第30話

ーー埠頭11号倉庫前 佐藤(倉木) 光希ーー



『蘭大丈夫か?資源省の奴に触られてないか?』


『ふふふ、主様蘭は今一階でメイド付きでくつろいでます』


『そうか良かった。触られそうになったら腕を切り落とせよ?作戦なんかどーでもいいからすぐやれよ?』


『うふふ、主様は心配性です。蘭の心と身体は主様のものですから誰にも触らせませんよ』


『そうか、そうだな指輪の結界いつでも発動できるようにな?攻撃とかで傷付くのは心配してないが臭いジジイの唾とか気を付けろよ?』


『ふふふふふ、もう主様は蘭を大事にし過ぎです過保護です。ふふふ』


『あ〜やっぱり資源省なんか幹部全員適当に痛めつけて俺達に関わらないよう闇魔法の契約で縛れば良かった、失敗した。なんで蘭を…クソッコイツら五体満足で帰れると思うなよ!クソッ』


『主様大丈夫です蘭は主様に心配されて嬉しいです。頑張って眠り姫になります!』


『くっ…すぐ迎えに行くからな、ちょっと待っててくれな』


『はい、ふふふ』


俺は沖田の状況を知りいい加減頭にきてたので資源省の企みに乗った。

最初は沖田の女を幻術で蘭にに見えるようにすればいいやって思ってたが、蘭が目をキラキラさせてはい!蘭がやります!蘭は囚われのお姫様になって勇者様に助けられたいです!とか言うから仕方なく、本当に仕方なく蘭を人質に出したが心配だ…

はぁ〜早く終わらせよ…


俺は蘭に甘過ぎだよな〜とか考えつつ探知を掛けながら倉庫へ歩いて行くと、倉庫からかなり離れた所に多くの反応があった。

あ〜これは保険かな?俺は反応のある方向に自分の魔力を抑えてから転移し遮音を掛けながら近付いた。


そこには複数のコンテナの後ろに隠れるように40人程の人間がいた。その集団は8人を除き皆同じ格好をしており、警察の制服の上に黒の革鎧と腰に剣を差していた。6人だけ鉄鎧や盾に革鎧、ローブなど探索者の姿をしている。残り2人はスーツだし資源省の奴らだろう。なんかジャミングがどーたらとか話してるのが聞こえるな…なるほど助けを呼ばれて横槍を入れさせない為に携帯を封じてるのか、ふーんまあいいけど。

俺は後ろからゆっくり見回して一通り鑑定でステータスを確認した。


「一番火力あるのはこのローブを着た女だな」



工藤 ユカリ


職業: 魔導師


体力:D


魔力:A


物攻撃:D


魔攻撃:A


物防御:D


魔防御:A


素早さ:D


器用さ:A


運:D


取得魔法:上級風魔法



凛より少し強い位かな、装備は凛が圧倒的に良いけど。上級風魔法書を手に入れれたのは資源省のおかげかな?まあ大した事ないな。他の探索者はランクAが2人にBが3人、その他の警官は指揮官ぽいのと隊長がBで残りはCランクの奴ばっかだな、これが探索課ってやつか〜これでなんとかなってんのか?ああ、Aランク探索者には元同僚を捕まえたり殺す依頼があったな、その辺は探索者協会でやるって事か。


俺は一通り見てから興味を無くし元の場所に戻り剣を持って倉庫に向かった。

倉庫前で探知に掛かる内部を見ると1階奥に50人程の反応がありその奥に蘭の反応があった。

俺は1階の倉庫のシャッターを開けて中に入る。


俺が中に入るとそこには風俗店の看板やたくさんの段ボールが端に積まれており、正面と真ん中だけ何も荷物や資材が無くテニスコート4面程の広さが空いていた。


「ようこそ倉木さんお待ちしてましたよ」


「お前のその気持ち悪い喋り方や声は電話で聞いた事あるな、最初に掛けてきた資源省の…課長だったか?」


「…ええそうです。随分口が悪いですね、立場分かってますか?」


「立場?お前を狩る側の立場なら十分に分かってるさ」


「ヒヒッ、威勢がいいですねぇ」


俺が倉庫に入ると正面奥に立っていた背の低い禿げたデブが話し掛けてきた。こいつは昨日電話して来てコアを売るようにしつこく言ってきた奴だ、喋り方が気持ち悪いからすぐ切った覚えがある。


