3話





「セルシア!」


「…うっ…ううっ……シル」


こちらへ向かって来るヘリが俺達の頭上を通り過ぎ しばらくするとシルフィが冒険者連合の職員と思われる女性2人を伴って走って来た。

シルフィはセルシアの姿を見付けると名前を呼び辛そうな顔をした後にゆっくりと近付きセルシアを抱き起こした。


「ああ…セルシア……馬鹿!だからあれほど言ったのに!止めたのになんで!こんなになって竜化までして元に戻らなくなるまで馬鹿!なんですぐ負けを認めなかったのよ!勝てるはずないでしょ!全盛期の私達のパーティだって秒殺されるような相手に!すぐ負けを認めればこんな事にはならなかったのよ!竜人族ってなんでそんなに意地を張るのよ馬鹿!」


「うっ…ううっ…シル…ごめん…あたし…負けたくなくて…人族の…男に…」


「…過去私達の世界を救った勇者様は全員人族よ、貴女人族を侮り過ぎなのよ!人族は確かにどの種族よりも力は弱いわ、でも稀にとんでもない力を持った英雄が現れる彼はその1人なの!なんで戦っていて分からないのよ!」


「あ、あたし…ううっ…もう竜化したから…後に引けなくて…ううっ馬鹿だ…一生もう…ひっく…このままの姿…腕も…足も…一本しか…あるけ…ない…もう戦えない…ううっ……ううううぅぅ…あぁぁぁぁ……」


シルフィが目に涙を浮かべながらセルシアを説教してるんだが俺はもの凄く居心地が悪かった。

別に俺は一方的にセルシアの都合で戦わされただけだしな、両手両腕切り落とされて負け認めないとかほんとドン引きだし、それでも憎しみの篭った目で俺を見ていたから元に戻れば間違い無く面倒な事してきただろう、下手したら恋人達を巻き込んだかもしれない。殺すか2度と戦えない身体にするしかなかった、うん俺は間違ってない。


「光希様…申し訳ありませんでした私のせいで…ご面倒をお掛けしました」


「気にするな、もっと早く負けを認め契約を受け入れればここまでするつもりは無かったんだがな、若い竜人族はいつもこうなる」


「うっ…ううっ……ぐぅぅぅ…」


「……セルシア部屋を取ってあるわ、まずは残った腕と足を付けましょう…2人ともボーッとしてないでこっちに来て手伝いなさい!」


「「は、はい!」」


シルフィが哀しそうな顔で自分のせいでセルシアを俺のところに来させてしまった事を謝罪した後、世界最強のセルシアのボロボロの姿を見て驚愕していた女性職員2人に声を掛け3人でセルシアを運んで行った。

俺は手伝ってこれ以上セルシアを惨めにするのもなと思いシルフィにそっと上級ポーションを渡し黙って見送った。

3人の姿が見えなくなると俺はその場に寝転がりサンサンと照りつける太陽を見ながら少し休む事にした。

あーめんどくさかった!




それから太陽の元気が無くなるまで今回の事や昔竜人族の里を襲撃した時の事、その時に里の竜人女性達の俺を見る熱い眼差しとその夜に女性達の夜這いを受けた事、蘭が女性達を追い返した事など忘れていた事などを思い出しそう言えば獣人の女も強い雄には弱かったな、などと嫌な予感を覚えつつもまさかなとその想像を一笑に付していた。

