけど、どうやら瀕死のようね。さっきの勇者様の光の攻撃で結界を破られたんだわ。以蔵! 仇を!」
「応っ!行くぞ! 」
ゾンビ共が消滅した対岸を見ていると、ふらふらと宙に浮きながら川を背に逃げるエルダーリッチが目に入った。エルダーリッチの周囲にはただの一匹もゾンビやスケルトンがおらず、身に付けていた赤いローブもボロボロで宙に浮いていなければ錆びた王冠を頭に乗せている大きなスケルトンにしか見えなかった。
恐らく結界のお陰で消滅を免れたのであろう。しかし結界では防ぎきれず相当なダメージを負った様子で、逃げるその姿からはつい先ほどまで私達を圧倒していた力を感じ無かった。
私と静音は忍法水走りで川を渡り、憎き仇であるエルダーリッチの背を追った。
『……アイス……スピア……』
「なんだその腑抜けた攻撃は! 」
「そんなもの当たらないわ!」
「我が最愛の娘の紫音に桜! そして我が里の者達の仇を取らせてもらう!」
「私の宝ものだった紫音と桜の仇! 」
エルダーリッチは私と静音が背後から迫って来るのに気付いたのか、氷の槍を2本放って来たがその魔法には魔力が殆ど込められておらず速度も遅かった。私も静音もその攻撃をサイドステップを踏み容易に避け、クナイに魔力を込めエルダーリッチの剥き出しの頭蓋骨に突き刺した。
オオオォォォ
「これで終わりだ! ネルよ! その姿を百の刃に変え敵を切り刻め! 忍法『百連刃』 」
「 ネル! 闇の槍で串刺しにして! 忍法『百の闇槍』 」
オオォォォォ…………
「やっ……た……仇を……紫音……桜……父はやったぞ……里の者達よ……我が仇を取ったぞ……」
「うっ……うう……紫音……桜……みんな……」
私と静音の術により、40年探し求めていた憎き仇であるエルダーリッチは消滅した。
エルダーリッチがいた場所にはAランク相当の魔石が残されていた。
不思議だ……やっと仇を討てたのに何も感情が湧き出てこない。
そうか……仇討ちは娘達と里の者を守れなかった私の無力さと、やり場のない怒りをエルダーリッチにぶつけていただけだったのだな。私はエルダーリッチを憎む事で、それらから目を背け逃げていただけなのかもしれぬ。
仇のエルダーリッチがいなくなった今、残ったのは自責の念のみだ。これが仇討ちの結末か……
「静音……我等はこれから何を糧に生きていけばよいのだろうな……」
「以蔵……まだよ、あのダンジョンには紫音と桜の亡骸があるはずよ。あの子達を取り戻すのよ」
「そうであったな……全ての元凶である奈落のダンジョンを攻略し、我等の戦いを終わらせよう」
「ええそうよ、まだ何も終わっていないわ。最愛の娘達を失った復讐はこんな物では終わらないわ。奈落のダンジョンを潰して紫音と桜の亡骸をこの手に取り戻すまでは」
「ああ、潰そう。そして紫音と桜を我等の元に……」
あのダンジョンに紫音と桜がいる保証などどこにも無い。
だが、仇討ちを成し遂げた私達には次なる目的が必要だった。
あの奈落のダンジョンを潰すまでは私達の復讐は終わらない。
それでいい。
そう、これでいい。
ーー 台州川 最上流 多田 夏海 ーー
《あそこね! 蘭ちゃん聞こえる? ゾンビの逃げ道を塞ぐ為にメテオお願い! 一度見てみたかったのよね》
《凛ちゃん聞こえますよ〜 メテオですね! 蘭にお任せください! 大きいのいきます! 》
「え? ちょ、待って! お祖父様達が……」
《
「あああああ! 遅かったわ! 」
《あっ! お姉ちゃんの一族が川の向こうにいたんだったわ! でも大丈夫よ、探知ではお姉ちゃんの一族はもっとずっと手前だもの》
《メテオはかなり奥に目掛けて落としましたから大丈夫だと思います》
「お父さんお母さんお祖父様……」
私は光希と別れ、蘭ちゃんと凛ちゃんと一緒にそれぞれグリフォンと冥虎に騎乗しながら最上流へ向かった。そして戦場が見えた時にいきなりメテオを撃つ話になったので、インカム越しに慌てて止めたけど遅かったわ。
私の目の前には空から落ちて来る炎に包まれた隕石が見える……
ドゴオォォン!
