27話目

チュンチュンと雀のさえずりが聞こえるすがすがしい朝。目が覚めた僕はなんか変だなーと感じた。ボーっとするし頭痛いしのども痛い。何だろうと思っていると姉さんが部屋に入ってきた。


「姉さんおはよう」

「沙奈顔赤いわよ」

「んぅ?」

「ほらおでこ貸して」


姉さんの顔が目の前まで来た。あ、姉さんのおでこ冷たくて気持ちいい。


「熱あるわね。体温計で熱測りましょう」

熱。だからボーっとするのかな

案の定熱があった。近くの病院は休診日でやってないので、市販の薬でどうにかすることにした。


「姉さんごめん」

「気にしないの。最近出かけること多かったから、疲れてたのよ」

「うん。でも姉さんに移すかもしれないし」

「そこはたぶん大丈夫よ。予防はしてるから」


確かにマスクとかしてるから大丈夫に見えるけど。もしも移したら僕のせいだし。


「紗奈何か食べたいのある?果物とか」

「確か台所の引き戸に桃の缶ずめ買ってきたはずだから。それ食べたい」

「わかったわ。今持ってくるから大人しくしてるのよ」

「うん」



「ん……」

また寝てたみたい。テーブルの上に飲み物が置いてあった。少し楽になったから、飲み物を飲んで下に降りていった。姉さんがいるような気がして。


「ええ、明日行くからお願い。それじゃあ」

「姉さん」

「紗奈!寝てなきゃダメじゃない」

「姉さん下にいるかなって思って、邪魔しちゃった?」

電話してたから、仕事のことだと思うけど。

「ちょうど終わったからいいのよ。それより部屋に戻りましょ。話さないといけないこともあるし」

「うん」

姉さんひんやりしてて気持ちいい。あと暖かい安心する。


「紗奈話なんだけどね」

「うん」

部屋に戻って、僕は姉さんに髪を撫でられていた。

「明日知り合いの病院に行こうと思うの。単なる風邪ならいいけど、女の子になったのと何か関連性があると不安だから」

「わかった。姉さんも一緒なんだよね?」

「ええ、もちろんよ」

「ならいい。姉さんが一緒ならそれで」

姉さんと一緒なら、それでいい。病院行くの好きじゃないけど。


「紗奈行きましょ!」

「まってよおねえちゃん!」

小さい頃の夢。

昔はもっと自然が多いところにいた。田畑があってのどかで。近くの神社が遊び場だった。僕はいつも姉さんの後を追いかけて。

いつも傍には姉さんがいてくれた。近所の怖い犬に吠えられて動けなかった時も、姉さんが助けてくれた。知らない人と会う時は姉さん後に隠れてた。

そういえば誰かと一緒に遊んでた。神社であそんだんだ。僕と同じくらいの男の子と女の子が居て。

名前はなんだっけ。名前は……


部屋は真っ暗だった。姉さんに髪を撫でられてるうちに寝ちゃったみたい。夢……を見ていた気がするけど、思い出せない。

汗をかいて来ている服は湿っていた。着替えないとでもその前にシャワー浴びたい。タンスから着替えを持って、部屋を出る。

部屋の扉を閉めると、姉さんが部屋から出てきた。扉を開ける音に気がついてでてきたんだ。


「紗奈起きたのね。今からシャワー浴びるの?」

「うん。汗、かいたから」

「ちょっと待ってて」

姉さんは直ぐに部屋に戻って着替えを持ってきた。

「姉さんも入るなら先にはいって」

「一緒に入るの。一人じゃ危ないでしょ。久しぶりに洗ってあげるから」



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