「蘭はどこにいる!蘭を攫った目的はなんだ!」


「ダンジョンコアですよ、それを渡してもらいましょうかそしたら後ろの部屋にいる貴方の恋人を解放しますよ」


「やっぱりな、ダンジョンコアの為に誘拐させたのか、お前公務員だろ?国民の為に働いて国民から給料もらってんだろ?」


「ええそうですよ?だからどうだというのです?必死に勉強して得た地位です。国民の為にこの国を我々が豊かにしたのです、これからも更に豊かにする為にそのダンジョンコアが必要なのですよ。それを渡さない貴方は国民の敵なんです。ですからこれくらいの事は国の為ですので許されるのです」


「なんだその理屈は…ダンジョンコアなら探索者協会を通して売るさ、同じ国の所有物になるならそれでいいだろ」


「よくないですね〜貴方は何も分かって無い。優秀な人間が活用してこそ、そのコアはより多くの国民の利益になるのです。ですから私が受け取り私と上司が上に上がれば日本の為になるんです」


「国民の為とか言いながらテメーが出世したいだけじゃねーか!」


「それが国の為になるのですよ…沖田さん連れて来てください」


「……はい」


ハゲの屁理屈を聞いていたら奥から女性2人の肩に腕を回し足を引きずって運ばれて来る蘭が見えた。男だったらここにいる全員殺してたな、沖田は理解してるようだ。

しかし蘭嬉しそうだな、口元がにやけてるわ。


「蘭!おい!蘭に何をした!蘭を放せ!」


「おっと!これ以上近付くと可愛い恋人の命がありませんよ?大丈夫です少し眠ってもらってるだけですから」


俺が蘭に近付こうとすると沖田が嫌そうな顔で蘭の首に剣を向けた。


「まずはその高価な黒鉄の剣を投げなさい」


俺は言われた通り予備の予備である黒鉄の剣を投げた。


「クッ…県警の探索課の刑事まで使ってマフィアを脅して蘭を攫わせやがって!」


「ふひひひ…資源省はですね巨大なんですよ、魔石の力は凄く大きな力を生み出します。自衛隊や契約で縛られている探索者協会から毎日多くの魔石が集まります。財務省も外務省も魔石が生み出すお金の力には逆らえません。魔石があるから財源を維持でき輸出する事で外国へ優位な立場でいられるのです。大臣ですら弱みを握られ我々の言いなりです。警察も我々の恩恵を授かってるんです。警視庁でも県警でも自衛隊や貸付金を返せない多くの探索者から集まる中級ポーションでも渡せばほいほい言う事を聞いてくれますよ、皆自分や家族の命は惜しいですからね、世間では中級ポーションですら手に入りにくいんです。我々が言えば国民の1人や2人、探索者の10人や20人いなくなっても警察は動いた振りしかしませんよ、ふひひひ…私はいずれその組織のトップに立つ人間なのですよ」


「腐ってやがる…日本の復興に大きく貢献した組織が時が経てばこのザマか!お前ただの課長だろ?手柄独り占めはお前も処分されるぞ!」


「私達は日本に貢献した。だからそのお礼をもらってるに過ぎませんよ、私1人な訳ないじゃないですか上司を立てて手柄は3割だけ貰うのが出世するコツですよ。頭が悪くて探索者にしかなれない貴方とは違うんですよ、さあダンジョンコアを出しなさい、恋人が死んでもいいんですか?」


「お前に渡すわけねーだろハゲ!沖田もういいぞ」


「ハッ!」


『闇刃』


「え?ギャァァァーーー!」


俺は一通り喋らせてやっぱ下っ端だから大した情報持ってないし沖田が可哀想になったので沖田に声を掛け剣を引かせ、俺は魔法でチビデブの左腕を肘から切断し蘭の元に向かった。