そろそろ腹も減ってきたので蘭に終わったよと念話を送りマンスリーマンションまで来るように伝え、俺は起き上がり岩陰に移動してゲートを開き本島へ3人を迎えに行った。

俺がマンションに着くとすぐに3人がやって来た。どうやら近くの喫茶店でずっと待っていたらしい。

3人は何も言わず俺の事をそっと抱きしめてくれ、俺はどこか暗かった気持ちがどんどん癒されていくのを感じた。


「蘭、凛、夏海ありがとう。もう大丈夫だよ、御飯まだだろ?食べに行こう」


「はい主様」


「うん」


「はい」


俺を心配してくれる3人にいつまでも暗いのは性に合わないので御飯でも食べて遊んで気分転換をしようと俺は3人を街へ連れ出し沖縄料理のお店で早めの夕食をとった。

沖縄料理店でソーキそばや見た目はグロいけど美味しい魚やゴーヤ料理など堪能した俺達はゲームセンターに行き、皆で対戦ゲームをしたり皆でプリクラを撮ったり1人づつキスをしているプリクラを撮ったりと良い思い出になった。ゲームセンターを出て辺りが暗くなり少しお酒でも飲もうかと居酒屋の個室に入りビールにサワーなどを飲みながら皆とたわいも無い話題で盛り上がった。

この世界は成人年齢が昔の名残で16歳となっているが酒とタバコは18歳からとなる。それでも俺が生まれた世界よりは2年早い、命懸けで戦っている探索者や冒険者が社会の一定数を占めている為その辺の違いなのかもなと俺は納得した。


ただ、19歳の凛は酒に弱く酔うとひたすら甘えて赤ちゃんみたいになるので可愛いがめんどくさい。

俺は甘えて抱きついてきて、ちゅーしてちゅーしてとだだを捏ねる凛を宥めながらおんぶをし店を出て隣でニコニコ笑っている蘭と夏海を連れて物陰に入り離島のホテルへ転移をした。


「ほら、凛着いたぞ…って寝てるし」


「あらあら凛ちゃん赤ちゃんみたい、うふふふ」


「いつもは酔っても愚痴を言う位なんですけどね、光希がいると何故かこうなりますね。ふふふ」


「甘えたいんだろ、恋人に甘えられるなんて大歓迎さ。蘭だって小さい時は…」


「あっ!主様!また蘭の幼い頃のことを皆に言おうとして!駄目ですよ!」


「蘭ちゃんの小さい頃のお話は可愛いから私は好きです」


「あはははごめんついつい、こうしておんぶしてると蘭の小さい頃を思い出すんだよ」


「もうっ!蘭はもう立派な大人の女です、その証拠に今夜も主様を満足させます」


「わ、わたしもアレはまだできませんが口でその…満足してもらえるようご、ご奉仕します」


「いやはは、ありがとう蘭、夏海。ほら凛を着替えさせてベッドに寝かせてあげてきてくれ」


「はい主様」


「分かりました凛ちゃんの着替え出しておきます」


俺は寝ている凛をそっとソファに寝かせ後は2人に任せて室内着に着替えた。

その後蘭と夏海を連れ風呂に入りしっかり2人からの大人のご奉仕を受けそのままベッドへ2人を連れて続きをし、途中で起きた凛が隣の部屋からやってきて私を1人にしてズルイと怒りながら参戦して来た。

俺は前日の二の舞いにならないようそっと超精力剤を飲み恋人達の猛攻に耐え、反撃をし凛と蘭をベッドに沈めた。最後は夏海に昨日と同じく口で綺麗にしてもらい夏海を抱きしめながらその夜は眠りについた。



明けて翌朝、昨夜の疲れからか未だベッドで眠る凛の布団をひっぺがしその形の良いやわらいお尻をペチペチ叩いて起こしシャワーを浴びに行かせ皆で朝食をとった。

朝食を食べ終わり昨夜の疲れもあってかリビングで皆がダラダラしている時にシルフィが俺達の部屋に訪ねてきた。


「シルフィーナ疲れてるな」


「いえ、光希様や蘭さん、皇さん、多田さんにはこの度は折角のお休みの所セルシアが大変ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。これも私がセルシアの誤解を解けず逆に火をつけるような事を言ってしまった事が原因です。本当に申し訳ありませんでした」


「え?理事長は何も悪くないよね?セルシアさんが勝手に自分の思い込みで暴走しただけでしょ?暴走したあの人を物理的に止めれる人なんてどこにもいないんだし理事長は責任を感じる必要ないわよ」


