13話目

 お昼、僕の家に集まって宿題をやることが日常のようになって来た頃、僕達の中でこんな話が出ていた。


「暑っついな」

「今年は猛暑だって、ニュースでやってたものね」


 連日、30℃を超える日が続いて僕達は自然に薄着になっていた。リビングはクーラが程よく効いていて寒くなく、扇風機のおかげで涼しい。


 夜玻は黒の半袖にジーンズを着ていて、恋伽はピンクの柄物の半袖にスカートにニーハイソックスを履いていた。

 僕は姉さんと買い物に行って買ってきた、水色の長袖に黒の長ズボンを履いている。

 夏だから暑いような気もしたんだけど通気性がいい素材みたいで見た目ほど着ていて暑くはなかった。


「麦茶のお代わりいる?」

「あっちょうだい」

「俺も」


 暑さで早々に夜玻はやる気をなくしてて、完全にくつろいでいる。僕も恋伽も宿題はしているもののあまり身が入らないでいる。


「こんなに暑いと海行きてぇな」

「海ね、いいかもしれないわね。」

「海行ったことない。どんな所?」

「え!?紗奈海行ったことないの?」

「写真とかテレビで見た事はあるけど、実際に行ったことないからどうなのかなって」


 小さい頃は夏休みとかの長期休暇の時には旅行に行っていた。でも温泉旅行やスキー旅行だったりで内陸ばかりを旅行していたから海沿いに行って海を見たことがなかった。


「うーん、どんなところと言われるとなぁ?人がいっぱいいて泳いだりとかする場所?」

「人がいっぱい」

「海の家っていう所でご飯食べれたり、海に入れば涼しいから楽しいわよ?」

「行ってみたいけど、水着ない」

「あっ、そっか中学校の水着もう使えないものね。となると新しいの買わないと行けないわね」

「行くなら、綾音さんにちゃんと言わないとな。あと俺達は親に聞かねぇと」

「私は大丈夫ね。夜玻も宿題ちゃんとやってるしいいんじゃない?」

「多分な」

 早速2人は親に電話をして聞いていた。


「よし、行ける!」

「私も良かったわ」

「じゃあとは姉さんに聞かないと」


 姉さんは帰ってきてからは、部屋で仕事をしたり、たまに出かけている。

 今日は部屋で仕事をしている。

 お昼ご飯は、呼ばないと忘れて食べないこともあるから呼ぶようにしている。

 でも1階から呼んでもダメな時は、部屋に直接行くんだけど、毎回抱きしめた後に抱っこして1階に降りていくのはやめて欲しい。

 1階には恋伽とよくが居て恥ずかしいから。でも、嫌じゃない。


「姉さん、入るよ」

「良いわよ」


 部屋に入ると姉さんはパソコンに向かって作業をしていた。


「もうお昼?」

「これから準備する所。実は海に行こうって話を下でしてたんだけどいい?」

「海?」


 なんだか姉さんの雰囲気が変わった。それも怖い方に。

「う、うん」

「水着を着て行くのよね?」

「うん」

「紗奈の水着姿が見ず知らずの、男に見られる……」

「姉さん?」


 姉さんが俯いて、僕の水着がのあとはもう声が小さくて聞こえなくなってブツブツと喋り始めた。


 何かを決めたのか前を向くと僕の肩を掴んできてマジマジと僕を見つめてきた。


「姉さんも一緒に行くわ。水着買いに行くのも海に行くのも」

「海行ったことあるの?」

「紗奈みたいに学生の頃に友達とね。お姉ちゃんも水着新調しないと行けないわね。これから行きましょうか」

「今から?」

「ええ」

「お昼いいの?」

「お昼食べてからね」


 お昼食べてから、水着を買いに行くことが決まった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る