第30話 黒焔の禍剣 の話

黒杉がファフニーを仲間にしてた同時刻、薄暗い広い部屋の真ん中で、疾嘉とアイリスがいた。


「良い感じなの」


そう呟いて、疾嘉は、炎の鳥かごの中で、アイリスを見つめていた。

アイリスは目を瞑りながら、集中している。その手には、紅く煌めく鮮血の大剣を持っていた。

大剣は、周りの炎に共鳴するように、紅い魔力が帯びる。

普通の武器では、魔力と共鳴するという、あり得ない現象。

そう、彼女が持っていたのは魔剣だ。

何故、持っているのか?


「私の眼には狂いにはない・・・なの」


それは、疾嘉は能力で与えたものだった。

正式には、アイリスの隠された力を見抜いたのだった。

疾嘉が生まれ持った力。その力は・・・。


『鑑識の魔眼(クレティオ・ティウム)』


職業が決まった時点で、覚えれられる技能は、確定されている。

しかし、世の中には自分で気づかないと、覚えられないスキルもある。

そんな人が、この世界に大勢いる。

アイリスも、その一人だった。


【鑑識の魔眼】は、膨大な魔力を消費する代わりに、対象の潜在能力を調べることができる。

魔力が高い職業の、大賢者である疾嘉だからこそ扱えるものだった。

シルクの潜在能力も、疾嘉がいなければ、開花されなかったのだから。


そして、アイリスが開花された能力は、魔剣だった。

その魔剣の名は【黒焔の禍剣】。


それが魔剣の名前だった。

凄まじい力を持っているが、自分が相応しい主人かどうかを選ぶ。

だが、アイリスの魔剣は、すんなり受け入れた。

魔剣のきまぐれなのか、それともアイリス自身に何か隠されているのか。

それは、疾嘉でも分からなかった。


だが、魔剣は真の力は開放はしていなかった。

その真の力を開放すべくして、疾嘉の指導の下で訓練をしている。


アイリスは大剣を振る。鮮血の大剣は周りの炎によって刃が研ぎ澄まされたように先が光る。

炎の中にいるのに、汗は一つも、掻いていなかった。

それは、魔剣の効果だろうか、それとも元から炎に対しての適性が高かったのかもしれない。


「じゃあ、もう一度やってみる・・・なの」

「はい」


私は目を閉じ集中する、目を閉じれば何かが聞こえる

水が落ちるの音だ、周りには炎が燃えているというのに、水滴の音が聞こえる。

私は水滴の音を辿る、水滴は赤い波紋を作っていた。

何処に向って歩いているのだろう?

歩くと、足から赤い波紋が広がる。

同時に落ちる水滴にぶつかり合い、波紋は広がっていく。

私はその波紋を辿った、奥へ、さらに奥へと向かう。


しばらくしてある場所に辿り着いた。アイリスの前には水滴が落ちていた。

上を向くと、そこには何かがいる。"黒い"何かがいるのだ。


「■■■■■■■■――――」


私はいつもここで失敗していた。

何故なら、"彼"の言葉を理解することができなかったのだ。

彼?何故、男だとわかるのか、姿も何も見えない巨大な"黒い者"


何故、見えないの?

なんで?


"黒い者"は訴えるように、手を伸ばす。


そこで、私は目覚める。

周りにあった炎は消えていた。

地面をみると、汗が沢山落ちていた。


「大丈夫?・・・なの」


疾嘉は近づいて、アイリスに水を渡す。

いつの間にか、喉が渇いていたのを気づく。そのまま、水を飲み干した。

冷たい水が、身体中に冷たさが巡るように伝わる。


「生き返る・・・」

「それは良かったなの」


そういうと、疾嘉は難しい顔をしたまま、アイリスの隣に座る。

しばらくして、アイリスが、落ち着いたところで、話しはじめる。


「また、失敗した・・・なの、これで10回目」

「うっ・・・はい」


その何気ない一言が、アイリスに胸に突き刺さり、アイリスは落ち込んだ。

しかし、それも気にせずに疾嘉は話し続けた。


「アイリスさん、何か掴めましたか?」


私は、疾嘉さんの返事を横に首を振った。

そのまま、体育座りで塞ぎこむ。

また、失敗した。その言葉が、頭の中でループし続けた。


「私はやはり才能はないのでしょうか?」

「えっ」


疾嘉さんは「何言ってるんだコイツ」って顔してました。

すると、疾嘉さんは眉間にしわを寄せる。

私に映る瞳に、少しずつ魔力が湧き出ているのが見える。

あれ、もしかして、地雷を踏んじゃった・・・?


