第7話 アイアン・ジャッジ

「おはよー!桜ちゃん!」

「おはよう…ございます…」

「どうしたの?何か元気無いけど…」

朝からというのに桜ちゃんは何故か元気が無い。

「天野さんに渡すべきか迷いましたが…」

そう言うと1枚の紙を渡してきた。

「果たし状、マリル…ディーゼ…!?」

ついに来てしまった。この時が…彼女の方から果たし状を渡しにくるとは…

「今朝登校中に出くわしたのです。彼女に…」


ー数十分前ー


「お待ちなさい。お嬢様…」

「あなたは…マリル・ディーゼ…!」

ガチャ…

「まぁそう直ぐにカッカしないの。別にあなたと今戦うつもりはないわ。」

「あなたは一体何のために多くの魔法少女達を…!?」

「さぁね。「あの子」が私に勝てたら答えてやってもいいわ。はいこれ、果たし状。」

「誰が天野さんをあなたと戦わせると…!?」

「いいの?そうしないと私も魔法少女狩りやめないけど。とりあえず果たし状、よろしくね。」



「そんなことがあって…」

果たし状を握りしめ、紙に書かれた通り、放課後に路地裏に向かうことにした。そうしなければいつ先輩達が襲われてもおかしくない…私が行かなければ…!


ー路地裏ー


「あら、いい子じゃない。約束通り来てくれるなんて。」

やはり彼女はいつもの路地裏にいた。少し高い屋根の上から私を見下ろしている。

「簡潔に言うわ。天野英里華、決闘を申し込む。」

「決闘…!?」

「ええ、お互い大事な物を賭けて勝負。勝てば私は魔法少女狩りをやめる。」

「私が負けたら魔法少女をやめる…」

「察しが良くて助かるわ。分かってるじゃないの。」

「あなたが望むことなら直ぐに分かります。」

でも戦わなくちゃ…皆を守るために、たとえ大事な物を失うようなことでも…!

「さぁ、始めましょう。大事な物を賭けた決闘を!」

お互いにマジックダイヤを取り出し、魔法少女に変身する。

「「ダイヤブレイク!」」

『ダイヤブレーイク!!ブレイズ…!!』

『ダイヤブレーイク!!アイアン…!!』

「はぁぁぁぁ!!」

ガキン!!

「あなたの力を見せて!!全力を私に!!」

「私は争いが嫌いだけど…あなただけは…許したくない…!!」

キィン!!

「あの時からどれだけ成長したのか見物ね…」

「あなたと戦うために成長したなんて、勘違いしないで!」

ボウッ…

能力を使い、武器に炎を纏わせる。

「硬化!!」

「はぁ!!」

パキパキ…ボシュッ!!

「…!?鉄が溶けて…!?」

「そうか…炎は物理的に鉄を溶かすから…!」

行ける!これなら…勝てるかもしれない!

「ちぃ…能力も中々に使いこなしてるのね…なら、これならどう!」

シュル…ガチン!!

前と同じ、縛り付けの攻撃!?でも能力を駆使すれば!

ボシュウ…

「もう同じ攻撃は効かないか。」

お互い構え直し、少し離れた位置に立つ。

「鉄は固くするだけだと思わないことね。」

ビュンッ!!

「鉄棒を鞭のように…!?」

「ハッ!」

バキン!バキン!

鞭の攻撃は素早く、避けづらい…ここは弾くしか…!

ガキン!!ボシュッ…

「せいっ!」

ボシュ!シュルル…バキン!!

「破片が…元に…ぐあぁ!」

鞭の先を炎で斬っても破片が鞭の先に戻り、攻撃を続けてくる!

「今だぁ!!」

「くっ…あぁ…」

ドスッ!!

「がはっ…!!」

脇腹を鉄棒で思いっきり殴られた…!

「さっきまで優勢だったのにね。結果的に私が強いってことでオッケー?」

「ゴフッ…はぁ…はぁ…」

「今度こそ、本当に終わり。さようなら。」

ガキンッ!!!

「何?まだ動けるっていうの?」

「私は人々を守りたいから…魔法少女になった…だから…終われない……!!」

「へぇ…口は良く動くのねッ!!」

バキッ!!

「あなたは守りたい物が無い…そんなあなたに…私は、負けない!!」

ボシュッ…!

「はぁぁぁぁぁ…!」

全身に炎を灯し、マリルに突撃する…これぐらいの火力なら…!

「鉄壁!!」

ガチガチガチ…!

「せいやぁぁ!!」

ジャキン!!

「何っ!?」

「ハァ!!」

パキパキ…ザシュッ!!

「負け……た…?」



「完敗…か。」

「もう…やめてください。魔法少女達を狩るのは…」

「えぇ…私はもうやめるわ…」

地面に座り込んだマリルの手を引き、立ち上がらせた。



「『私は』ね。」



「ハッ!!」

後ろから突然見知らぬ少女が巨大な剣を振りかざして突撃してきた…!

「天野さんっ!!」

「桜ちゃん!?」

「(ダメ…間に合わない!!)」

この時降り下ろされた剣がスローモーションに見えた…あぁ…死ぬのってこんな感覚なんだなと実感した時だった。

ガキンッ!! 

「…!!あれ…?」

「誰っ!?」

「無抵抗の女の子に手を挙げるなんて、許された事じゃないぞ…!」

「あなたは…ドメイクさん!?」

私を助けてくれたのはあの時私にマジックダイヤを返してくれたドメイクさんだった。

「ちっ…」

「邪魔が入ったわ。また今度。」

「えぇ。」

「待て!」

言い切る前に、マリルと謎の女の子は姿を消した。

「何故あなたがここに…?」

「通りがかりさ。偶然だ。」

「あなたは一体何者なんですか…」

「俺は世界を旅する者だ。それ以上でもそれ以下でもない。」

「世界を旅する…者…?」

「そのうち分かる。今はその時じゃない。」

そう言うと、ドメイクさんもどこかへ歩いていってしまった。

「ぐっ!…」

「天野さん!?」

「苦しい…痛みが…」

さっき戦った時の痛みが再発してきて…私は……

「私、全力で戦えました……か…」

バタッ…

「天野さん!!!しっかりして!!!天野さん!!!」

続く。



次回予告

「ここは…?」

「私の家の屋敷です。」


「君は成長し、強くなった。今の君になら使いこなせるかもね。」

「オールエナジーダイヤ…?」


『オールブレーイク!!ファイア・アクア・ライト・ダーク!!』

次回「オールエナジーパワー」


「この力で、多くの人々を救う!」



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