42話目
次の日も二人と一緒に登校した。そして歩きながらこんな話をしたんだ。
「なあ昨日の今日で沙奈のことが学校中に広まるとは思えないけどよ、広まってたらどうする?」
「ないとは言い切れないわね。壁に耳あり障子に目ありっていう言葉もあるし」
「そうだね」
「ん?」
「夜玻あんたね」
「いや、わかってるって」
「じゃあ言ってみなさいよ意味」
「えっと」
確か、隠し事しようとしてもどこから他の人に聞かれたり見られてるかわからないってこと、だっけ?
でも確かに昨日掃除のときとかすれ違ったりしたし、クラスの皆以外に見られたし。でもどんな噂になるんだろ。
「すみませんでした」
「分かればよろしい。それじゃあ行きましょ」
学校までは電車で行ってる。自転車でもいいけどちょっと遠い。そして身長の低い僕は夜玻を盾にしないともみくちゃにされちゃう。ちょうど混む時間帯だから。
女の子になった今はそれに加えて、どこかに捕まらないと揺れで転びそうになっちゃう。だから夜玻の制服を掴んでもたれかかってる。
そうするとちょうど耳が夜玻の胸の辺りにあるから、鼓動がドクドク聞こえてきて。なんだか鼓動早い気もするけど、夜玻大丈夫かな?
夜玻の方を見上げると上を向いて、口がもごもごしてた。多分大丈夫そう?
それにしても夜玻って大っきいなって何度も思う。身長が高くて大っきいなって、前から思ってたけど。
女の子になってからはそれとは別に手とか背中とか、他にも僕より大きいた頃があるって気づいて。
いいなーって思うようになったり、ついつい頼るようになっちゃったり。夜玻がいなかったら僕どうしてたんだろう?うん考えてもわからない。
「次は……」
「降りる準備しなさいよ」
「うん
「わかってる」
駅に到着すると人がどんどん流れていく。その流れが途切れそうになるころ僕たちも降りる。最初の波にのまれたら迷子になっちゃうよ。
学校への道には生徒が沢山歩いてて。それはいいんだけどさっきからなんだか見られてる気がする。
「恋伽、なんだか誰かに見られてる気がする」
「誰かって予想はできるわ。夜玻壁になりなさい」
「おう、沙奈俺の後ろに隠れてろ」
「うん」
夜玻の制服をつかんで後ろをあるく。でもなんだかこれ子供っぽく見えるような気がする。
恋伽は僕の後ろにいて辺りをきょろきょろしてる。なんだか目つき怖いし怒ってるのかな?
誰から見られるのは学校の中でも変わらなくて、教室に入るとあんまり視線を感じなくなった。
「まったく、沙奈のことじろじろ見て。気持ち悪くなかった沙奈?」
「少しだけ。気持ち悪かった」
「顔話覚えたから今度何かあったらとっちめてやるわ!」
「ほどほどにねしてね、恋伽」
「沙奈、俺たちがいないときはクラスの誰かといるようにしろよ。一人は心配だからな」
「そうね、夜玻の言う通りね、その方がいいわ」
周りを見たら任せろと言わんばかりに腕をまくる男の子とか、胸を強く叩きすぎて咽ることか。いたそうで大丈夫かなって思った利したけど。でもすごく頼もしく見えた。夜玻が一番だけど、知らない人といるよりもずっといい。全く知らない人といるとうまく喋れないから。
「うん、お願いします」
これからお願いするかもしれないから、挨拶をした時みたいにお辞儀をした。
そしたら
「任せとけ!」
「沙奈ちゃんのことは私たちが守るからね!」
皆が優しくしてくれて。
「ありがとう!」
ていったらなんだか皆俯いちゃった。僕何かしたかな?
二人のほうを向くと恋伽は苦笑いをしてて、夜玻はため息をついていた。
「大丈夫よ、皆喜びをかみしめてるだけだから」
「このクラスこんな奴らばっかっだったか……?」
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