「むしろ、才能の塊の人が何言ってるんですか?燃やしますよ?【過炎】」

「し、疾嘉さん?」


疾嘉さんは、鬼の形相になり、手の平から、物凄い勢いで噴き出す。

待ってください、私は本当のことを言っただけなんです。

あの、その炎を抑えてください、お願いします!待って!待ってくださああああああい!!


この後、アイリスの叫び声が、基地中の響き渡るのは言うまでもなかった。


―――――【1時間後】


「まったく、才能があるのに、自分が才能がないと思うのは嫌いなの」

「ず、ずみまぜん」


疾嘉にお仕置きされて、アイリスの服が所々焦げていた。

そして、今は正座で座らされていた。

疾嘉は、ため息をしてアイリスに質問する。


「はぁ、それで魔剣と共鳴させている時、何が見えている・・・なの?」

「・・・・実は」


アイリスの中で、何が"見えた"のかを詳しく話す。

赤い波紋に、見えない"黒い"何かが、見えている。通じない言葉。

そんな、矛盾した言葉が、疾嘉を深く考え込ませる。


「本来は、ありえないなの」

「ありえないとは?」


疾嘉は【魔器】、通称【魔の武器】を語る。

本来の【魔の武器】は、その中にある本質が必ず"見える"。

魔の武器は、その中に『者』が宿っているのだ。

アイリスを見た感じだと、共鳴はしていた、だが姿が、者が、"見えない"のはおかしいことだった。


そもそも、【魔の武器】とは何なのか?


それは10000年前に遡る、その時代は神々の時代、通称『神代』までに遡った。

ある時、大規模な戦争があったのだ。

その事を【神話大戦】と呼び、神、魔神、英神、邪神、などの、自分たちの生存を掛けた、戦いが始まっていた。

その戦いに、負けた者は欠片となって消えていく、その欠片で出来たのが、アイリスが持っている大剣のことを【魔の武器】と呼ぶ。

今では、技術が進歩して、【魔の武器】を元にした、【人工魔器】が流通している。

だが所詮、それは模倣品にすぎない。


勿論、アイリスみたいに、本物もある。

だが本物は、2000年前の【英雄戦争】によって、殆どの魔の武器は、破壊され機能しなくなった。

だから、今の時代は魔の武器は自分の中にある『スキル』よって召喚されるか、本当に"何処"かに落ちている魔の武器だった。


しかし、見つけだしても、問題があった。それは、2000年前と違って、人は退化していたからだ。

退化したことによって、魔剣を使いこなすことが難しくなり、それに伴いで誰もが、【魔の武器】を、使えるようになったのが、力の100/1に抑えたのが【人工魔器】である。


現在、それは西の技術の国『カラスカ聖都市』により普及されていて、フィルネル王国の学園に授業として使用されていた。


「さて、問題に戻るなの」

「はい」


さて、この魔剣をどうするべきなのか、このまま使っても強いのだが、今後の為に真の力を開放させたい。

考えていると、疾嘉は話す。


「本当に"見えないの"?」


そう言ったのだった。

アイリスは、何言ってるか分からなかった。

確かに見えなかったのだ。黒くて見えなかったのだ。


「本当に?」


そうだ、見えないのに"認識"はできたのだ。

私の思考が何かで矛盾している。

私は考えた、答えは実は単純な物ではないか?


