16話目

「そろそろ見えてくるわよ。楽しみにしてた海が。ほら」

「わー!凄い!」


僕は窓から頭を出して、潮風を感じていた。これが、潮風の香りなんだ。


「ほら危ないぞ、紗奈」

「わっ、ごめん夜玻」

「いや、気をつければいいんだ。はしゃぐなとは言わないからよ」

「うん」


凄い、本当にすごい!一面の海が目の前に広がってて、とても綺麗。

海面に太陽の光が反射しててキラキラと輝いている。


「さっ、もう少しで着くわよ」


車はビーチの見える道を走り、海近くの駐車場に止まった。


「更衣室はビーチの手前にあるから、みんなそこで着替えるのよ。着替えたら更衣室の前で待っててね。夜玻くん、先にビーチパラソル立ててくれる?場所取りは早めにした方がいいから」

「分かりました。じゃあ先に行ってます」


夜玻は既に海パンを履いてるらしくあとは脱ぐだけでいいそうだ。水泳の授業の時にすでにスク水を始めから着てるようなものなのかな?


更衣室で水着に着替えて外に出ると、すで夜玻は着替えた後だった。


「お待たせ!どお?」

「似合ってるよ。紗奈も可愛いぜ」

「ありがと」

「可愛いわよね。でもパーカー脱いだらもっと可愛いんだから」


恋伽はこう言うけどそこまで可愛くないと思う。


「そうね、変な男がよってきちゃうわ」

「僕そんなに可愛くないよ」

「「「それは無い」わ」」


3人に否定された。ほんとに可愛くないと思うんだけど。


「それならパーカー着たま間の方がいいんだが、紗奈は泳ぎたいんだよな?」

「うん、浮けるようになりたい」

「そうね、教えるために誰かいないといけないのもそうだけど、男よけに夜玻君も近くに居た方がいいわよね」

「みんなで一緒にいちゃダメなの?」

「ダメじゃないわねそうしましょう!」

「最初からそうすればよかったんじゃないかという思いが凄いんだが」

「同感ね。とわ言っても私にもよく分からないけど」

「とりあえず行くか」

「そうね」


浜辺に移動すると、もうビーチパラソルもレジャーシートも敷かれていた。


「あっ、ちっちゃい椅子もある」

「背もたれはないんだけどな」

「それじ泳ぐ練習しましょう。恋伽ちゃんと夜玻君はどうする?」

「俺はその辺で泳いでます」

「私も泳いでます」

「分かったわ。夜玻くんは紗奈が海から上がったら近くにいてちょうだい。男避けにね」

「分かりましたけど、俺さすがに手を出されたら何も出来ませんよ?武術的なのはやったことないんで」

「それなら大丈夫よ。すぐ私が駆けつけるから」

「綾音さんは何かやってるんですか?」

「姉さんは昔合気道やってた。らしい」

「らしい?」

「なんか、合気道以外も使えるから」

「空手と柔道もやれるわよ。大学でかじった程度だけど、そこら辺の男には負けるつもりないわ」


と、姉さんは言ってるけど。普通に大会で上位にくい込んでた人に教わってたから、やってる人にでも勝てる時は勝てると思う。

でも姉さんも女性だから、もしかしたら負けちゃうこともあるかもしれないから夜玻には頑張って欲しい。


「なんか憧れます!強い女性って感じがして」

「あら、恋伽ちゃんありがとう。とはいえ私も女だから力じゃ男には負けるから。それに叫べばあちらも世間体があるから引いてくれると思うわ」

「あとは、子連れの家族も見かけるからここら辺の治安はいいと思うんで、ナンパするやつ自体居ないんじゃないですかね」

「ええ、そう思ってここに来たからその辺は本当は最初から心配してないわ」

「あれ?じゃあこの話は一体なんなの?」

「「「ノリ?」」」

「僕は3人のノリがよくわからない時があるよ」

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