《うわ〜 凄いわね最上級火魔法……蘭ちゃん羨ましいわ》
《うふふふ。この魔法書を手に入れる為に何度も最上級ダンジョンを主様と攻略して、やっと手に入れた物ですからね。主様との大切な宝物なんです》
《あ〜尚更羨ましいわ! この世界にも火系の最上級ダンジョン現れないかしら? そうすればダーリンと一緒に取りに行くのに〜》
「ふう……大丈夫そうね……凛ちゃんに蘭ちゃん! 魔法撃つ時はひとこと言ってからにして! 味方を巻き込んだらどうするのよ!」
《ごめんなさーい 》
《なっちゃんごめんなさい 》
「もうっ! 私が退かせるからそれまで絶対大きな魔法を撃たないでね! 私の家族を殺したら恨むからね!」
《わ、わかったわ》
《は、はい! 蘭はなっちゃんの指示に従いますっ!》
「ほんとにもう……ちょっと待っててね、四肢を切ってでも連れ戻して来るから」
《あ、はい……》
《なっちゃんの家族……家族? 》
「それ位しないと止まらないのよっ!」
メテオはかなり先の方に落ち広範囲のゾンビやスケルトンを押し潰し、衝撃波で消滅させたようだけどお祖父様達のいる所までは影響は無かったみたい。私は二人に釘を刺し探知に反応がある場所までグリ美と向かった。そこにはセルシアさんと一族と門下生達がゾンビ達に囲まれて完全に孤立していた。
「カーッカカカ! なんじゃなんじゃ今の隕石は! ぶったまげたわい! 空が光って天が落ちて来た次は隕石か! こりゃ豪華な祭りじゃのう! そらっ! 囲まれたぞ! 円陣じゃ! 斬って斬って斬りまくれ!」
「あらあら、天は落ちて来るし隕石は落ちて来るしで大盤振る舞いな戦場ね」
「お袋なに呑気な事言ってんだ! 包囲されたぞ! 俺はもう死ぬのはゴメンだからな!セルシアさん前ばかりじゃなくて後ろも気にしてくれ! 」
「ちょっと流石に前に出過ぎたみたいね。どうしようかしら……あら? あのグリフォンに乗っているのは夏海じゃない?」
「あ! 夏海だ! なら旦那さまも来てるってことか!」
「お父さんお母さん! それにお祖父様にお祖母様! 門下生の皆も! 退路を作るので退いてください! ……多田抜刀術改! 『雷鳥一閃』 」
私が両親の元へ空から高度を下げ近付くと、お祖父様の相変わらずの声が聞こえた。お祖母様は呑気な事を言いつつも薙刀を振るいゾンビを次々と斬っており、お父さんは包囲された事に気付いて焦っていた。お母さんが私に気付いたようだけど、早くしないと凛ちゃんが我慢できなくて魔法を撃つかもしれない。私は急ぎ雷鳥を家族と門下生の後方を塞いでいるスケルトンへと放った。
「なんじゃ夏海その一閃は! 雷が出たぞ! それにその刀! もしやミスリルか!?」
「まあまあ夏海ったら強くなったわね。お婆ちゃん嬉しいわ」
「夏海! 今掠ったぞ! お父さんに掠ったぞ!」
「今の旦那さまの魔法じゃんか! いーなーいーなー! 」
「セルシアさん、光希がすぐに下がるように言ってましたよ!」
「ええ!? 旦那さまが!? わかった! 下がって褒めてもらってくる! 」
私が光希からの伝言を伝えると、セルシアさんは後方へ飛んで行った。セルシアさんは光希の言う事を聞くからすぐ下がってくれたけど、褒められはしないでしょうね……
さて、問題のうちの家族は素直に下がってくれるかしら……
「夏海ありがとう! これで後方を気にしないで戦えるわ」
「「「お嬢!ありがとうございます! 」」」
