第8話 オールエナジーパワー

「ん…?」

目を開けると和式の部屋のような場所にいた。私は布団に入っている…?

「ここは…?」

「私の屋敷です。天野さん。」

桜ちゃんの声がして、ようやくここがどこなのか理解した。

「屋敷ってことは…ここ桜ちゃんの家!?」

「はい、そうです。」

「やっぱ広いなぁ~屋敷なだけあって。」

この部屋だけで家のリビングの三倍はあるんじゃないかと思う。

「幸い重症ではないみたいですね。今日中には帰れますよ。」

「ありがとう。何から何まで。」

「いえ、私達はもうチームの仲間ではありませんか。助けるのは当然ですよ。」

チームの仲間…か…そういやチーム加入の返事、先輩に返してないけどもう仲間みたいなものなんだなぁ…


ー夜ー


「今日はありがとうございました。感謝しています。」

「なぁにどうってことはないさ!何なら1日泊まってっても良かったけどね!」

桜ちゃんのお父さん…厳格なお方と思ったら結構キャラ違ってた…

「ありがとう桜ちゃん。また学校でね!」

「はい、また明日!」


ー自宅ー


…にしてもあの女の子一体誰だったんだろ。マリルの仲間みたいだったけど…

「やぁ、久しぶりだね。」

「あなたは…あの時の男の子!」

このフードの少年と会うのは本当に久しぶり…というか今まで何してたんだろ?

「君は成長し、強くなった。今の君になら使いこなせるかもね。このマジックダイヤを。」

「これは何…?普通のマジックダイヤとは違うみたいだけど。」

私の手に握られてるのは普通のマジックダイヤより一回りか二回りくらい大きめのものだった。色は赤、青、黄、紫が上手く合わさったような色合いをしている。

「それは「オールエナジーダイヤ」だ。」

「オールエナジーダイヤ…?」

「簡単に言えば、無属性を除いた全ての属性を持つ特別なマジックダイヤさ。」

全ての属性を持ってるって…それ相当スゴくない!?

「これはボクからのプレゼントだ。引き続き人々を守ってくれ。」

「うん!ありがとう!」


ー次の日ー


「天野さん、魔獣が現れたようです。」

「分かった!リーちゃんはどうする?」

「私は家の用事があるからパスデ…申し訳ないデス…」

「心配しないでください。後は私達にお任せを。」

リーちゃんの事は任せて、後は私達で行くことにした。


ー大通りー


今回は…何あれ?馬に…角が生えてる…?

「ついに魔獣も幻想のものを出してきたのねあれはユニコーンと言ったところかしら。」

どうやらあの魔獣はユニコーン型と言っていいらしい。

「まぁ…とりあえず変身しますか。ダイヤブレイク!」

『ブレイズ…!!』

『アクア…!!』

『ルナ…!!』

『ミスト…!!』

あのマジックダイヤは…まだ使わなくていいか。

「ヒィィィィン!!!」

バシャン!!バシャン!!

「のわっ!雷!?」

「雷を呼び寄せるなんて、そんなの聞いたことないわ!」

雷を出されちゃ一向に進めない…相手からしたら「手を汚さずに仕留める」ってところなのか…

「ブルゥ!!」

「突進してくる!」

相手の突進は素早いが単調…勢い余ったところを狙えば!

「たぁ!!」

ガキンッ!!

「なっ…?」

「足の蹄で受け止めた!?」

馬の背中辺りを狙ったのだが、固い蹄の部分で受け止められた。

「何て器用な馬なのかしら…!」

「ブルゥ…!!」

「ッ!?先輩!!避けて!!」

「ヒィィィィン!!!」

バシャン!!

「うぁぁぁぁ!!」

「先輩っ!!」

まさかあの魔獣、私達の属性を見抜いている!?物理的に電気を通す水属性である水本先輩を狙ったの…!?

「くっ…!」

先輩は雷の攻撃でダウンして動けない…相手は三人で勝てるかどうか…なら、今ここで「あれ」を使うしかない!

「…?天野さん…そのマジックダイヤは?」

「フードの少年から貰ったものなんだ…全ての属性を持つ特別なマジックダイヤなんだって。」

「まさか…使うのですか!?」

「やるなら今しかないよ!このままだと先輩どころか皆やられちゃうかもしれない…!」

「……分かりました。それに賭けましょう。」

何が起こるか分からないけど、今はこれで!

ガチャン!

「ダイヤブレイク!」

『オールブレーイク!!ファイア・アクア・ライト・ダーク!!』

コォーーー………

「これが…オールエナジー…この力で多くの人々を救う!」

「姿が変わった…?」

今の私の格好は少し豪華なミニドレスを纏っているようだった。

「何か力が涌き出てくる!これなら!」

「ヒィィィィン!!!」

「はぁ!!」

ザシュッ!!

「キヒィィィィン!!!」

一撃で怯んだ…この力、凄い!

ガチャンガチャン…

『アクアスタイル!!』

なるほど、マジックダイヤの上部を回すことで属性を切り替えられるのか。しかも武器も属性によって違うんだ…!

「先輩と同じような武器…?」

ビュンッ!!

バシィ!!

「ブルゥゥゥゥ!!」

水の鞭による攻撃も中々に効いている。そうすると魔獣はまた雷を発生させながら突進を繰り出す。

ガチャン。

『ライトスタイル!!』

「今度は弓矢…?」

ギチギチ…

「そこだっ!!」

カシュッ!!ザクッ!!

「ブモォォォ!!」

もうそろそろ倒れるかな…?にしてもよく耐えるなぁ。

ガチャン。

『ダークスタイル!!』

チャキン…

「闇属性は剣か。一番オーソドックスかも。」

矢を受けたまま突進してくる魔獣をひらりとかわし、体中を切り刻む。

ザシュザシュザシュッ!!

「ブル……」

「よし…トドメだ!」

ガチャン!

『オールエナジーバースト!!』

ヒュンヒュンヒュン…!

いつもの薙刀に持ち変え、薙刀を回転させる…

「いっけぇーーーー!!!」

ドスッ、ズドォォォォォン!!!

七色に光る薙刀を魔獣に向かって放つと、魔獣は声を上げることもなく内部から粉砕された。

「凄い…これが天野さんの新しい力…!」

「うーん…でも何か終わったらどっぷり疲れるような…」

「きっと副作用か何かでしょう。では先輩達を連れて帰りましょうか。」

これが本当なら今後襲ってくる魔獣にも屈しない力を得たってことだよね…?そうなると何か少し怖いな…




「クスクス…あの子凄く可愛かったなぁ。そうだ!明日学校であの子に会ってみよ!」

続く。



次回予告

「桜ちゃん…何か私さっきから見られてるような…」

「ここにきてストーカーですか?」


「私、佐藤薫!昨日のあなたが可愛いくてずっと追いかけてました!」

「そこは否定しないんだ…」


「確かに私はもう魔法少女狩りはしてないわ。でもこの子はどうでしょうね?」

次回「太陽の輝き」


「何よマリル。まだ物語の途中なのに。」

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