第7話 100倍コンタクト




「よし、やっと完成したぞ」博士は一つのコンタクトケースを掲げていた。


「博士、それは一体何ですか?」


「これは『100倍コンタクト』というものだ。目に装着すれば視力が100倍になる」


「おおー、それはすごいですね」


「よし、助手よ。これを着けるのじゃ」博士はコンタクトケースを助手の方へ向ける。


「私は視力がいいので友人のニシダに着けさしますね」助手はケースを受け取る。


「おお、そうか」





「ニシダ。お前にプレゼントを持って来たぞ」助手は友人の家にやって来た。


「えっ、プレゼントだって? お前はほんといい奴だなあ」


「何言ってんだ俺たちは友達だろう。これはな、視力が100倍になるコンタクトレンズだ。つけたらまた感想を教えてくれ」





♦  ♦  ♦






「博士、大変です」助手が研究所に駆け込んできた。


「なんじゃ騒々しい」



「100倍コンタクトを着けたニシダが救急車で病院に運ばれました」


「なんじゃと!」


「それが視力は100倍になったのですが、目の渇きも100倍になって眼球が縮小してしまったみたいです」


「……なるほど目の渇きか。それは盲点じゃったな」

そう言いながら博士は、自分の眼鏡の汚れを布で拭いた。









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