「そうです理事長は止めたけどその制止を振り切ってセルシアさんが勝手に暴走しただけですよ、私たちは光希を信じて待ってましたので何も迷惑など被ってませんよ」


「竜人族とはそういうものです。シルね…シルフィーナさんは気にしなくてもいいです」


「昨日も言ったが竜人族の若い者とはああいうものだ。己の強さに驕り目を曇らせ判断を誤り、そして窮地に陥って竜化をし自滅する。彼女の不幸は己の弱さを教えてくれる存在が今までこの世界にいなかった事だ、シルフィーナが責任を感じる必要は無い。今回の事が無くとも遅かれ早かれいずれ俺に戦いを挑んできたさ」


「そう…かもしれませんね…ありがとうございます…」


シルフィは部屋に入りその疲れきった顔で俺達に今回の件は自分の責任だと詫びてきた。

恋人達はシルフィに責任は無いと言い、俺も今回の件が無くてもいずれ何処かで会い俺に戦いを挑んできたのは間違いないから気にする必要は無いと言ったが、相変わらずシルフィは暗く哀しい顔をしていた。


「本人の様子は?」


「昨日はあれからずっと泣いていて今朝は落ち着いたんですが、突然光希様の投稿した動画を見たいと言い出して…それを見て更に落ち込んでしまい…その姿があまりにも痛々しくて…うっ…ううっ…」


「理事長…」


「ずっと以前からお友達だとは聞いていましたが光希は降りかかる火の粉を振り払っただけです。女性に優しい光希がここまでした理由には私達を守る為にという事もあったのだと私は思ってます。私はまだ弱いから巻き添えにならないように心を痛めてまでした事だと私には分かるんです。ですから光希の心をこれ以上傷付けないでください。親しい友人の変わり果てた姿に悲しむのはいいですが光希がいない所でしてください」



「ご、ごめんなさい!そんなつもりは…光希様は当然の事をしただけです。同じ冒険者の宿泊先に襲撃を掛けるなど殺されたって文句は言えないのに生かしておいてくれました。それはきっとセルシアが私の友人だから、光希様を責めるつもりは無かったんですごめんなさい…」


「いやいいんだ、ありがとう夏海。俺がそうするべきと思ったからやった事だし親しい友人が傷付いている姿に心を痛めるのは当たり前の事だ、俺は気にしてないシルフィーナも気にする必要は無い」


「光希様…申し訳ありません」


俺がセルシアの様子を聞いたらシルフィが泣き出してしまいこりゃ聞かなきゃよかったなと思っていたら、夏海が俺の事を思ってシルフィに辛辣な言葉を突き付けた。嬉しいが今のシルフィの気持ちも分かる為俺はすかさずフォローを入れたが…シルフィも大分参ってるな。


「謝る必要なんか無いさ、で?シルフィーナはこれからどうするんだ?」


「セルシアをこのままにしておく訳にもいきませんのであと2~3日は付き添ってあげたいと思います。未だ彼女がここに滞在する事は光希様としては気分が悪いとは思いますがあの状態のまますぐに東京に連れて行くのも酷かと思いまして…」


「そうか…そうだな、シルフィーナならそうするな。気にする必要など無いさ、俺が言うのもなんだがしっかり支えてやってくれ」


「はい、今なら私の話を聞いてくれると思いますので同じ過ちを犯さないよう2人でしっかりと話し合いたいと思います。それでは皆さんお休み中の所失礼致しました。私はこれで失礼させていただきます」


「理事長…」


「シル姉さん…」


冒険者連合も設立して間もないこの時期にシルフィは友人の為に付き添い支えると言った。優しいシルフィならきっとそうすると思っていた俺はシルフィの腰に手を回し玄関の外まで付き添い送り出した。

リビングに戻ると恋人達は皆それぞれが複雑な表情をしていた。

それぞれがシルフィの事を心配したり俺の事を心配してたりと今日はなんだが遊ぶ気分でも無いので各人自由に過ごす事にした。


その日は蘭に成形を手伝ってもらい俺は自衛隊に卸す離脱球の生産をしたり凛の大叔父さんの真二さんに頼んでいた夏海と凛の装備の進捗を確認したり、各種関係者から来ているメールの返信をしたりM-tubeに次は何を投稿しようか考えたりと割とやる事が多く忙しく過ごした。

