第5話 覚悟
「あれ!?マジックダイヤが無い!」
家に帰ってから気づいた…私のマジックダイヤが無い。どこを探してもない…もしかしてあの男の人とぶつかった時に落としちゃったのかな…
ー翌日ー
「…それでマジックダイヤを無くしたのですか?」
「うん…」
「どこかに落としてしまったのでは?」
「特に何も…ぶつかった場所を探しても無かったからそんなことは無いはずなんだけど…」
私は昨日起きたことを桜ちゃんに話していた。
「もう一度落とした場所を確認してみては?一応、今日の集合は連絡入れますから。」
「うん、分かった。」
ー帰り道ー
「うーん…やっぱり無いなぁ…」
桜ちゃんの言われた通り、もう一度確認してみたけどやっぱり無い…
「今日の集合、とりあえず行ってみるか…」
ーその夜ー
「何?マジックダイヤを無くしたの?」
「はい…」
「それは困ったわね。私達の方にもマジックダイヤの届け出はなかったから…」
「私、どうしたらいいんでしょうか…」
「仕方ないわ。見つかるまで魔獣のことは私達に任せて。」
「ありがとうございます…」
先輩は優しく答えてくれたが、私の心には罪悪感が残っていた。魔法少女になってこんなに早く変身能力を失うとは思わなかったから…
ズドォォォォン!!
「ギュケェーーー!!!」
「今日は鷲型の魔獣ね…天野さん、今は下がって!」
「は、はい!」
魔獣が出現すると同時に私は建物の角などに身を潜めた。
「ダイヤブレイク!!」
『アクア…!!』
『ルナ…!!』
『ミスト…!!』
先輩達は空を飛ぶ魔獣に立ち向かう。こんなところでじっとしている自分に腹が立つ…私も皆の力になりたいのに…!
「結局…私は何も出来ない人間に…」
腹が立つあまり、つい言葉に出してしまった。でもその時、どこかで聞き覚えのある声がした…
「君がそう決めつけるにはまだ早い。」
「あなたは…!」
私の前に現れたのは、あの時道でぶつかった男性の人だった。でも何でこの人が今ここに?
「名前を名乗ってなかったな。俺はドメイク。ドメイク・アバロスタだ。」
「ドメイク…さん…」
屈強な体格に巨大な剣を背中に担いだその姿は「強さ」そのものを醸し出しているように見えている。
「まず先に謝らなければいけないことがある。君のマジックダイヤを掠めてしまった…すまない。」
「私のマジックダイヤ…!」
「簡潔に言うと、俺はこの世界の人間じゃない。別の世界の人間なんだ。今、君がいるこの世界は見て分かる通り「異変」が立て続けに起こっている。俺はこの世界の異変を解決するべく、調査をしているんだ。」
別の世界から…?ドメイクさんはこの魔獣とかが出る「異変」というやつを解決しようとしているって?
「俺がそのマジックダイヤを掠めたのも、異変解決に繋がるかもしれないと思ってやったことなんだ。」
「事情は分かりました…返してくれてありがとうございます。」
「後は俺に任せろ。今戦っているあの子達の分まで助ける!」
そう言うと、ドメイクさんは慣れたような動作で魔獣の方へ向かっていった。
「くっ…空に逃げられちゃキリが無い…!」
「テヤァ!!」
ズドンッ!!!
「なっ…?」
「男の人…!?」
「しかもあんな大きい剣を軽々と振り回してる!?」
ジャキン…
「やはり温いな。」
凄い…空にいた魔獣をたった一撃でノックアウトにしちゃうなんて…!
「あの…助けてくれてありがとうございます。」
「どうってことはないさ。またいずれ君達とは会うことになる。じゃあその時までな。」
ひとしきり言葉を交えた後、ドメイクさんは消えた。
「……?」
「どゆこと?」
「さぁ…?」
ドメイクさんに関してはまだ分からないことだらけだけど、皆を助けてくれたことには感謝しなきゃ…
「ラルス。マジックダイヤの解析が完了した。」
「本当か!?つーか解析早いなお前!!」
「やはり俺の予想通り、この宝石はこの世界にも俺達の世界にも無い技術だ。これを作れるとする奴は、恐らく…」
「人間じゃない。」
「こんな魔法とかスゲーもん作れるならまず人間じゃないことを疑った方が良いよな。よし!後はこれの製作者を見つけるだけだな!」
「そうだな。そろそろ俺もそっちに同行する。例のターゲットにも接触したしな。」
「天野英里華はどうだったんだ?」
「何故だかは分からんが、返したことにお礼を言われたな。」
「どこまでもお人好しな奴ってこったぁ。んじゃ、後々合流しようぜ。」
続く。
次回予告
「私のクラスに転校生…!?」
「しかも外国の方らしいですよ。」
「私、中国から来たリー・チェンと申しマス!」
「待って…あなたも魔法少女!?」
次回「音と拳の交響曲」
「音と拳…これ即ち「最強」なのデスよ!!」
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