第9話
大学生最後の夏休みは、サモン・チルドレンの関連情報の調査をしていることが多かった。
単位は、ほぼ取れていて、ゼミと卒論以外はセツコ先生の研究室でサモン・チルドレンの論文や、大学の図書館でそれに関連する書籍を読んでいることが多かった。
僕は、そうしてセツコ先生と過ごせる時間がたくさん出来たことが嬉しかった。
「拓也くん、あなたの『死神』さんってどんの子なの?」
ある日、セツコ先生の研究室で紅茶を飲みながら書籍を読んでいると、先生が突然そんな話をした。
「どんな子…と言いますと…。」
「性格とかよ。私の『白狐』ちゃんはよくしゃべる子なのよ。」
というと、白い狐が現れて、頭の中で声が聞こえた。
「拓也だな。セツコから話は聞いてるぜ。よろしくな!」
僕が普段聞いてる、死神の低い声とは違い、快活そうな小中学生の男の子のような声だった。そして、先生の周りをぴょんぴょん飛び跳ねている。
憑いている『精霊』は種類によって、随分と違うようだ。僕の『死神』は基本殆どしゃべることがない。
「僕の『死神』は本当にもの静かですね。呼び出した時だけ来て、普段何もしゃべりません。」
「ある程度本人の性格に近い精霊が憑く可能性が高いと思うのよ。そのことは、これから他のサモン・チルドレンを探すうえで、考慮しないといけないわ。」
「他にも僕達のような、精霊や眷属を使役できる人が居るのでしょうか。」
「私は居る可能性が高いと考えているわ。もし、その人達が能力を悪用したり、悪人から能力を利用したりされたら、社会が混乱する。私はこの研究の第一人者として、そういう事態を起こすわけにはいかない。」
もし、僕やセツコ先生のようなサモン・チルドレンが居るのなら、どんな人なのだろうか、と僕は思った。
だけれども、見つけると言っても、どのようにして探すか、全くもって見当がつかない話である。
一体全体どうすれば…
と考えていたら、突然『白狐』が僕に話しかけてきた。
「お前、セツコのこと好きだろ。」
突然聞かれて、面食らい、僕は飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
セツコ先生と僕と… Aska @asgarddragon
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