「ぐああああ!痛い痛い痛いポーションを…ああどこに…ああああ」


「蘭、大丈夫か?」


「勇者様!蘭を助けに来てくれたんですね!」」


「蘭、頭大丈夫か?」」


「なにか蘭が想像していたのと違います…」


「冗談だ、蘭姫お迎えにあがりました」


「ふふふ、勇者様助けていただきありがとうございます」


「ったく、今度は昔読んで聞かせた絵本のシーンかよ」


「うふふ、蘭は一度やってみたかったのです」


「ぐぁぁぁ痛い…ポーション飲んだのに…痛い…なんで沖田、沖田!」


蘭は俺が昔蘭が子供の頃に読んで聞かせた絵本のワンシーンをやりたかっただけのようだ。

なんだろ…魔王倒してから張りつめていたものが無くなったからか蘭が自由過ぎる。


「痛い…痛い…よくも…よくも…沖田裏切ったな!」


「うるせーなお前の仲間のとこに行くぞ!沖田達はここにいろ!後で連絡する」


「ハッ!アニキお気を付けて」


俺はここだと沖田達の迷惑になるのでハゲの足を掴み引き摺りながら仲間がスタンバってる所まで蘭と共に歩いた。


「あがっ!痛っ!ヒッ…は、離せ…イダッ!」


ハゲを引き摺りコンテナに近付くと潜んでいた者達が一斉に飛び出してきて俺達を半円状に囲んだ。


「田丸君、君は本当に使えないね」


「きょ、局長!た、助けてください!腕が腕が…」


「おいっ!田丸!」


「へえ、局長ねぇあんたが資源省のナンバー2か、となるとその横のあんたは昨日俺を脅した部長の確か…松木だったか?」


「…チッ」


俺は周囲を警官に囲まれながら正面に立つ局長と呼ばれた50代位の背が低く細身の鼠みたいな顔をしたスーツ姿の奴と、その隣にいる今ハゲを叱った同じく50代位で170センチ程の背丈に眼鏡とインテリアチックな雰囲気の2人の身分を推測して言ったがどうやら当たりのようだ。


「ふう…マフィアに攫われた田丸君を助けに来たシナリオだったんですけどね、彼を倉庫から外に出したら駄目じゃないですか」


「も、申し訳ありません」


「つまりアレか?俺の恋人を攫って人質にして俺からダンジョンコアを奪ってから俺を殺して、その後そこの田丸って奴がマフィアに誘拐された事にしてここにいる奴らでマフィアを殲滅するつもりだったと、それをこのハゲに期待したのは人選ミスだろ」


「ええ、ここまで無能だったとは思いませんでしたね。最低でも貴方は戦闘不能になってる見込みだったんですがまあいいです。金田警部」


「ハッ!Sランク探索者倉木光希及び蘭!田丸育夫さんの誘拐及び暴行障害の現行犯で逮捕する!一般人を傷つけたんだ簡単に出てこれると思うなよ!大人しくその場で両手を上げうつ伏せになれ!抵抗するなら我々探索者課は貴様を殺すことも許されている」


「ああ、そういうシナリオに変更したんだ」


「そういう事です。ダンジョンコアは後でそのバッグからいただきますよ」


俺は金田と呼ばれているガタイの良い熊みたいな大男の口上を聞いてハゲがしくじった時のプランBというところかと思っていた。あのまま倉庫にいてもマフィアの仲間扱いしたんだろう。


「まあ完璧な冤罪なんだけど無実を訴えても資源省の権力でスルーされちゃうんだよね?」


「ええ、無駄な事ですね。私達が黒と言えば何色だろうと黒になるのが今の世の中の力関係なんですよ」


「いつから日本はそんな独裁国家になったんだ?民主主義はどうした」


「ククク…まだ若い貴方にはわかりませんよ、民主主義などこの世には存在せず一部のエリートのみが国を動かしてると言う事がね、政治家など民主主義をしてるように見せる飾りです。それとも権力に反抗して世界中を敵に回しますか?我々は外国にも強い影響力があるんですよ?そもそもいくら貴方がダンジョン攻略者とはいえこの人数には勝てないでしょう、我々の子飼いのAランク探索者も複数いるんですよ?」


「え?ここにいる全員秒殺できるよ?」


「なんですって!あんた調子に乗ってんじゃないわよ!たかが上級になったばかりのそれも氾濫直後で魔獣のいないダンジョンに自衛隊を囮に潜り込んで上手いことガーディアン倒しただけじゃない!そんなの私達だってできたわ!もういい!私の上級魔法で殺してあげる!タケル達みんな!最低でもズタボロになる筈だからその時はトドメを!」


「「「おうっ!」」」


「工藤の魔法発動後に工藤パーティが苦戦するようなら行けっ!総員戦闘準備!」


「「「「「了解」」」」」


どうやら資源省の役人の隣にいた女の魔法使いが勝手な思い込みで俺を攻撃する事にしたようで仲間の探索者も剣を抜き盾を構え、それを見た警部も部下に攻撃の指示を出した。

俺は後ろにいたハゲを掴み前方へ投げ俺と蘭の周りに結界を張った。


『女神の護り』


「死ね!『エアクラッシュ』 『トルネードカッター』」


パシーン


パシーン


「え?」


「「「うおおおおおお!」」」


ガンッ!ガンッ!ガンッ!


「なんだあれは!総員突撃!」


「「「「「うりゃああああ」」」」」


ガンッ!カガン!ガンッ!ガンッ!


