第2話 魔法少女チーム

謎の少年に連れられるまま、街の大通りに出てしまった。だけど、そこで私が目にしたのは現実とは大きくかけ離れた存在がいた…

「な、何なの…あれ…」

「見ての通りさ。あれが「魔獣」だよ。」

まるでトカゲのような化け物が大通りを独占し、人の気配はまるでない。

「街の人達は…?みんなどこに…?」

「恐らく大半は避難しただろう。ただし、数人は…もしかしたらこいつの餌になったかもしれない。」

「そんな!!」

「悪いけど…これは嘘じゃない。奴の名は「トカゲ型魔獣 アレスト」。かなりの大食漢で目に写るもの全てを餌と認識する魔獣さ。」

こんなヤバイ化け物を目にしたらたまったもんじゃない!で、でも今やれるのはたった今魔法少女になった私だけ…

「私、戦う!魔法少女になったのが運命なら…私は人々のために戦うよ!」

「受け入れが早くて助かるよ。なら僕もそれに応じて助け船を出そう。」

「うん、ありがとう!でも…武器とかそういうの無いの?これ…」

「武器ならマジックダイヤにもよるけどちゃんとある。君のブレイズダイヤは薙刀が武器のはずだ。手のひらに念を込めてくれ。」

「やってみる…」

スゥ……バシュン!

「出た!よーし…やるぞ!」

戦闘は初めてだけど、今ここで私がやらなきゃ!

「ギュロロ…」

「たぁぁぁぁ!!」

ガキン!!



「あれー?もう既に先客がいるみたいだよーさっちゃん。」

「また新しい魔法少女?…本当に涌き出るわね…」

「先輩、ここはどうしますか。」

「やるに決まってるでしょ。あの子は今回が初変身みたいだし。行くわよ、あなた達。」

「おいっす!」

「了解です。」

「「「ダイヤブレイク!!」」」

『アクア…!!』

『ルナ…!!』

『ミスト…!!』



ザシュ!

「刃が…深くまで刺さらない…!」

「ギュロロ…!!」

バシン!!

「うわぁっ!?」

トカゲの魔獣は巨大な足で側にいる私を振り払おうと地面を叩いてくる。

「ねぇ!何かこれ魔法とか無いの!?」

「魔法、というよりかはマジックダイヤの能力が使えるよ。君の場合は手や足、それから武器に炎を纏わせられる。」

何かが出る勢いで手のひらに集中をかける。すると…

ボウッ。

「わっ!火が出た!」

確かに私の手のひらに火が出た。しかも全く熱さを感じない。私の能力が炎を自在に出せるからかな?

「これで説明は以上だ。後は任せたよ。」

「うん!ありがとう!」

もう一度後ろを振り向くと、謎の少年は消えていた。教えてくれたのはありがたいけど…一体何だったんだろ…

「ギギ…」

「あっ、しまった!」

つい解説に夢中になってたら魔獣が私のすぐそこまで…!これじゃ避けるのに間に合わない!

「ハッ!!」

シャキン!

「せーい!」

ジャキン!!

「フッ…」

カチャ…カチン。

「ギュロ……ロ…」

魔獣が…倒れた!?完全にやられてるの!?

「あなたが少し魔獣の体力を減らしてくれたおかげで手間が省けたわ。」

倒れた魔獣の後ろから3人組の女の子がぞろぞろと出てきた…みんな私と同じような格好をしている。

「えっと…あなた達は?」

「あなたと同じ魔法少女よ。私は「水本沙織(みずもとさおり)」。この3人で魔法少女のチームを組んでいるんだけど、そのリーダーを努めているわ。」

「魔法少女の…チーム?」

魔法少女にチームとかそんなのあるんだ…

「もう夜も遅いから帰って休みなさい。詳しいことは明日話すわ。」

「は…はい…?」

何だか良く分からないけど凄いことになってるなぁ…


ー翌日ー


「え、えーと…皆さん?」


「まさか同じ学校だったなんて…」


「私と月野は2年、桜はあなたと同じクラスのようね。」

「桜ちゃんが同じクラスだなんて…ごめん!気づいてなかった!」

「謝ることはないですよ。天野さん。」

「そうそう!そんなに気を使わなくていいよー!」

は、はぁ……?

「あなたの使ってたマジックダイヤ、火属性のダイヤよね?」

「えーと…それが、属性とかあんまり良く分からなくて…」

「あの少年、説明ミスしたわね…」

あの少年って、私が昨日会った少年のこと?

「簡単に説明するわ。マジックダイヤにはそれぞれ属性に合った色があるの。あなたのは火属性だから赤、私のは水属性だから青……」


ー数分後ー


「…てことなの。分かった?」

「まぁ…何となく分かりました…」

簡単にとか言っておきながらかれこれ5分くらい話してたよ…

「それで…どうするの?私達のチームに入るのか。」

「ちょっと考えさせてください…まだ私も魔法少女になったばかりで…」

「そう。分かったわ。気が向いたらまた声をかけて。」

魔法少女のチーム…また新しい壁に直面したみたい…


ー路地裏ー


「へぇ~…新しい魔法少女か…」

ストン。

「戦ってみたいねぇ…」

続く。


次回予告

「水本先輩、お堅い人に見えますが、しっかりとリーダーとして引っ張ってくれますよ。」


「あんたが…昨日変身したての新米魔法少女ってやつ?」


「…!?攻撃が…通らない!?」


次回「ハンティングタイム」



※今回登場した魔法少女の紹介


・水本沙織(みずもとさおり)

14歳の中学2年生。月野、桜と共に魔法少女のチームを組んでいて、彼女はリーダーを努めている。使用するマジックダイヤは水属性の「アクアダイヤ」。武器は剣と鞭を自在に使い分けられる刃が水の剣。能力は「手に持ったものを自由に液状化する」こと。実力は折り紙つきで、リーダーに相応しい強さを誇る。基本的に硬派な性格だが、仲間意識が高く、二人からは慕われている。



・月野真理(つきのまり)

沙織の同級生。14歳の中学2年生。沙織、桜と共に魔法少女のチームを組んでいる。使用するマジックダイヤは光属性の「ルナダイヤ」。武器は三日月型の二刀流サーベル。能力は「月の光に照らされると攻撃力が上がる」こと。性格は超が付くほどの元気っ子。チームのムードメーカーでもある。



・雲影桜(くもかげさくら)

13歳の中学1年生。英里華とは同じクラス。沙織、月野と共に魔法少女のチームを組んでいる。使用するマジックダイヤは闇属性の「ミストダイヤ」。武器は和傘に仕込まれた刀(仕込み刀)。能力は「霧を自在に発生させられる」こと。お嬢様育ちなのか、誰に対しても敬語で接する。かなり慎重な性格。

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