46話目

 日傘をさして登校すると、結構見られる。多分珍しいからなんだろうけど。それでも僕はやっぱり落ち着かない。早く教室行こ。


「おはよう」

「おはよう、今日は二人と一緒じゃないの?」

「朝練だって」


 そう今日は二人とも朝練で一緒に来れなかった。そのまま、みんなとあいさつして。自分の席に着いて、座ったものの。一人だとすることがない。すーごく暇。

 どうしても夜玻と恋叶意外とはあんまり仲良くなれない。挨拶したりとかみんな優しいんだけど、どうしても話が続かない。みんなは悪くない。

 僕があんまり話せない。どうしても壁をつくちゃう。雪野君とは少し話せるくらいかな。恋叶と仲いいみたいだから。


 そうこうしてれば、夜玻と恋叶が教室に入って来た。


「紗奈、朝大丈夫だったか」

「うん」

「ならよかった」


 これで暇な時間が終わる。

 午前中は体育があって、姉さんからもらったボディーシートは普通に使えた。ちょっとスーってすしたけど。


 そして午後一番の授業はホームルームで、文化祭の話だった。


「今日のホームルームはー、文化祭の話だからー、文化祭委員の子たちがお願いねー」


 雪野君が黒板の前に行って、そして。

 そしてもう一人いるはずの委員が出てこなかった。あれって思ってると。


「あらー、もう一人いるはずなんだけどー。えーっと、紗奈ちゃんねー」

「あっ」


 そうだ。すっかり忘れてた、文化祭委員、僕だ。

 忘れてた恥ずかしさも一緒に、黒板の前の方に行く。


「ごめんね、雪野君」

「大丈夫、黒板に書けそう?」


 書く。司会みたいなのはできそうにないから、黒板に書けるなら書きたい。でもちょっと身長が足りないかもしれない。

 チョークを持って背伸びをしてみる。これで届かなかったら諦めて司会みたいなのしよ。黒板に書けないんじゃしょうがないし。

 あっ、届いた。


「書けるよ」

「じゃあお願い。それじゃあ、今年の文化祭のクラスの出し物を決めましょう」


 そして話し合いが始まった。


「とりあえず食べ物か、それ以外か決めようか」

「食べ物以外ってなんだ?」

「劇とか、劇だな」

「劇なー」


 なんか違うっていう雰囲気が教室に漂い始めた。確に劇ってすごく大変そう。準備とか。


「この感じじゃ劇はないかな。それじゃあ、食べ物だけど。なにしたい?」

「喫茶店よね、定番は」

「屋台でもいいけどな」

「喫茶店だと、出来物出す感じかな。保健所に届け出あるから」

「屋台も出来物出す感じなのか?」

「屋台は物によるけど、出来立てを出せるね。焼き鳥とか、チョコバナナとかはできると思うよ」

「焼き鳥って、こういう時に食べるのはめっちゃうまいんだよな」

「わかるわーなんでだろうな」

「甘いものもいいわよね」

「クレープとか?」

「さすがにクレープは難しいでしょ。生地作るのが」

「フライパンでもできそうだよな」

「ほんと?」

「いや思い付きだけど、薄いホットケーキみたいなのだろ結局は」

「なんかそれ聞いたらできそうな気がしてきたわ」

「だろ」


 なんか喫茶店よりも屋台に成りそうな予感。みんな屋台で出せそうなのばっかり話してるし。でもクレープは美味しそう。味見役とかあるかな。

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