俺が結界を発動してすぐに女魔法使いが上級風魔法を発動し、頭上から俺達を潰す勢いで空気の圧力が襲い掛かりそのすぐ後に竜巻刃が俺達を襲った。動けなくして切り刻むコンボのつもりだったんであろうそれらは、全て俺の魔力を多めに使った上級結界魔法で弾かれ、そのすぐ後にパーティ仲間と警官達が剣を振りかざし攻撃してきたが全て結界が防いでいる。

こんなもんか、ヒビも入ってないな魔力追加はいらなかったか。


「ま、まさか結界…しかも上級クラスの…」


「ガァァァァァ!足が足がー!」


信じられない物を見る顔で呆然としている女魔法使いの前で、俺が前方に放ったチビハゲが竜巻刃の余波を受けたのか下半身が切り刻まれてのたうち回っていた。


ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガガンッ!


「うわっ!キモッ!『氷河期』」


「「「う、うわあぁぁあぁ」」」


「こ、凍っていく足が!あしがー!」


「キャッ!冷た…あ、足が!なにこれ!イヤーーー!」


俺は30人以上の男達が結界を必死な形相で斬りつける顔が気持ち悪かったので上級水魔法の氷河期を発動した。魔法発動後俺を中心に全方位へ氷が地面を這っていき、魔力操作で資源省の3人と警部と女魔法使いだけ太ももで凍らせるのを一旦止めそれ以外の者は全て氷の彫像となった。


「「「「「………」」」」」


「工藤だっけ?な?秒殺だったろ?次魔法撃てば殺すぞ?」


「は、は、はい…こ、ころさないで…」


「局長さん顔が青いよ?なに?上級ダンジョン攻略者に本気で勝てるとか思ってた?権力にビビると思ってたの?」


「か…かはっ…はあはあ…な、こんな…」


「権力、権力ってさ、詰まる所は数の暴力だろ?正しく使えば国を動かし皆を豊かにできるが、お前らみたいに悪用すれば力が無かったり守りたい物がある人達は屈するしかない。警察を動かされ無実の罪で人生をめちゃくちゃされるのは怖いもんな、そりゃ普通は言う事聞くだろう」


「……こんな事して…タダで…済むと…」


「でもな、圧倒的な力それも国と単独で戦える人間には通用しないんだわ。よっと!」


「ぐあっ!痛…あ、ああああああ!足が私の足が!」


「お前らもなっと!」


「「あぎゃっ!あああああ足が!足が」」


一応資源省のお抱え探索者と言う事で女魔法使いと、資源省と組んで色々やってきたであろう警部は後々色々と証言してもらう為に殺さないでおいた。

資源省の3人も色々喋ってもらうために殺さないが最悪一人残ってればいい。取り敢えず気が収まらないから3人の凍った足を踏み砕いた。


「おい!警部!ジャミング装置はどこだ」


「は、はひっ!倉庫裏とコンテナ裏です!」


「蘭見張っててくれ」


「はい、主様」


顔面蒼白となっている警部と女魔法使いを横目に俺は倉庫に行き入口の結界を解除し沖田達に2~3日潜伏するように伝え全員を外に出し別れた。

次に倉庫の裏とコンテナの裏にある装置を破壊した。

そしてシルフィーナに電話し事の経緯を説明し信用できる公安の人間を連れてくるよう頼み再び戻った。


「今お前等の足の氷は俺が止めているだけだ、逆らえば周りの氷像の仲間入りする事になる。これからお前等に契約魔法を掛ける。その契約を了承しろ。嫌なら死ね!」


「「「………」」」


「けい…やく?」


「聞いたことない…」


「おい!しゃべるな足を砕くぞ!」


「「……」」


俺はチビハゲの前に立ち上級闇魔法の『契約』を発動した。




甲は乙の命を奪わない対価として以下の事を乙に求める。


一.乙は1年間嘘を付かない。

ニ.乙は新聞、雑誌、テレビ、インターネット等マスメディアからの取材に応えなければならない。


契約不履行罰則


一.乙は以上の事を履行できない場合は一度目の不履行で5分間心臓を握られる程の激痛が身体に走る。二度目以降は10分づつ増えていき5度目の不履行で死に至る。

ニ.甲は乙を直接殺害した場合契約不履行となり24時間後に心臓が止まる。



「契約を了承するか?」


「……こんな、こんなの無理だ!出来るわけない!」


「じゃあ死ね!」


「あっ、ひゃっ!待って待っ………」


「「「「なっ!?」」」」


俺は拒否したチビハゲの魔法進行を止めていたのを再開した。チビハゲは直ぐに腹部、胸、首、頭と氷に覆われ物言わぬ氷像となった。


「了承するか死ぬかと言っただろ?次は松木だったか?お前だ」


「ヒッ!了承しますします!」


「局長」


「り、了承す…る」


「警部」


「りょ、了承します」


「工藤」


「はい!了承します殺さないで」


チビハゲが見せしめになったのか次からは楽に契約が締結された。


「さて、洗いざらい今までの悪事を話してもらうぞ、1年で5回契約不履行したら死ぬからなここで無駄に消費するなよ?嘘を付けば地獄の苦しみが5分続き次は15分だその次は25分、大体皆この辺で廃人一歩手前になり自分から死にたいと言うようになる。1年でこの契約は消える。ま、頑張れ」


