48話目

 今日は夜玻と一緒に学校に行くことになった。夜玻の隣を一緒に歩く。少し後ろでも、前でもない。夜玻が歩幅を合わせてくれるから歩きやすい。


「さすがに朝は居ないみたいだな」

「寝てるのかな」

「どうだろうな。昨日聞けた情報を記事にしようとしてるかもしれないし」

「そっか」

「ん、誰か立ってるな」

「ほんとだ、誰だろう」


 道の脇に立って、生徒に声をかけてる人がいた。普通に返事を声してる声も聞こえるし、先生なのかな。


「紗奈ちゃん、夜玻くんおはよー」


 立っていたのは中嶋先生だった。


「おはようございます、中嶋先生」

「おはようございます」

「昨日は大丈夫だった?」

「やっぱりこれってそういうことですか」

「そうね、詳しいことは全校朝会で校長からお話があるけど二人は当事者だから話しておくわね。朝は先生たちがこうして立つことになったわ。帰りは校門に立つけど、一応気を付けてね」

「わかりました。よかったな紗奈」

「うん」


 でも、ちょっと先生たちに申し訳ない気もする。


「あら気にしなくていいのよ。生徒のためだもの」

「あれ、声に出ちゃってましたか。ごめんなさい」

「声には出てないわよ。顔がそういってたのよ。ね、夜玻君」

「え、そうですね。紗奈は表情で何考えてるかわかりやすいんで」

「そうなの?」

「さすがに全部はわからないけどな」

「なんか恥ずかしい。考えてることわかられるって」

「なんか、すまん」

「ほらイチャイチャしてないで、早くいかないと遅刻しちゃうわよー」

「イチャイチャなんてっ」

「行こ、夜玻」


 慌ててる夜玻の制服の裾を引っ張る


「おう」

「まだ早かったかしら。転ばないように気を付けるのよー」


 二回目の緊急の全校集会。一回目も今回も僕がらみの全校集会だから。あまり気分はよくない。最初に、記者の話が出た。もちろん病気のことにも触れて、聞かれても答えないようにって言ってた。最悪の場合停学になるって、結構大変なことになってる気がする。


「あれだけくぎ刺されたら、誰も話さないだろうな」

「そうね本当に停学になればの話だけど」


 昼休み、お念頭を食べながら夜玻と恋伽が話してる。


「どういうことだよ。校長が停学にするって言ってるんだから。停学になるんだろ」

「見つかればね」

「どういうこと、恋伽」

「そもそも考えてみなさい。うちの学校生徒数だけでも五百人くらいいるのよ。その中から特定の生徒を見つけるなんで不可能なのよ。悪いことをしてるやつが素直に名乗り出るわけないじゃない」

「じゃあ意味ないじゃんかよ」

「それこそ釘を刺すことはできたでしょ。多少はおとなしくなるはずよ」

「そうだといいけどな」


 夜玻も夢伽もげんなりしていた。

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