第10話 幸福爆弾



 戦闘機からB国に爆弾を投下した。


 しかし爆弾と言っても爆発物はそれ程入っているわけではない。爆発物はとある薬物を散布する為に入っているだけだ。

 その薬物とは「幸福薬」だ。

 幸福薬を吸い込むとその人間は一生幸福感に包まれることになる。幸福感に包まれ攻撃的な意思を持たなくなる。幸福爆弾を落とし続けその国の人間を幸福にし続ければすなわち戦争の勝利なのである。

 幸福爆弾を落とされた国の人間は抵抗することなくわが国の支配下に置くことができる。そんな恐ろしい爆弾だ。

 幸福薬を吸引した人間は我が国の強制収容所で強制労働させられている。どんな辛い労働でもその幸福人間はニコニコと労働している。怪我をしようが病気になろうがいつも笑顔だ。一回その様子を見たことがあるがぞっとする光景だっだ。


 今回の爆撃でB国の半分以上の地域で幸福爆弾を投下したことになる。これで戦争は終わったも同然だ。我々は戦争に勝利したのである。



 「今回の爆撃でもうこの戦争は終わりですね」パイロットの俺は上官にそう話しかけた。


「そうだなこの戦争はもう終わりだな。次はC国との戦争が始まることになる」


「……また始まるんですか」


「そうだ。やらなきゃやられるだけだからな」


 果たして我々は戦争に勝利したのだろうか。









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