凛と夏海は2人でホテルの大浴場に行ったり浜辺を散歩したりリビングで映画を観たりとゆっくりと過ごしていたようだ。

夕食を皆で食べ終わる頃には皆すっかりいつもの状態に戻っており、凛と夏海を連れお風呂に入り最近蘭の指導の賜物かすっかり上手くなった2人の口撃に呆気なくノックアウトされてしまった。

いつの間にこれ程の…と恋人達の成長振りに嬉しいやら怖いやら複雑な気持ちを抱えつもその日は蘭と一緒にベッドで愛し合い眠りについた。


翌日はセルシアの来襲で中止になっていた釣りとバーベキューをする事にし、水着の上から透け透けのトップスを着たりラッシュガードやTシャツを着てまさに夏のバーベキューをするぞという姿で離れ小島へ船で向かった。

釣りは俺がイマイチな釣果なのに対し皆は次々と釣り上げていき、おかしいアトランでは俺はもっと釣れたのにと情けない言い訳をしたら蘭が首を傾げる仕草をして凛はそれをみて大笑いし夏海は慰めてくれるのだった。今よりは釣れてたんだよ本当なんだって!


釣りもそこそこにアトランの食材と日本の食材を使ったバーベキューを行いお互いに食べさせあったりビールを口移しで飲ませるゲームをしたり、王様ゲームをして蘭と夏海の濃いキスを見て興奮したりと俺は最高の時間を過ごした。

調子に乗った俺は自分が王様の時にスローとヘイストと転移を使い夏海の番号を盗み見て命令し、パレオを外させてそのTバック姿をガン見して恥ずかしがる夏海の姿に興奮してたら俺の魔法発動に気付いた蘭に、あらあら主様ズルは駄目ですよと怒られ皆にバレて青空の下全裸でそのまま居させられ最高の時間を自ら羞恥の時間に変えてしまった。

凛に大笑いされ夏海にチラチラの下半身を見られた俺は開き直り小さな森の中に凛をお姫様抱っこをして連れ去ってきゃーきゃー言う凛を木にしがみつかせ後ろから笑ったお仕置きをするのだった。


そんな楽しくも恥ずかしい皆とのバーベキューを終え迎えに来た船に乗ってホテルへ戻った俺達は凛がなかなか良かったと言っていた大浴場に行き1日の汚れを洗い流した。

オーシャンビューの露天風呂はとてもいい気分で、今度部屋に付いている露天ジャグジーバスに夜に皆で入り灯りを消し真っ暗にして遮音を掛ければ…と俺は色々とエロい計画を立てていた。


その後夕食を食べ皆で寛いでいるとシルフィから連絡があり、明日東京に戻るとの事で最後に挨拶に行きたいという事だったので皆で相談してこっちに来てから色々と大変だったシルフィを労おうとお酒とおつまみを用意してシルフィが来るのを待っていた。


そして呼び鈴がなり凛が出迎えに行きドアを開けた所で固まっていたのでどうしたんだと思い凛の側へ行くと、そこには申し訳無さそうな表情のシルフィとその側に車椅子に座った片腕と片脚の大きな長袖の白いワンピースを着て俯いて震えているセルシアがドアの外にいた。


「ごめんなさい何も言わず連れて来てしまって…言えば彼女達の反発を受けて会ってもらえないと思って、決して危害を加えようとかそういう事じゃないんです。彼女がどうしても貴方に会って話がしたいと言うから…」


「そうか、ここじゃなんだし入ってくれ」


俺はセルシアのワンピースからのぞく竜化をし元に戻らなくなった竜の手や足、そして頬まで鱗に覆われている初めて見るであろうセルシアの姿に両手を口に当て固まっている凛の肩を抱きシルフィとセルシアをリビングへと迎い入れた。


