31話目

「んー」


 恋伽がさっきから僕のブラジャーを見て唸ってる。


「確実にサイズがあってないわね」

「そうなの?」

「それしかきつくなる理由なんて無いのよ。前はAカップの買ったから一サイズ大きくしてBね。今すぐ買いに行きましょ」

「今から行くの?」


 お昼過ぎだから時間はあるけど、明日でもいいのに。服を着て洗面所からリビングに戻ると、恋伽が夜玻に話しかけてた。


「早いに越したことはないの。夜玻買い物行くから荷物持ちお願いね」

「店の外で待ってるからな」

「中に入ってきたら変態って呼ぶから」

「入らねえよ」


 ショッピングモールに行くと、恋伽に連れられて下着売り場に直行した。


「ブラってサイズ大きくなると、選べる柄多くなるのよね。何かいいのあった?」

「よくわかんない、どれも綺麗だし」

「沙奈って水色好きだったよね?」

「うん」


 水色って空の色だから好きなんだ。


「じゃあ水色のにしましょう。好きな色着てたほうが気分いいでしょ」


 気分は良いのかな?そういうのあんまり感じないけど、感じるようになるのかな。

 買い物したら、近くのカフェに入って今度の花火大会の話をすることになった。


「再来週よね花火大会」

「そうだな、雨降らない限り中止にはならないだろ」

「やっぱり夜だから寒いかな」

「どうだろうな。短パン半袖だと寒気するくらいじゃないか?」

「着ていく服の話?やっぱり夏なんだから浴衣きましょうよ」

「浴衣なんて、子供のころのしかないぞ」

「僕も」


 ちっちゃい頃は姉さんと一緒に浴衣着て、金魚すくいとか射的とかしてた。そうだ夜玻たちともやりたいな。


「レンタルすればいいのよ。確かこのショッピングモールの中にあったはずよ」

「そうなの?」


 首を傾げて、僕は恋伽に聞いた。そんなお店があったなんて知らなかった。


「そういや、着物とか売ってる店あったな」

「そこよ、あそこ着物とか浴衣も貸出してるの」

「よく知ってるね二人とも」

「友達から聞いたのよ。とにかく早く行かないといい柄の着れないんだから飲み終わったら行くわよ」


 恋伽に急かされるままにオレンジジュースを飲んで店を出る。夜玻のコーヒー少し飲ませてもらったらやっぱり苦くて無理だった。

 恋伽が関節キス!って言ってたけど別に気にすることでもないのに。夜玻だって気にしてなかったし。でも、ちょっと頬赤かったかな?よく見てないから分からないや。


 恋伽に連れられて、着物屋に来た。


「ほら、お店の前にも書いてあるわ。浴衣貸し出しますって。すいません、来週の花火大会の日に浴衣借りたいんですけど」

「女性二人男性一人でよろしいですか?」

「はいそうです」


 店員のお姉さんは店の奥に入って行ってすぐ戻ってきた。


「ご予約を確認したところ、在庫があるのがこちらになります」


 何種類かの浴衣の写真を渡された。この中から選べばいいんだね。

 水色のはないんだ……。どれにしよう、緑のは色濃いしうーん。そうだ夜玻に聞こう


「夜玻どれがいいと思う?」

「俺に聞くのか?自分で選んだほういいと思うぞ」

「どれがいいのかわかんない」

「わかんないってなぁ、じゃあこの薄紫のなんてどうだ」


 よく見てなかった。薄紫あったんだ。水色と似てる。うん、これにしよ。


「これにする。ありがとう夜玻」

「俺は何となく選んだだけなんだけど。良かった」

「二人とも決まった?」


 これを着て花火大会行けるなんて、楽しみ。早く来週にならないかな。

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