たしかに、"黒い者"はいるのだ。

見えないのに認識ができる。

おかしい、本来は"見える"から"認識"しているのだ。


私は汗を拭い、水を飲む

熱くないのに何故なんだろう。


思考を走らせた、答えは既にある筈

私は目を閉じる。


その瞬間、アイリスの周りに炎が出てくる。

いきなりの事でびっくりして、疾嘉は、その場から離れる。


「私は知っている」


また、水滴の音が聞こえる。


赤い波紋も見える。


私は歩いた。


水滴が私の頭に落ちる。

次第に私の体は赤く染まって、鮮血の色になっていく。


私は見え上げる。

そこには"黒い者"がいた。

簡単なことだった、見えないんじゃなかった。

既に見えていたんだ。


私は、その『黒い者』の姿を見えて不思議と安心した。

『黒い者』を私は見つめた、この感覚も知ってる。


「■■■■■■■■――――????」


そう、私は知っている。

何故なら、私は"最初"の■■であり、■■である。

そして、この剣の■■なのだから。


上を向く、姿の見えない『黒い者』はこちらを見ている。

耳を澄ませば、心音が聞こえる。

この『黒い者』の心音だと分かる。

聞いてて、落ち着くのだ。


そして、私は手を上を向けて『黒い者』に言う。


「おいで・・・『スルト』」


『黒い者』は言う。


「―――――やっと呼んでくれたのだな――――」


声は頭に響いた、確かに聞こえた。

『スルト』は黒い何かを私を包み込む。

その黒い何かは、不安を和らげ、不思議と心地よかった。


その瞬間、『スルト』の黒い体は燃え上がった。

真紅に光ろ、熱く、気高く、誇り高き炎を燃え上がらせる。

その炎は全てを焼却させる、強い強い炎だ。

私は、その心地よい炎に包まれた。


私は、ここで目覚めたのだった


目を開けば、そこには炎に包まれた光景を見える。

あぁ、私は戻ってきたんだとようやく実感する。

私は大剣に触れて、そして私は叫んだ。


「黒の支配者よ、全てを焼却せよ!その名は『黒焔の禍剣スルト』!」


大剣は火花を散らしながら激しく燃え上がる、次第に炎は紅と黒が混ざる。

アイリスは大剣の力を開放させた。


「すごい、魔素量なの!いや違うこれは!」


魔の大剣が、周りの魔素を吸っていく。

その魔素が炎になり、魔剣を紅く輝かせた。


「綺麗・・・なの」


そう、それは疾嘉が見惚れる程に。

これが神代の魔剣、いや、それ以上の物だとわかる。

これほどの物を見たのは久しぶりに見た、この力は似た力を持つ武器持っているのは。

フヴェズルング創設者、月ノ城の刀以来だった。


自分自身も、魔の武器は持っているが、ここまでの輝きを持つのは、かなりの高貴な神に違いなかった。

アイリスは大剣を振る、大剣は周りの炎を"溶かした"。

炎はなくなり、そこに疾嘉の方へと歩く。


「よくやったなの、今回の修業は終わりなの」

「はい、疾嘉さん、ありがとうございます」


アイリスの顔はどことなくスッキリしていた。

それは何故なのか、疾嘉は分からなかった。

それも無理もない、アイリスさえ分かっていないのだから。


こうして、アイリスは新しいスキルを覚えた。



そして、場面が変わって黒杉達はというと・・・。


――――――修業を始めて、2か月後


「オラオラオラオラオラオラッ!!!!!」

「ぎゃるるー」


俺はファフニーに乗って、何をしているかというと。


「ドラゴンは卑怯だぞ!!」

「ちょっと、なんでドラゴンを仲間にしてるんですかぁ!?」

「ふぇええええええ!!」


3姉妹を追い回していた。



―――――――――


【アイリス】

職業 ■■■■■

LV80

HP90000

MP70000

SP70000


攻撃 70000

防御 17000

魔力 120000

精神 120000

素早さ 50000

器用さ 50000

運  15


スキル

最上級魔法・火、水、風、土、雷、光、闇

上級・火、水、風、土、雷、光、闇

中級・火、水、風、土、雷、光、闇

初級・火、水、風、土、雷、光、闇

古代魔法・創成

起源魔法・創成


魔剣『黒焔の禍剣スルト』


パッシブ

・覇気

・超再生EX

・自動回復EX

・■■

・火神

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