第15話 作中:自白魔法による証言
「これが私の見たままよ、次はミスティの番ね。いい?」
語り終えるとすぐに、クリスティーヌはソファでぐったりと座る娘の一人に向けてそう言った。けだるげに瞼を上げて、若い三人の娘のうち一人が彼女を見た。
「ええ、お願い。私は潔白だもの。」
決然とした物言いで彼女は答えたものの、心身の疲労ゆえかまた瞼を落とした。
クリスティーヌは一同をぐるりと見回した。
「警部はもうご存じでしょうけど、皆さんにも申し上げておきます。この魔法は一切の嘘を許さないという性質のものです。従って、ご自身の言葉に驚かれることもあるかと思いますが、精霊の喋らせる言葉が真実ですわ。」
すると、同じくソファに腰を下ろして深刻そうに押し黙っていた男が彼女を見た。ミスティと共に館を訪れた叔父のダンカンだ。
「もし誰かが、誤解するように誘導しとった場合はどうなります? 田舎者で申し訳ないが、都会の最新魔法はよく知らんのです。」
今度は警部が口を差し挟んだ。
「目で見たままです。当然、欺されているなら欺された上での目撃状況を語ることになります。心配は要りません、魔法に掛けられて偽証をしたものとしてもその事実を余さず語るだけのことです。」
術者が記憶を操作したとしても、操作されたことを告げてしまう魔法であった。
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