24話目

今日作ってきたサンドイッチは、卵サンドとツナサンド。それから鶏肉を挟んだ鳥肉サンドも作ってきた。あとデザートのフルーツサンドもある。

「お、肉挟んだのあんじゃん」

「うん。夜玻食べたいかなって思って、作ってきた」

「私はツナサンドもらうわ」

「僕も」


宿題はどのくらいやったのか、読書感想文どうしようか、とかそんな話をしてるうちにサンドイッチはなくなっていた。二十個くらい作ってきたのに。

「はい、デザートのサンドイッチ。夜玻も食べるよね?あんまり甘くしてないし」

「甘すぎなきゃ食べれるぜ」

夜玻は今では珍しい、甘いものが食べれない男子なんだ。だから誕生日のケーキとかは、市販のだと甘すぎるからって甘さ控えめのケーキ作ってあげてる。どうしてもケーキは食べたいんだって。

腹休みもすみ、僕たちはウォータスライダーに向かった。

「結構ならんでるね」

「アトラクションだからな、乗りたがるよ」

「すすむの早いから、すぐ乗れそうよ」

五分くらい待つとウォータスライダーの乗り口までこれた。ここから滑るわけだけど、上にくるとちょっと高い……。尻込みしてたら迷惑だし、何より二人が先に行ってるから待たせるのもね。男は度胸、女の子だけど。えい!

早い!怖い!やっ!


「紗奈ーどうだった?」

「楽しかったけど、もう乗らない」

「紗奈、ああいうのは苦手だもんね」

「早いのはダメ、ジェットコースターもダメ」

ジェットコースターは乗り物じゃない。拷問器具。

「もう一回乗ってきていいか?」

あれに乗りたがる夜玻の気持ちが僕にはよく分からない。やっぱりスリルを味わいたいのかな。

「好きにすればいいんじゃない?ね、沙奈」

「うん、ここで待ってるから行ってきていいよ」

「わかった、すぐ戻ってるからよ。沙奈のこと頼んだぜ恋伽」

「任せなさい、でもなるべく早くしなさいよ?」

「わかってるよ」

夜玻は、笑いながら列に並びに行った。

「楽しそうだった、すごく」

「一番来たがってたのは夜玻だもの。宿題後回しにしてるみたいだから、帰ったら大変だと思うわよ」

「教えてあげないとね」

「優しいんだから。ほっといてもいいのよ?」

「だって友達だから」

「そうね、教えたついでに何かおごってもらいましょ」

「うん」

パフェとかがいいかな。夜玻は食べないと思うけど。

夜玻になにをおごってもらうか考えていると、誰かに話しかけられた。

「こんにちわ、よかったらこの後俺たちと食事でもしない?」

日焼けした肌に、染めた髪。高校生くらいに見えるチャラい男達がいた三人いた。見た感じナンパだと思うけど、視線が気持ち悪い。女の子の体になってから、そういう視線がいつの間にか分かるようになっていた。

顔は夜玻からもらった帽子が影になって見えないのか、胸などに視線を感じる。夜玻からはそんな視線を感じなかったから、怖い。今目の前にいる男の人たちが。

並んでる夜玻は乗り口の手前まで来ていて、こちらをみて険しい顔をしている。何とか戻ろうとしているものの、少し時間がかかりそうだった。

「遠慮するわ、他をあたって頂戴」

恋伽は怯みもせず、いやな感じを隠さないで突き放していた。

「そんなこと言わないでさ、大人数のほうが楽しいよ」

そして恋伽と話している男とは別の男が、僕のほうに手を伸ばしていた。

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