12話目

「「どうしてこんなことに?」」

「どうしてって、姉さんが膝をポンポンしてたから座ったらこうなった?」

「そ、そうなのね。えっとこれはどうなのかしら」

「そうだな、俺も恋伽も1番上だけどここまでスキンシップ取ったことは無いよな?」

「えっと私はないわよ?一緒にお風呂ならあるけど」

「俺もそんな感じだな。紗奈と綾音さんみたいに身を寄せ合うと言うか、くっつきはしないな」

「そうなの、姉さん?」


 僕は疑問に思って姉さんの方を向くと、姉さんはあらぬ方向に視線を彷徨わせていた。


「紗奈は……こういうこと嫌い?」


 姉さんは僕に確かめるように聞いてきた。


「嫌いじゃないよ。姉さんに甘えるの好きだから。姉さんは甘えられるの嫌?」


 僕は姉さんに聞いてみた。


「嫌いじゃないわ。紗奈と一緒に居られるんだもの」


 僕と姉さんは見つめあってそのまま僕は姉さんに甘えて、姉さんは僕を抱きしめてくれた。


「なんか、見ちゃいけないものを見てるような気がするんだが」

「いいんじゃないかしらね?」

「俺達が口を出すことじゃないか」


 そして、これが終わるのは炊飯器がご飯が炊けたよーと知らせる電子音で終わった。


 ピピッピピッピピッ


「あっ、朝ごはんの準備しないと」


 今日の朝ごはんは、なめこの味噌汁、目玉焼き、サラダだった。

 だった、というのはもう作って食べてしまったからなのだけど。


「さて、昨日の事を聞かせてちょうだい」


 僕は姉さんに促されるままに、昨日の事を話した。


「朝起きたら、ね。夜起きている時は何事も無かったのよね?」

「うん、違和感も何も無かった」

「となると、寝ている間に体の構造が変わったと言うことになるわね。今はどう?昨日となにか変わったところはない?持続的に変わっているかもしれないから」


 とりあえず立ってみた。


「身長は変わってるかな」

「うーん昨日測ったわけじゃないからな。でも変わってはないんじゃないか?」

「じゃあ声?」

「声は変わってないわね、私が聞き間違えるわけないもの」

「じゃああとは胸?」

「ちょっと俺は席外すわ」


 夜玻は逃げるようにお風呂場の方に走っていった。本当なら僕達がお風呂場に行くつもりだったんだけど。


「夜玻がお風呂場行ったらここでやるしかないじゃない。と言ってもブラがきついけどうかよね。昨日買ったんだもの」

「うーん、少しだけきつくなったかも?」

「急激に変わったので無いとしたら、普通に成長してるのね」

「そっか。姉さん僕高校どうなるの?」

「そうね、隠しながら行くのはリスクが高いから女の子として学校に通った方がいいわ。ただ、何か理由付けをしたとしても同じ学校だといじめとかある可能性があるのよね」


 いじめ。確かに急に性別が変わったとかなったらいじめられるかもしれない。それこそ気持ち悪いとか言って殴られるかもしれないし。


「いじめか、クラスの連中はそういうことするような奴らはいないが」


お風呂場から夜玻の声が聞こえてきた。もう服着てるから戻ってきていいのに。


「問題はほかのクラスね。特に男子、ちょっかいかけて来るかもしれないわね」


「安全策を獲るなら転向っていう選択もあるわ。もちろん転向した学校でいじめられる可能性もあるから、どちらがいいということは無いの。だから紗奈が決めてもいいわ」

「僕が?」

「そう。紗奈が望むほうを選んで」

「じゃあ、同じ学校がいい」


 まだ、一学期しか通ってない学校だけど皆いい人だし。何より夜玻と恋伽と一緒に居たい。


「わかったわ。細々としたことはお姉ちゃんがどうにかするから安心しなさい。2人共紗奈こと学校でお願いね」

「「はい」」

「それじゃあ、夏休みの間に細々としたことは済ませておくから、気兼ねなく夏休みをすごしなさい。ちゃんと宿題して遊ぶのよ?」


「ん。分かった」

「これから私出かけて来るから、紗奈のことお願いしてもいいかしら?」

「わかりました」

「任せてください!」

「お願いね」


 そう言って姉さんは出かけて行った。


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