17話目
「それじゃ教えるわね」
「うん」
僕は今姉さんと一緒に海に入って浮き方を教えてもらってる。
浮くのは背浮きが一般的だからそれお教えて貰ってる。
と言っても姉さんに支えてもらって浮く感覚とかを教えて貰ってるんだけど。
「それじゃあ1回手を離すわよ」
「うん」
ゆっくりと僕の背中から姉さんの手が外されて、補助が無くなっていく。
少し沈みかけたけど、どうにか浮くことには成功した。
「出来た」
「頑張ったわね、紗奈」
「うん、目的は達成出来たからあとは浮き輪で浮いてる」
「少しは泳いでも良いのよ?」
「口に海水入ってしょっぱかったから泳がない」
そう。浮く練習をしてるとどうしても海水が口に入ってしょっぱかった。だから浮き輪でぷかぷか浮いてることにした。泳げないわけじゃないけど、泳ぐのはプールだけでいいかな。
それにしても夜玻や恋伽はレースをするみたいに横並びで泳いでる。もちろんレースしてる訳じゃないから早くはないけど、2人とも楽しそう。
「紗奈、浮けたのか?」
ぷかぷかと浮かんでると夜玻が近寄ってきた。
「うん、浮けたよ。でも海水が口に入ってしょっぱかったから、浮き輪使って浮いてるんだ」
「ははは、なるほど。ひっくり返らないように注意するんだぞ」
「うん」
夜玻はまた泳ぎに行ったけど、僕からそこまで離れていない位置で泳ぎ始めた。
多分僕のことを気遣ってくれてるんだと思う。
周りを見れば恋伽や姉さんも僕の近くで泳いでくれてて、嬉しいんだけど申し訳なさも出てくる。
僕がこうならなければ、夜玻や恋伽も姉さんと自由に泳げたんだから。
でも、僕がこうならなきゃ姉さんは帰ってこなかったし。こうしてみんなで海に来ることも、なかったんだと思うと僕が女の子になっても良かったのかもしれない。
皆が泳いでお腹がすいたということで持ってきたサンドイッチを食べてる。
「たまごサンド美味しい!これ綾音さんの手作りですか?」
「私はパンに挟んだだけよ。具は紗奈が昨日の夜に作ってたの」
「じゃあ紗奈と綾音さんの手作りなわけか」
「そうなるわね」
たまごサンドの具は昨日の夜に作って朝に、パンに挟むつもりだったんだけど。
ちょっと寝坊しちゃって挟むのは姉さんがやってくれた。
「飲み物買ってきましょうか?」
「そうねお願い」
「はい。なんかリクエストある?」
「炭酸じゃなきゃいいよ」
「紗奈は炭酸苦手だもんな。恋伽と綾音さんは?」
「なんでもいいよ」
「私もなんでもいいわ」
「わかった。じゃ適当に買ってきます」
夜玻はダッシュで海の家に向かった。
「1人で4つ持てるのかな」
「ペットボトルじゃないかもしれないものね。紗奈行ってあげたら?」
「わかった」
僕は夜玻を追いかけて走ったけど、追いつくことは出来なくて海の家で注文を丁度してるところだった。
「夜玻、走るの早い」
「紗奈来てたのか」
「うん、1人じゃ持てないかと思って」
「そっか、ありがとな。じゃこれ持ってくれ」
手渡されたのはペットボトルのやつだった。
「僕いらなかった?」
「いや、いてくれて助かったよ。4つ持ったら手が冷たくなっちまうからな」
「変な理由」
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