第8話
さて、探索者協会で登録を終えた俺は早速ダンジョンに入る為に壁の入口に向かった。
入口は乗用車が出入りできそうな大きめな門と、その横のに2人並んで入れる程度の小さな門があった。
その小さい方の門の左右には、銃を持った自衛隊員が2人いた。
「探索者証を提示してください」
「はい」
「確認できましたどうぞ」
自衛隊の人は探索者証を確認すると門を開けてくれ、俺が中に進むと内側の門にも2人自衛隊の人がいてこちらの方が重装備だった。
まあ確かに洞窟型ダンジョンだけど灰狼が外に出ていたもんな。
俺はダンジョンに続く舗装された道を進み山を登っていった。しばらくすると3メートルほどの高さの洞窟が見え、入口に『奥多摩ダンジョン入口』と看板が設置されていた。
「さて、この世界のお金を手に入れ蘭に美味しい物を食べさせてあげてえっちぃ下着を買ってあげる為に頑張るかな」
そう自分に言い聞かせてダンジョン入口の前から転移した。
「ただいま〜」
「お帰りなさい主様」
「蘭お昼作ってくれ材料はこれで」
「はい!ではステーキにしますね♪ 」
「ああ頼むよ」
俺は鬼猪の肉を蘭に渡してソファに座った。
え? ダンジョン探索しないのかって? えーやだよ中級ダンジョンとか異世界で言う初級ダンジョンレベルだしめんどくさい。
灰狼と中層にいるらしい黒狼の魔石は沢山あるし、こっちの魔獣の魔石は異世界より小さいから高く買い取ってもらえそうだしね。
一応探索登録した初日だし、中に入った事にしないとどうやって手に入れたのか後から聞かれたら面倒だしね。昼飯食べてから転移でダンジョン前に飛んで行けばいいでしょ。
俺はソファでくつろぎながら蘭が淹れてくれたコーヒー(もどき)を飲み、アイテムボックスから売る為の魔石を取り出すのだった。
送還された時に倒した8頭の灰狼の魔石と異世界の緑狼の魔石が大体同じ大きさか……一個いくらくらいで買い取ってくれるんだろ。中級ダンジョンとはいえ低層だし千円くらいだろうか?
なら30個くらい用意しとくか。
「主様〜ご飯ですよ〜」
「今行く」
俺はリビングで蘭と楽しく食事をして、食後に少しイチャイチャしてから再度ダンジョン入口から少し横道に逸れた場所に転移をした。
それから何食わぬ顔で門の所まで行き、特に出る時は探索者証を見せる事なく門を出るのだった。
その足で探索者協会へ行き買い取り窓口に向かう。
窓口には眼鏡をかけ白髪混じりの髪をオールバックにした男性が、タブレットに何やら打ち込んでいた。
「すみません、。魔石の買い取りをお願いします」
「あ〜はいはい。では探索者証と一緒にお預かりします」
タブレットから視線を上げた窓口の男性はそう言って目の前に置くよう促したので、探索者証と俺はあらかじめ皮袋に入れ用意しておいた魔石を皮袋ごと置いた。
「では確認させていただきます、結構ありますね」
「ええ、頑張りました」
「計算が終わりましたらお呼びしますのであちらで少々お待ちください」
そう言って窓口横にある長椅子がある場所を指したのでそこへ向かい待つ事にした。
しばらく待つと計算が終わったようで名前を呼ばれて窓口まで行くと
「倉木様お待たせしました、全部で10万円となりますがよろしいでしょうか?」
「はい、それでお願いします」
「お支払いは現金になさいますか? 協会口座に預けられますか?」
「今回は現金でお願いします」
「はい承知いたしました。ではこれで」
「ありがとうございます」
俺は元の世界とは絵柄の違う1万円札らしきものを10枚受け取り、隣の依頼カウンターの人にタクシーの手配をお願いして協会を後にするのだった。
「よしっ! 現金ゲット! あのレベルの魔石で一個3千円ちょいか。普通はパーティ組むからなこんなもんかな。この後はタクシーで街まで行って後は自重無しでアクセサリー売って豪遊するぞー」
土地勘が全くないから転移は使えず、まあ知らない土地で無闇矢鱈に使ってもし誰かに見られたら大変だしな。異世界より遥かに人口が多いから気をつけなきゃな。
俺はテントに戻り蘭に移動する旨を伝え準備をさせ、タクシーが来るのを待ちながら取り敢えずどこに行こうかと考える。ここから一番近く大きな街は……八王子かな。そこでアクセサリー売って携帯電話や服や下着を買って、美味しいもの食べてホテルに泊まればいいか。やっと文明的な生活ができるよ。
「主様お待たせしました」
そう言ってテントから出てきた蘭の姿は、艶のある黒髪を下ろし白い長袖のワンピースを着て肩からカーディガンを羽織り少し照れた顔で俺を見ていた。
「うん似合ってるよ」
「うふふ……ありがとうございます」
いつも胸元を開けた着物姿でその豊満な胸の谷間を見せつけて押し付けて来るのに、今は肌の露出がほとんど無いワンピース姿でキッチリと閉められている。しかしその胸元を内側からグイグイ押し上げて自己主張している2つのメロンは隠せない。
完全に隠されているからこそ想像を掻き立てられ妙にエロい。
俺はテントをしまいタクシーが来るであろう道路横に蘭と向かうと、丁度タクシーが来て乗る事が出来た。
「どちらまで行きましょうか?」
「八王子駅までお願いします」
「はいわかりました〜」
タクシーが出発し初めて乗るからか、蘭が俺の腕を抱きしめて離さない。
「蘭、大丈夫だよ馬車より速くて安全だよ」
「あ、あるじさま……は、速すぎではないですか? 蘭は目が回りそうです」
「だったら外を見ないで別のとこ見ていればいいんだ」
そう蘭に言いながら乗り物が苦手な子がいるのでと、運転手さんにスピードを落としてもらうようお願いした。すると横から視線を感じて見て見ると蘭が俺を見つめていた。
「どうした?何かあったのか?」
「いえ、外を見ないで主様を見ることにしました。そしたら目が回らなくなりました」
「こっちが落ち着かないよ」
俺は蘭を抱き寄せ頭を俺の胸元に固定した。
「そんなに長く掛からないからもう少し我慢してな」
「はい、このままでいたいので長く掛かってもいいです」
「さよですか」
ほんと照れる……
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