「……!」


リビングに車椅子で入ってくるセルシアの姿を見てやはり聞いていたのと実際に見るのでは違うのか夏海は声にならない驚きをあげ、蘭は過去の男の竜人の竜化姿から想像はしていたが同じ女性として同情の眼差しをセルシアに向けていた。

そうだよな、女の子にはこの姿で一生を過ごすとかキツイよな。


俺はソファに座り俺の左側に蘭、右側に凛、その隣に夏海と座りその向かいにテーブルを挟んでシルフィーナその隣のソファを移動して作ったスペースに車椅子姿のセルシアが並んだ。

未だ俯き震えているセルシアに俺は声を掛けた。


「それで?俺に話があるとか?今ここにいる俺の恋人達に何か危害を加えようとするなら今度は躊躇いなく殺すぞ?」


「ち、違う!そんな事…あたしはしない…あ、あたしはあんたに負けた…負けたのにそんな卑怯な…真似はしない」


「そうか、竜人族は確かにそういう事はしなかったな言い掛かりをつけて悪かった」


俺はセルシアが来た意図がイマイチ読めず無いだろうとは思ったがこちらから牽制の言葉を言った。セルシアは一瞬顔を勢いよく上げ強く否定したが俺が怖いのかどんどん声がか細くなっていった。シルフィはそんなセルシアを心配そうに見つめ蘭や凛に夏海は痛ましそうにセルシアを見ていた。


「い、いや…あ、あたしは馬鹿だった…横浜を氾濫から…救い自衛隊員や恋人を救う為に……単身上級ダンジョンに乗り込んで…あの吸血鬼まで倒したあんたの…事をよく知らず…知ろうともせずあたしの勘違いで…あんたを殺そうとした…戦っても…あんたの圧倒的な強さを認めず…こんな…こんな身体になって…シルフィに叱られ…あんたの動画を見て……やっと気付いた…ご…ごめんなさい…ちゃ、ちゃん謝りたかった」


「許す!これからはシルフィーナの言う事をちゃんと聞くんだぞ?」


「あ…ああ…はい…うっ…ううっ…ごめん…なさい」


「セルシア…」


セルシアは震えながら目に涙を浮かべ俺の目を一生懸命見つめて自分が犯した過ちとその反省、そして謝罪の心を途切れ途切れにだが必死に俺に伝えてきた。

俺は過ちは誰でも犯すものだと思うし大切なのはその過ちを認め、同じ過ちは二度としないと心に決めて前に進む事だと思っている。俺は彼女が前に進めるよう過去の行いを全て水に流した。


シルフィは泣き崩れるセルシアを抱きしめ一緒に泣いていた。シルフィが支えなければセルシアはここまで早く自分の過ちに気付き謝罪などという言うプライドの高い竜人族には屈辱的な行為を自らしようとは思わなかっただろう。


俺はそんな2人の姿を静かに見つめながら落ち着くのを静かに待っていた。


「ダーリン…あの…その…セルシアさんはもう十分罰を受けたと思うの…だから…その…」


「主様…」


「ああ、分かってるよ。女の子にはキツイだろうしな」


「ダーリン…大好き」


「主様…やっぱり蘭の主様です」


セルシアは手足を失い竜化の影響で醜い姿となりそれでも己の過ちを認め謝罪をし、なんとか前に進もうとした。そしてその最初の関門となる謝罪を勇気を出して行い許され、前に進める安心感と恐らくこんな姿になったこれからの自分の生活を思い浮かべたのだろう泣き崩れ、シルフィに抱きしめられている姿を見て凛は俺に再起のチャンスをと祈るような目で俺に頼んで来た。

蘭も同じ気持ちなのか俺をジッと見つめており、 夏海だけは何がなんだかわからないと言った様子で俺たちのやり取りを聞いていた。


俺は落ち着いたのかシルフィに涙をハンカチで拭われるセルシアを見て言った。


「ちゃんと反省して謝ったセルシアにご褒美だ」


顔を上げご褒美?と不思議な顔をするセルシアとシルフィに俺はゆっくりと頷いたのだった。


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