第3話 ハンティングタイム


ー放課後ー


「やっぱり私、チームに入った方が良いのかなぁ…」

「天野さんは水本先輩のことどう思います?」

「んー…良い人なんだろうけど、何か堅いような…」

「水本先輩、お堅い人に見えますが、しっかりとリーダーとして引っ張ってくれますよ。」

まぁ…あの感じだと凄い慕われてるんだろうなー…


ー帰り道ー


「チームなぁ…確かに入れば危険も少なくなるかもしれないけど…」

そんな独り言をブツブツと呟いていると路地裏から声がした。

「…あんたが、昨日変身したての魔法少女ってやつ?」

「誰…?」

見たら同じ年くらいの女の子が宝石のようなものをいじくりながら路地裏へと誘導している。

「あなたも…魔法少女なのですか?」

「えぇ、そうよ。ただ違うのは……」

ガチャン!



「魔法少女を狩る「魔法少女」ってところね。」



「なっ…!?」

『ダイヤブレーイク!!アイアン…!!』

「さぁ、狩り(ハンティング)の時間よ。」

魔法少女を狩る魔法少女…!?こんな魔法少女も中には存在するってこと!?

「今は…やるしかない!」

ガチャン!

『ダイヤブレーイク!!ブレイズ…!!』

「火属性のマジックダイヤか…久々に腕がなるわね!」

シュル…ガゴン!!

「何も無いところから鉄の棒を…!?」

ガキン!!

「私のマジックダイヤは「アイアン」。鉄を自在に生成出来る能力よ。」

カンッ!!

「応用すれば、こんなことも出来るけどね!」

彼女は手に持っていた鉄の棒を消滅させると、それを地面に這わせて私の元へ送る…

シュルル…ガンッ!

「う…動けない!?締め付けられて…苦しい…!」

「鉄を自在に操るということはこういったことも容易く出来ることを覚えておいた方が良いわね。」

シュルル…

「うっ…はぁ…はぁ…」

何とか彼女が体に締め付けられた鉄を解いてくれたおかげで助かったが、一歩間違えれば圧死するところだった…

「こんなんでへばってたら魔法少女なんて名乗らないことね。」

「う…うぁぁぁーーーー!!!」

ガキンッ!!!

「あーあ…首が少しこってしまうわ。」

「…!?攻撃が…通らない!?」

彼女の喉元に当たったはず…なのに何で彼女は微動だにせず平然としてるの!?

パキパキ…

「言ったでしょ。「能力を応用すればこんなことも出来る」って。これは皮膚の「硬化」。持続的では無いけど一瞬なら…攻撃に耐えられる。」

「皮膚の…硬化…?」

それじゃあ、物理攻撃は全部通らないじゃない!

「能力もまともに使えないんじゃ、やっぱり魔法少女なんて名乗らない方がいいわ。もうこれで終わり…!」

「嫌っ!…」

もう終わった…と思ったその時…

「ミスト展開!!」

フシュー……

「ちっ…濃い霧か…」

「早くこっちへ!」

「は、はい!」

「逃げた…か。まぁいいや、どうせまたやるつもりだし。」



「ありがとう…桜ちゃん。」

霧を出して私を助けてくれたのは桜ちゃんだった。魔法少女の気配を感じて行ってみたら私が戦っているところを発見したらしい。

「それにしても、あの人一体何が目的だったんだろ…」

「彼女の名はマリル・ディーゼです。この街では魔法少女を狩る存在として有名な魔法少女なんです。」

「でも何で魔法少女が同じ魔法少女を攻撃してるの?」

「それは…私でもあまり分かりません…」

マリル・ディーゼ…その名を聞いたからには今度から気を付けないと…

「とりあえず、今日は助けてくれてありがとう桜ちゃん。」

「いえ、礼には及びませんよ。」

そう言われると、何だか私の方が照れ臭くなっちゃうな。





「どうだ?何か進展はあったのか?」

「いや、今のところはあまりない。ただ、1つ気になることがあってな。」

「何だ?」

「近頃、夜になるとかなりの確率で現れる魔法少女がいるという情報があると聞いたんだが。」

「夜…ねぇ…何がしたいんだか分からないけど、こっちもまだ調査段階だ。引き続き頼んだぜ。」

「あぁ。」

ピッ。

「だってさクロウ。これから夜だけどどうする?飯でも食いに行くか?それとも…」

「その魔法少女、見れるかどうか分かりませんが少し調べてみましょう。」

「へっ…お前ならそう言うと思ったぜ。」

続く。



次回予告

「夜に現れる…怪盗!?」


「怪盗のような身なりでも魔法少女であることには変わりないわ。」


「美少女怪盗マスカレイド、ただいま参上!!」

「そこ自分で言うんだ…」


次回「美少女怪盗 In the Show time」

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