「違うわよ! 退くのよ! お祖父様達が突出していたから光希が範囲魔法撃てなかったの! 退かないと凛ちゃんと蘭ちゃんの魔法に巻き込まれるのよ!」
「なんと! あの光の魔法は婿殿の魔法じゃったのか! まさかワシが婿殿の邪魔をしてしまうとは……千歳!」
「わかってますよ十兵衛。 皆さん! 私達がどうやら婿殿の邪魔をしてしまったようです。ここは責任を取ってゾンビ達を殲滅しますよ!」
「「「はい! 」」」
「「「おうっ! 」」」
「仕方ない。佐藤君の足手まといのままじゃ退けねぇな」
「そうねあなた。義理の父と母の沽券に関わるわ! ここは死ぬ気で狩るわよ! 」
「違うわよ! なんでそうなるのよ! 危ないから退いてって言ってるのよ! なんで? なんでそうなるの!?」
なんで? なんでそう受け取るのよ! なんで自分の家族なのに話すとこんなに疲れるの!?
「夏海! 男には愚かな行為だとわかっていても、やらねばならぬ時があるのじゃ。今がその時なのじゃよ」
「夏海? お婆ちゃんは不名誉を背負ったまま生きていくほど、恥知らずな女じゃありませんよ?」
「義理の父としてここは退けねえんだ、わかってくれ夏海」
「夏海。義理の母としていいとこ見せないといけないのよ」
「お嬢様! これは門下生を募る戦いなのです!」
「そうよ! 不名誉のままじゃ門下生が集まらないわ」
「なに言ってるのよ! みんな戦いたいだけでしょ! 退いて見てるだけなのが嫌なだけでしょ!」
「「「「「………………」」」」」
私がそう言うと門下生含め全員が明後日の方を向いた。
くっ……この人達は!
そう……わかったわ……そんなに生死を賭けて戦場にいたいなら、そんなにここにいたいならいさせてあげるわ。光希の邪魔をするだけじゃなくて言う事も聞かないなんて、このままじゃこの人達のせいで私も光希に距離を置かれてしまうかもしれない……
ここは心を鬼にしてキツイお仕置きをしておかないと、後で後悔する事になりそうだわ。
「わかったわ……そんなにここで戦いたいならいればいいわ……蘭ちゃん凛ちゃんもう良いわよ。好きなだけ魔法を撃って」
《え? なっちゃんいいのですか? まだ十兵衛さん達がいますよ? 》
《お、お姉ちゃん声が怖いわよ? 何があったの? 》
「何も無いわ……早く撃って! 」
《ひっ! 蘭ちゃんこう言う時のお姉ちゃんの言う事は黙って聞くのが正解よ。アレをやるわよ! 》
《は、はい! やります! 》
「なんじゃ夏海、意味深な事を言いよってからに。それよりセルシアさんがいなくなったからの。また囲まれないようしっかり後方を見とくんじゃぞ! 」
「そうですよ夏海。私達は責任を取らないといけないのです。さあ! 皆さん突撃しますよ! 」
「「「はい! 」」」
「おい秋子……夏海の様子が少し変じゃないか? 」
「あなた不味いわ、夏海凄く怒ってるわ……」
「お祖父様お祖母様。せっかく若返ったのに冥土に行く時間が変わらず残念です。お父さんお母さん。産んでくれてありがとうございます。私は家族がいなくなっても光希と幸せに暮らし、新しい家族を作るので心配しないでください。門下生の皆、愚かな一族でごめんなさいね。恨むならお祖父様とお祖母様を恨んでね。ではさよなら……」
「なっ!? おいっ! 夏海どう言う意味じゃ!」
「夏海? お婆ちゃんはまだまだ長生きしますよ? 」
「夏海! なんだその俺達の葬式で言うようなスピーチは! 」