「ヒッ…」


「クッ…」


「……」


「なんでも話しますから殺さないで」


「ではまず今まで誰を殺したか、またその時の共犯者名を聞こうか局長からだ…………」




俺は過去の犯罪や今回のような罪のねつ造歴、共犯者名、賄賂を受け取り犯罪をでっち上げたりもみ消した警察関係者名、資源省または関連省庁で今まで犯罪を犯し出世した者の名前、お抱えの探索者にやらせた違法な事など1時間掛けて全員から聞き出した。

想像以上に被害者は多く殺された者も10や20では無かった、現在冤罪で投獄されている者も多い。権力で女性を脅し接待時に相手に抱かせるなども日常茶飯事で、お抱え探索者パーティに犯され外国に売られた女性探索者も複数いた。また、政治家や警察官僚や警察署長など多くの人が犯罪に協力していた。この国は腐ってる。


「外道供が!胸糞悪い!もういい、蘭!幻術解除してくれ」


「はい!」


「「「「なっ!?」」」」


「気付かなかったか?俺は胸にずっとデジタルビデオカメラを固定して録画してたんだよ、倉庫に入る前からな、お前らがコンテナの裏に隠れてるとこもバッチリ撮ってあるよ」


「そ、そんな…さっきまで無かった…」


「今までのが全て?破滅だ…終わりだ」


俺は今日ここに来てからずっと撮り続けていた胸の位置にバンドで固定してある小型デジタルビデオカメラを蘭の幻術で見えなくしていたのを解いて見せた。

早速全員の身分証明書を奪い撮影した。公表しないでくれとか自分の事しか考えていない下衆供は放置してシルフィに電話した。


「シルフィーナ…ああもうすぐ着くのか……わかった俺はまだやる事あるからここを離れる……違うああ資源省を潰してくる……ここにいる奴に何をやって来たか聞いてみろ契約で縛ってあるから嘘は言わないだろう……ああ……そうだ闇魔法のだ……じゃあ後は頼んだ」


シルフィとの電話を切った俺は警察官の氷像をバックに蘭にデジタルビデオカメラを持たせ、ダンジョンコアを取り出して手に持っている俺を映してもらいメッセージを録画する事にした。




俺は録画を終え一息ついていると遠くからこっちに向かってくる多数の車と護送車に気付きここはシルフィと公安に任せてこの場を後にした。



埠頭から少し離れた所で俺はゲートの魔法を発動し登録してある虎ノ門駅近くの神社にゲートで移動した。

ゲートを潜り神社に来た俺と蘭は少し歩き一等地に何処よりも広い敷地でどのビルよりも大きい資源省のビルの前に着いた。

探知を掛けてビル内部の人の有無を確認した所、土曜日の深夜近い時間という事もあり一階の警備室の周辺以外は人はいなかった。俺はビル内に転移で忍び込み警備員に雷魔法を弱めに当て気絶させて行き11人を俺達の後方に避難させた。俺は蘭に最上級火魔法を撃ってもらうように言う。


「蘭、アレでビル壊すぞ魔力は少なめで頼む」


「いいんですか?」


「前から当てれば他のビルには被害出ないだろう」


「分かりました、では…隕石落下メテオ


蘭が魔法を発動すると直ぐに俺達の後方上空に小隕石が現れ45階建ての資源省のビルの15階付近に激突し、そのままビルを突き抜け後方の公園に周囲を燃やしながら激突してもの凄い轟音と地震が起きた。ビルは隕石が突き抜けた周辺が抉れ火災が起き10階より上の階が崩れ落ちている。しばらくすると自重により下の階も崩れていきビルが完全に崩壊のは時間の問題だった。


「よし!帰ろう」


「はい!主様!今日は良い思い出ができました」


「ははは、そうだな俺のお姫様」


「はい、私の勇者様」


「ぷっ、あははは」


「うふふふ」


俺達はお互い今日の絵本ごっこを笑い合いながら凛と夏海の待つホテルに帰るのだった。

帰ったら動画編集しなきゃな、流石に沖田達の顔は隠してやらないと。

俺は今回の動画は最大の反響数を得られるとワクワクしていた。

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