18話

「買ってきましたよ。泳いだあとなんでスポドリです」

「サンキュー」

「ありがとう」


 姉さんと恋伽は飲み物飲むだけで絵になるな。


「ほらこれ紗奈の分」

「ありがと」


 泳いではないけど喉が渇いてたから、ありがたく夜玻から貰った。


「さて、午後は何する?」

「ビーチボールあるから海の中で遊んでもいいんじゃない?」

「ドッチボール的な感じか?」

「そうそうそれ、紗奈もどう?」

「やる、姉さんもやろ?」

「いいわよ、やるならチーム分けしないとね」

「じゃあ公平にぐーのぱっーで決めるか。行くぞ」

『ぐーのぱっーで合った人!』


 チーム分けは姉さんと僕、夜玻と恋伽に決まった。

 場所は比較的浅いの所でやることになった。

 ルールはボールを落とした方の負け。コートがあるわけじゃないから、遠くにボールを打ちすぎても負け。というシンプルなルール。

 そしてこれが以外にも白熱した戦いになった。

 10点先取のこの戦い両者共に9点であと1点勝敗が決まろうとしている。

 スタートは夜玻から。

 夜玻の打ったボールは姉さんの手前に落ちてきた。腕を伸ばせばギリギリ届くか届かないかの位置。

 もちろん姉さんは起動を予測して真下に移動していた。

 姉さんの打ち返したボールは恋伽の頭上に飛んでいった。


「夜玻パス!」

「おっしゃ!」


 夜玻の打ったボールは真っ直ぐ僕の方へと飛んできた。

 反射的に腕を振り上げると運良くボールは空に上がった。

 すかさず姉さんがそのボールを打ち返して夜玻の顔面にクリーンヒットした。


「痛った」


 夜玻に当たったボールは水面に落ちることなく空中を浮遊していたけど恋伽がボールに触れる前に海面に落ちた。


 10対9で僕と姉さんが勝利を収めた。

 砂浜に引き返した僕達はクールダウンしつつ海を眺めていた。


「疲れたー!」

「あれだけ動いたんだもの、当たり前よね」

「紗奈、日焼け止め塗っておかないとダメよ?あんなに激しく動いたんだもの落ちてるはずだから」

「わかった。姉さん背中の方塗ってちょうだい」

「いいわよ」

「じゃあ夜玻、私の背中に塗ってよ」

「なんで俺が?速やかに退散しようとしてたんだが」

「いいのよ、別にあんたに見られても減るもんじゃないしね」

「お前はいいかもしれないが、はぁ……分かったよ。せめて紗奈の方には背中を向かせろ。あっちを見る訳には行かないからな」

「そうね、こっちを向いたら私の拳が飛ぶわ」

「元々見るつもりはありませんよ!おっかないですし」

「それじゃあ、お願いね夜玻」

「はいよ」


 日焼け止めを塗り終えると、何故か夜玻の顔が赤くなっていた。

 そして唐突に姉さんがどこからともなく持ってきたスイカで、スイカ割りをすることになった。

「さっ、スイカ割りしましょう」

「姉さんスイカ割る棒は?」


 姉さんの手にはもちろん僕達の手にも棒らしき物は無かった。


「そう言えば棒が無かったわね。スイカだけ持ってきちゃったわ」

「ええ!じゃあどうするんですか?」

「大丈夫よ包丁はあるから」

「なんで包丁のほうがあるんですか、そっちの方が驚きですよ!」

「綺麗に割れなかったら必要になると思って持ってきたんだけど、持ってきてよかったわ」


 姉さんってこんなにおっちょこちょいだったかな。昔はもっとこうキリッとしてカッコ良かったんだけど。


「とりあえずスイカ切るけど4等分でいいわよね」


 姉さんがちらっと見てきたので頷いておく。

 夜玻も恋伽も頷いていたのでそのままスイカは4等分され僕達の手元にやってきた

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