「不味いわ、あなた! 退くわよ! 夏海は本気よ! 」
《凛と! 》
《蘭の! 》
《『暴虐の炎』 》
私が家族に別れを告げた時、無線を通して炎の死神を召喚する声が聞こえた。
「な、な、なんじゃあれは! 火炎旋風だと! なんでこんな何もない河原であのような巨大な火炎旋風が起こるんじゃ!」
「十兵衛……あれは不味いわ、動きが読めない上に大き過ぎるわ……」
「魔法か! なんだ? こんな魔法知らないぞ! 隕石と同じ火魔法か!? 不味い!逃げるぞ! 」
「あ、あなた! ゾンビ達が吸い込まれるように呑まれて消えていってるわよ! しかもこっちに向かって来る! に、逃げなきゃ! 巻き込まれたら塵になるわよ! 」
「こ、これはいかん! 退避! 退避じゃ! 」
「「「た、退避! 」」」
「「「キャー! 無理! あれは無理! 」
「 『雷鳥一閃』 」
ドンッ!
「あばばばば! な、夏海! 何をするのじゃ! 危なく直撃するとこじゃったぞ! と言うか掠ったぞ!」
「退避はしないと聞きました。どうぞ思う存分前線で戦ってください。下がる者は斬り捨てます」
「なんじゃと!? あの火炎旋風が見えぬのか! あんなのどうしようもないわい! そこを退くのじゃ!」
「退きません。 愚かな行為でもやらねばならぬ事があるのでしょう? 存分におやりになればよろしいかと」
「な、夏海? お、怒っておるのか? 」
「夏海? お婆ちゃんのお願いよ。そこを通してくれないかしら」
「夏海? お母さんが悪かったわ、そこを退いてくれないかな〜」
「いいえ、お祖父様とお祖母様は退かないとおっしゃいました。責任を果たすとも。さあ、前線へお戻り下さい。 そして責任を果たしてください。神の雷を我が剣に 『神威雷現連斬』 」
「ぎゃー! 夏海!今のは結界が無かったら致命傷だったぞ!」
「十兵衛いけません。夏海は本気で怒ってます。このままでは全滅しますよ!」
「熱っ! おいっ! 火炎旋風がどんどん近付いて来てるぞ! ヤバイって! 」
「お義父さん! 謝って! 夏海に謝って!生きたまま火葬されるわよ! 」
「蘭ちゃん私達の事は気にしなくていいわ、遠慮無くゾンビを火葬していって」
《は、はい! 》
《蘭ちゃん気を付けてね、本当に当てたらダーリンに怒られるわよ!》
《うう……なんで蘭はこんな事になってるのか……主様……》
蘭ちゃんごめんね巻き込んで……
「熱っ! な、夏海! お爺ちゃんが悪かった! 調子に乗って前へ出過ぎた! この通りじゃ! 」
「お婆ちゃんも悪かったわ。もう夏海に恥をかかせないわ。本当よ約束するわ」
「夏海! お父さんもちょっと若くなって自制が効かなくなってたようだ、若さに引っ張られた……熱っ!……だけなんだよ」
「熱っ!……夏海! お母さんも若くなって身体が動くようになったからついつい調子に乗ったわ、熱っ! ごめんなさい言う事聞くから」
「熱っ! お嬢様! 正気に戻って!」
「お嬢様! わ、私達は命令に従っただけなんです!」
「……お祖父様とお祖母様とお父さんお母さんは武器を置きなさい。私が当分預かります。それが聞けないならそこで火葬されればいいわ。それとも私と戦いますか?」
私はそろそろ頃合いかなと思い条件を出した。
「武器をじゃと! 武器は武士の魂じゃぞ! それを手放せと申すのか!」
「十兵衛! いう事を聞きなさい! それとも夏海と戦いますか? 強いですよ? 戦っている間に火葬されますよ? よしんば勝てたとしても婿殿に間違い無く全員殺されます!」
