第27話 作中:ガーベラの証言

 リンダはお喋りだわ。ぜんぶ聞こえましたよ、警部。私たちのシンパシーは並大抵じゃないから、ほとんど筒抜けなんです。そりゃ不便な時もあるけど、慣れました。

 リンダはあんまり関わらないようにしてたから、喋る内容がほぼ私のことばっかりでしたよね、ズルいんだから。イイ子ぶっちゃって、なんて反感持ってたの、知らなかったでしょ、リンダ。お姉ちゃんだなんて、ぜったいに呼んでやらないんだから。


 ああ、そうでしたね、警部さん。ローザに取り入ってたのは確かです。嘘吐けない魔法なんだから確認なんて要らないでしょ。ほんとに嘘吐けないんですね、コレ。

 あのミスティって子のことも聞いてましたよ。そこにずいぶん焚き付けちゃって、悪感情も吹き込んでやってました。

 ローザってヒトは疑心暗鬼の塊だったんですよ、ちょっと煽ってやったらすーぐ疑っちゃって、味方をしてくれる人を遠ざけるなんて簡単でしたよ。


 なに? 術者の……あなた、クリスティ―ヌだっけ、何か言いたそうね? リンダはあんなこと言ってたけど、別に私はあの女の味方になったつもりなんかないもの。リンダもって言っただけでしょう、勘違いしないでね。


 ええ、そうです、警部さん。最初からハメてやるつもりで近付いたんです。それ以外にあるわけないじゃない、あんな嫌な女。見栄っ張りで、神経質で、自慢話ばっかり。友達付き合いなんか出来る人の気が知れないわ。


 パパに結婚を迫らせるように仕向けたら、パパが辟易して別れるって思ったのに、なんでかパパとママが離婚するみたいな流れになっちゃって、本当はパパだって離婚なんて考えてなかったのに、財産に目が眩んだんです。

 あの女、パパにも財産はないって嘘吐いて付き合ってたくせに、結婚する気になって本当は資産家だってバラしたんですもん。ズルいですよね。私も知りませんでしたよ、この屋敷しか残されてなかった、前の旦那は嘘つきだった、私は被害者、……大嘘つきですよ、あのローザって女。


 パパは財産目当てで、ママの方が美しいって言ってたって、あの女のコンプレックスを焚き付けて、ママと諍いが起きたらパパも嫌になるかなって思って煽ってました。面白かったですよ? 美容グッズを山ほど買い込んで、ママに張り合って。ママはあれでも昔は街のミスコンで優勝したほどなんですからね、ママに勝てるわけないじゃないですか。魔法で厚塗りした程度で。


 お医者さまに心臓が弱ってるって言われたそうだから、たぶん心臓発作ですよ。ちゃんと魔法のお薬を調合してもらってて、普通に生活していたら発作は起きないはずなんですけど、ストレスが溜まってたんでしょうね、ざまぁみろですね。

 私もこれでようやくオベンチャラ言わなくて済むようになりますし、せいせいしました。

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