生存は賭博に似る

 人生万事塞翁が馬、禍福は糾える縄の如しという言葉に表されるように、生存による結果は予測が困難だ。結果が不透明なところに投資するという面で、生存は賭博に似ている。勉強などの自己投資と呼ばれるコスト(時間、労力、金銭)を支払うことで勝率は改善できる可能性があるが、カジノで使うために確率論を学ぶようなものだ。


 似ているだけで違いはあって、運営が儲かっている必要はないので、人類全体を見た時にも、払い戻しである幸福の総量が、支払ったコストや不幸を上回る可能性はある。逆に、下手なカジノより酷い可能性もあるが。


 「生きていて良かったと思う瞬間が来る」という言葉は、賭博で言うと「続けていれば勝てる瞬間が来る」になるだろう。続けていなければ勝てないのは確かだが、損切りをしないと損失が大きくなる場合もある。また、無限に生きていけるわけでもない。この言葉はミームとして説明することもできるが、心理効果や認知バイアスと呼ばれる視点からも説明できそうだ。コンコルド効果によって続けた方がいいと思い込んでいる可能性がある。「良かったと思う瞬間が来て欲しい」という思いからくる希望的観測もあるだろう。「良かったと思いたい」「支払ったコストが無駄だったと信じたくない」という思いが「良かった」という結論を導くのも、現在や過去に対する希望的観測と言えるだろう。

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