第9話 太陽の輝き

チラッ…

「うーん……」

「どうかしたのですか?」

「何かさっきから見られてるような…」

私は後ろから来るような視線をどことなく感じていた。

「ここにきてストーカーですか?」

「私尾行されるようなことしてないんだけど…」

まさかそんなことはないだろうとは思う。むしろ桜ちゃんの方がストーカーされそうな…


「見つけましたよ…あの可愛い魔法少女…!」


ー放課後ー


「桜ちゃん!今日も一緒に…」

チラッ…

「どうかしたのですか?」

「うっ…また視線を感じる…」

「視線…というよりかは魔法少女の感覚を感じます。」

また魔法少女?でもここにいる魔法少女は私と桜ちゃんとリーちゃんだけだよね?

「それって私とリーちゃんのが合わさってるだけじゃないの?」

「いえ…天野さんとリーさんの感覚ははっきりと分かります。この感覚は微弱のものです。」

「う~ん…何かもどかしいね。」

でもあまり気にはならず、そのまま帰った。


ー帰り道ー


「見つけた!可愛い魔法少女!」

「ひゃ!?誰!?」

いきなり声を出されたもんだからそりゃビックリするよ…てか今日感じる視線の正体ってまさかこの子!?

「私、佐藤薫(さとうかおり)!昨日のあなたが可愛いくて追いかけてました!」

「へっ?」

「いやだから言葉のままなんだけど…」

「というかそこ否定しないんだ…」

いきなり会ったばっかで追いかけてたとか言われてもね…

「私ね可愛いものが大好きで、魔法少女としてのあなたの姿が凄い可愛いくて…是非お会いしたかったの!」

「私の姿そんなに可愛い…ん!?今魔法少女って言った!?」

「うん、言ったけど。」

「もしかしてあなたも魔法少女!?」

「うん、そうだけど。」

「はい!?」

今日追いかけられて会った女の子が魔法少女だとか…ついてるのかついてないのか…

「私が感じてた微弱の感覚はあなただったのですね。佐藤さんは最近魔法少女になったばかりなのですか?」

「私は最近魔法少女になったばかりだよ!フードの男の子からマジックダイヤと鍵を受け取ってねー!」

追いかけられたとはいえ、この子は悪い子じゃなさそうだな…

「それでね、私をあなた達のチームに入れてほしいの!」

「私達のチームに…!?」

「私は魔法少女になったばかりだし、色んなことを教わろうと思ってチームに入れてもらおうと思ったんだけど…ダメかな?」

チームに入れてほしいか…自分から志願してくるのは珍しい。

「どうする?」

「明日先輩に報告しましょう。それで判断してもらいましょう。」

「分かった。」

「チームに入れるかは明日リーダーに報告してからにしてもらえるかな?」

「うん、私はいつでも大丈夫!」

よし、ひとまずこれでいいかな。


ー翌日ー


「チームに入りたい?」

「お願いします!先輩!」

「マジックダイヤの属性は?」

「光属性です。」

何だろうこの刑事ドラマの尋問シーンみたいなのは。

「能力は何?」

「クリスタルを自由に生成出来ます。」

「宝石に宝石の能力…面白いマジックダイヤね…」

クリスタルダイヤ…ものすごく強そうだけど…

「分かった。あなたを正式にチームメンバーとして入れるわ。」

「ありがとうございます!」

「良かったね、薫ちゃん。」

「うん!英里華ちゃんのおかげだよ!」

新しい仲間が加わり、私達のチームはより一層力を増した。



「いやーそれにしても宝石に宝石の能力って凄いね。」

「フードの男の子が言ってたんだよ。「これはマジックダイヤの中でも上位の代物だ」ってね。」

マジックダイヤにも上位とかあるのかな?

「あら、新しい魔法少女さんも連れてどうしたの?」

この煽り立てるような口調…マリル…!

「マリルさん…もうあなたに用は無いはずです。」

「えっ何?知り合い?」

「私と天野英里華はちょっとした仲でねぇ。」

このままだと薫ちゃんが危険な目に…

「後、用があるのは私じゃないの。ひとまずついてきて。」


ー路地裏ー


「まだ魔法少女狩りをしているのですか…!?」

「もう私は魔法少女狩りをしてないわ。でもこの子はどうでしょうね?」

この子って…まさか!?

「何よマリル。まだ物語の途中なのに。」

「あなたのお客様よ。後は好きにしていいわ。」

眼鏡をかけたこの子…確か私を不意打ちしようとした子!やっぱりマリルの仲間だったんだ…!

パタン。

「好きにしていいって言われたからにはやるしかないね。」

「フフ…じゃ、よろしくね日野佳(ひのか)。」

「くっ、やるしかない!」

「う、うん!」

ガチャン!

「ダイヤブレイク!」

「ダイヤブレイク。」

『ブレイズ…!!』

『クリスタル…!!』

『サン…!!』

相手は恐らく火属性…相性はどうか…

ガゴン…

「今日は良い天気ね。太陽が良く照らしてくれる。」

「何を言って…!?」

ゴゴゴゴ…

「ハァッ!!」

ブォォン!!!

「うわぁ!!」

剣のたった一振りで強風が!?まさか相手の能力は、「太陽の下にいると攻撃力が増す」こと!?

「英里華ちゃん!」

カチカチ…パキィン!

「よくも…英里華ちゃんを…!」

「さっきの威力を見たのに突っ込んでくるなんてね。望み通り粉砕してあげる。」

ブォォン!!!

「クリスタル生成!!」

ガチィン!!

「ぐっ…く…」

薫ちゃんが猛攻に耐えてる今、上から奇襲すれば…!

ボウッ!

「たぁ!!」

「あ、上からね。はいはい。」

フシューーー!!!

「きゃあ!!」

「ぐあっ!!」

体から高熱の蒸気が一気に出たなんて…ブレイズダイヤじゃなかったら危うく火傷を追うところだった…

「じゃ、そろそろトドメの時間。」

「うっ…!」

ガゴン!

「生成!!」

パキィン!ピカッ!

「ぬっ…」

「今だよ!」

「うん!」

パキパキ…ピキィン!

「あーあ、逃げられちゃったか。」



「はぁ…はぁ…」

薫ちゃんのおかげで何とか逃げ出せたけど…あの日野佳って人強すぎるよ!

「クリスタルダイヤってあんな使い方も出来るんだね…」

「咄嗟に思い付いたやつだけど、中々上手くいけたね。」

さっきのはクリスタルの輝きと太陽の光を利用した目眩ましだった。

「そのクリスタルダイヤ、練習すればもっと強くなれるよ!」

「そうだね!もっと強くなって、さっきの人を見返そう!」

薫ちゃんはいきいきとしていた。さっき襲われたというのに、強くなって見返そうとまで言い出す。私も…もっと強くならなくちゃ。

続く。



次回予告

「君にマジックダイヤを渡したのは誰だ?」

「フードを被った少年ですが…?」


「さぁ、かかって来なさい。」

「練習お願いします!先輩!」


「これから奴の居場所を突き止めるぞ、クロウ!」

次回「交錯する運命」


「さぁ行こう!レイヴ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る