夏の終わりと新たな日常

39話目

 夏休みが終わって今日から二学期が始まる。いつも通りに目が覚めて朝ごはんを作る。

 今日の朝ごはんは大根のお味噌汁に、塩鮭を焼いたのを作った。

 まだ姉さんは起きてきてないから二階に上がって扉をノックする。


「姉さん、起きて。朝だよ」


 扉をノックしても起きてくる気配はなかった。いつも起きてこないからなんだか慣れちゃった。

 扉を開けて中に入ると布団に寝ている姉さんがいた。机には紙が無造作に置かれていて夜も仕事をしてたのが嫌でも分かっちゃう。

 毎日僕のために仕事をしてくれて、すごく助かってるからもう少し姉さんを寝かせてあげたいけど。

 起こしてって言われてるから起こさないと。


「姉さん朝だよ。起きて」

「んー起こしてー」


 姉さんは布団に入ったまま、中から手を伸ばしてきた。

 仕方ないなー。たまに姉さんはこうやってすぐに起き上がらないことがある。


「もーもら起きて」


 僕は、伸ばされた姉さんの腕をとって、引っ張ろうとした。


「さなー」

「あっ」


 姉さんを引っ張ろうと掴んだ僕の手は、逆に姉さんに引っ張られてそのまま布団の中に引っ張り込まれてしまった。


「姉さん!」

「さなあったかーい」

「あったかいじゃなくて、起きてよ朝なんだよ」


 実は、もう何回か布団に引きずり込まれたことあるから慣れえちゃった。

 決まって抱きしめてくるから姉さんが起きるまで動けないんだよね。


「んー起きる。でももう少し沙奈成分の補給」

「また変なこと言って。いいけどちゃんと起きてね」

「わかったわー」


 それからほどなくして姉さんは僕を離してくれた。僕も姉さんと寝れたから少し元気もらえた。学校行ってちゃんとできるか不安だったから。



「沙奈の作る朝ごはんは美味しいわね」

「ありがとう姉さん」

「私もいつもありがとうね。食べたら学校行く準備するんでしょ?」

「うん、そのつもり」

「沙奈の制服姿が見れるのね。楽しみ」

「うん、似合うといいんだけど」

「大丈夫よ、ちゃんと似合うのを買ってきたんだから。夜玻くんも恋伽ちゃんも似合うって言ってくれるはずよ」

「そうだよね」


 朝ごはんを食べ終わって、新しい制服に着替えて二人を待つ。今日は二人とも迎えに来てくれるって。恋伽は一回僕の家に来てから学校に行くことになるから。遠いのに大変なはずなのに来てくれて。


 そしてピンポーンって呼び鈴が鳴った。二人が来たんだ。


「おはよう」

「おはよう沙奈、似合ってるぜ。恋伽よりな」

「何よそれ! 沙奈似合ってるわよ。本当にかわいいわね、これは違う意味で心配だわ。夜玻ちゃんとするのよ」

「言われなくてもわかってるよ。ほら沙奈行こうぜ学校に」

「うん!」


 夏休みが終わって、これから新しい学校生活が始まるんだ。不安もたくさんあるけど、二人と一緒なら怖くないと思う。

 姉さんからも元気分けてもらったし、頑張らないと。

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