第29話 クレナVSドラゴン、食べ物の恨みは恐ろしい。の話



「ご主人!!手出しは無用です!!!」


クレナは、自分の両腕を刃に変えて、ドラゴンを睨みつける。

しかし、ドラゴンは余裕があるのか鼻を、フンッ鳴らしながら、

人差し指らしき爪で、「かかって来いよ」と言わんばかりに挑発し始める。


その姿を見て、クレナの怒りのボルテージが上がっていく。

クレナの腕の刃を更に鋭さを増したような気がする。


「この!メスドラゴンめ!!!私を誰だと思って!!」


メスだったの!?というか、よくメスだと分かったな!?

あんな、ごつい見た目してるのに・・・。


クレナはドラゴンに向って突進していく。

ドラゴンは突進していくクレナ向って、蒼い火球を口から放つ

クレナはその火球をもろともせず、腕の刃で切り裂いた。

そのまま、ドラゴンを切り刻もうとするが、ドラゴンは短い腕で巧みに刃を掴む。

ドラゴンの鱗はクレナと同じぐらいに堅いようだった。


「な!?」

「ガルルルァ!!」


ドラゴンはそのまま、クレナを地面に叩きつける。

その後に、少し跳んで、凶悪そうな黒い尻尾で、縦に一回転して、円を描くように叩きつけ追撃する。

砂煙が舞い、鼻で笑う。


「クレナ!?」


すると、尻尾に動きがあった。

そこには腕でガードをするクレナがいた。

クレナはこちらを見て話す。


「大丈夫です!このメスドラゴンは任せてください!」


なんとも、頼もしい・・・。

まあ、今の俺が戦っても勝てるかどうか分からないからな・・・というか、絶対に勝てないだろう。


ドラゴンはクレナに気づき、口に蒼い炎が漏れ出る。

そのまま、炎のブレスを吐こうしたのだが、攻撃対象は既にその場にはいなかった。

ブレスを放つ瞬間、クレナは目の前に現れて、顎に目掛けて、一回転しながらジャンプアッパーを放つ。

やべえ、その攻撃どっかで見たことあるような気がするんだが、俺は気にしないでおくことにした。


「ショー!!リュー!!ケ・・・」

「いわせねえよ!!!」


嫌な予感がして、間に入って、ツッコミを入れる。

そのアッパー綺麗に決まった。

放たれたアッパーは、強制的に口内を閉ざし、炎のブレスが暴発して、鼻から蒼い炎が出ていた。

ドラゴンは悶えるように転がる、しばらくして、少しよろめく、勢いよく立ち上がった。

余程、クレナの攻撃が聞いたのか、顎を手で痛そうに抑えてた。

というか、剣よりも、拳の方が効くんだな。


お互いに目が合い、火花を散らす。

食べ物の恨みは恐ろしい・・・。

俺はこの戦いが終わった後、クレナに食事を用意してあげようと誓った。


二人の攻防は更に激しさを増した。

ドラゴンは鋭い爪を伸ばして、攻撃をする。

しかし、クレナはその爪を切り捨てた。


「うりゃあああ!ドラゴンスープじゃああ!!」

「ガルルッ!!」


そのまま、怒りで鋭さが増した、腕の刃で攻撃する。

だが、ドラゴンの爪は異状な速度で再生して、伸ばした爪で攻撃をする。

予想外だったのか、クレナは素早く防御するが、ドラゴンはその隙を見逃さず、ゼロ距離でブレスを放つ。

その瞬間、ブレスを受けたクレナは"消えた"のだった。

ドラゴンは「また、つまらぬものを燃やしてしまった」との感じでニヤリと笑っていた。


「なーにが!またつまらぬものを燃やしてしまったよーだ!私は燃えて何かないわ!」


俺の隣にクレナが立っていた。【黒姫ノ影】を使って、移動したのだ。俺の意思で発動していないのか、魔力がいつも以上に消耗しているが分かる。あまりの消耗の激しさに、脱力感が襲って来る。クレナも発動できるんだな・・・。


というか、本当に言ってたのかよ、それに言葉も分かるのかよ。

どうやら、クレナはドラゴンの言葉も分かるようだ。


「ばーか、ばーか!カッコつけて外してやんの!うわ、恥ずかしいー!私なら穴に潜ってるわぁ」


クレナはものすごい勢いでドラゴンを煽る。

おっと、ドラゴンの額に青筋が・・・。


その瞬間、ドラゴンは今までの比べ物にならない位の咆哮を放ち、地が揺れ、葉が吹き飛ばされる。

そして、まるで電撃が走ったように、肌がピリピリし、周りの魔素が震えている。

ドラゴンの鱗が一つ一つずつ煌めくように蒼く燃える。

その姿は恐怖よりも、美しいという気持ちが優先される。


「やっと、本気出しましたわね!!」


すると、クレナの刃も燃え始める。

右腕に紅く燃える炎、左腕は蒼く燃える炎。そして、髪の毛は先端から、炎が混じることなく、蒼と紅が交差する。

二つの色は真逆な色なのだか、不思議とずっと見つめていと思えるほどに。

そして・・・。


「っくっくっく・・・私のエタナール・フレイム・ソードを食らうがいいわ!」


クレナは決め顔で言うのだった。

だっさ!!なんだその、斬ったら死ぬ見たいな名前は!?