「オヤジ! 詰みだ! 武器を置け! 俺達には選択の余地は無い! 佐藤君だけは怒らせるな! 彼は夏海の為ならなんでもやるぞ!」
「お義父さん! 夏海に刃を向けるなら私も敵に回りますよ! いい加減にしてください!」
「ぐっ……婿殿はいかん……夏海の為なら本気でやりそうじゃ……」
最後まで抵抗したお祖父様も光希が怖いのか諦めて武器を置いた。確かに私が傷付いたら例えお祖父様でも光希は斬るでしょうね。なんにせよお祖父様達の武器は当分預かるわ。強い武器があるから前に出るんだから、しばらくは前の武器を使っていればいいのよ。
「よろしい。では全員退きなさい! この戦場は私達Light mareがもらい受けます。後方で見ていなさい!」
「「「はい! 」」」
「熱っ! 退け! 退け! 夏海! 預けるだけじゃからな! ちゃんと返すのじゃぞ!」
「十兵衛走りなさい! 生きたまま火葬されますよ!」
「あーあ、黒鉄が……最初から退けばよかったな」
「夏海を怒らせたのは失敗だったわ。少し大人しくしておきましょう。黒鉄の剣の為に」
家族の皆は文句を言いながら全力で走って退いていった。
まったく、本当に手間が掛かる人達だわ。
「蘭ちゃんありがとう。もう進路変えてもいいわよ」
《はい〜 制御きつかったです 》
《ここまでやってやっと……十兵衛さん達に関わるとロクな事無いわね》
「蘭ちゃんごめんね。あんな家族で恥ずかしいわ」
《うふふ。蘭は家族がいないから羨ましいです 》
「あ……ごめんなさいね。でも、蘭ちゃんと私は家族よ。凛ちゃんもシルフィだってそうよ」
《そうよ! 蘭ちゃんの家族はいっぱいいるのよ! 私達は姉妹なんだから!》
《……はい! みんな家族です! 蘭は嬉しいです! 》
「蘭ちゃん可愛いわ」
《蘭ちゃん可愛い……》
蘭ちゃんは本当に可愛い。光希絡みの事になると冷徹になるけど、それは光希を愛し一番に思っているから。そこは私も同じような気持ちだから理解できるわ。蘭ちゃんほど過激じゃないけど……
それも含めて普段のほほんとしている所も、どこかズレた天然発言もシルフィに甘える姿も本当に可愛いわ。あの尻尾の振りが感情とリンクしているのが見ていて癒されるのよね。
クォォォォン
「クオンがやっと来たみたいね。リムさん達と残りのゾンビ達を狩りましょう」
《ヘタレ竜遅いわよ! ブレス吐かせまくらせるわ! クオンには蘭ちゃんと私で乗るからお姉ちゃんはリムさん達の指揮をお願いね》
「わかったわ。光希に任された戦場だから私達で殲滅するわよ」
《蘭も頑張ります! 》
《蘭ちゃん今度はもっと大きい奴作ろう!》
《うふふふ。限界に挑戦です!》
大丈夫かしら? リムさん達に近付かないように言っておかないといけないわね。
それにしてもリムさん達の光希への忠誠心は凄いわ。一体何があったのかしら? 光希に良く尽くしてくれてはいるんだけど、やたらと世界征服させようとするのよね。注意して見ておかないと光希を魔王にされそうだわ。優秀な良い子達ばかりなんだけどそこはやっぱり魔族なのよね。
さて、そのリムさん達と合流しないと。
それから私は後方から来るリムさん達と合流し、川向こうのゾンビとスケルトンに向かって行くのだった。
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