そのネーミングセンスはハグレの譲りなのか?

おい、ドラゴン!何それカッコいいって顔をするな!


最初に動き出したのは、ドラゴンだった。先ほどの比べ物にならない位の速さで突進をする。

クレナは刃を構えて防御をする、その衝撃は凄まじく、後ろにある岩を砕きながらクレナに突進し続ける。


「ギャオオオオオ!!」

「この!!メスドラゴン!!!」


クレナは、腕を燃やしながら腕の刃を解除する。ドラゴンの頭を素手で掴んで、そのまま地面に向けて叩きつける。

突進の勢いもあって、地面をガリガリと頭から削って、そのまま転がって岩盤に激突する。

自分の攻撃をそのまま受けたんだ、ドラゴンと言えども只じゃ済まないだろう。


このままじゃ、地殻変動しそうだ。それに、あの姉妹が音のつられて、来てしまうかもしれない。

何とかする方法はないかを考える。黒杉の腹がなる。


「あー・・・そういや、あいつら、ご飯まだなんだっけか」


そして、思いつき、俺はその方法を実行する。

その後、二人の戦闘は3時間が立つ。


「やるわね!」

「ガフゥ!」

「なに?貴方もね?ふふふ・・なら、これで終わりにしましょう!」


そして、二人は互いに自分の最大の奥義を放とうした。

すると、鉄で同士で叩く音が聞こえた。

振り向くと、黒杉がフライパンとお玉で叩いてた。


「おーい、昼ご飯にするぞ。」


そこには、白いルーにお肉とお野菜など色々入った物、シチューだ。

お互いに、お腹を鳴らし、互いに見つめあった後に、目を輝かせてこちらに向って来る。


「こら!ちゃんと手を洗いなさい!」


この二人?はシュンとして手を洗いに行く。

どうやら、戦いは収まったようだ。

二人?は水辺で手を洗って、こちらに戻ってきた。


「ごはん!ごはん!」

「がるる!がるる!」


お前ら、本当は仲がいいのでは?それとも、戦いの中で友情が芽生えたのか?

二人は、リズム良く歌うように、ごはんを連呼した。

しかし、ドラゴンは待てないのか、鍋ごと食らおうしたが、注意をする。


「こら!そんなことしたら食べさせないよ!」


ドラゴンはビクッとなり落ち込む

クレナはその姿を見てケラケラと笑う。


「やーい!怒られてやんの!!」

「こら、クレナも煽るんじゃない、ごはん抜きにするよ!!」

「そ、そんなぁ!」


流石に、クレナもやりすぎな所もあった。

俺は反省するように注意する。


「しかしなぁ」


俺はドラゴンは俺の方を見て、どうしたの?って感じで見つめ返してくる。


「いや、お前でかいから、お前の胃を満たすような量を作るのは大変なんだよな。せめて、人間ぐらい小さければなぁ」


と呟くと、ドラゴンは何か納得するかのように頷いた。

すると、ドラゴンが光り出し、巨大なドラゴンの体がみるみる縮む

光が止むとそこには、少女が立っていた、青髪と髪の先はメラメラと燃えていた、

耳っぽい髪の毛はピコピコさせてた。


「ご主人・・・!ごはんが食べたいのだ・・・!」


第一声はそれかよ!

というか、ご主人になった覚えはないぞ!


「メスドラゴン!お前は人間になれたのか!!」

「メスドラゴンっていうな!!」


少女は、クレナの名前の呼び方に怒っていた。

俺はため息をしてはなす。


「じゃぁ、お前の名前はなんていうんだ。」

「え、えっとー・・・」


少女は戸惑いながら、口を開く。


「名前はないのだ・・・」


成る程、名前なかったのか

俺はしばらく考えて、思いついたのが。


「じゃあ、ファフニーはどうだ?」


北米神話の伝説の竜からとった名前だ。

先ほどの戦いを見た感じだと、それに相応しい名前を与えたかった。


「ファフニー・・・ファフニー!!えへへ」


ファフニーと名付けた少女は、嬉しそうにしてた。

ファフニーは鼻歌を歌い始めた、嬉しかったのだろうか?


「今日からファフニーは主人の仲間になる!」

「まじかよ・・・」


そう言って少女は笑顔でシチューを食べ始める。

かくして、黒杉は思いがけないところで仲間にすることができた。

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