美咲の死にたい理由

第4幕美咲の死にたい理由

美咲「それじゃあ私が死にたい理由を言うわね。実は私は高校でイジメを受けているの」

元助「イジメか。それだけで死にたくなるのか?」

美咲「私の受けているイジメの度合いは軽いものじゃないのよ。とってもつらくて、だから私は死にたいと希死念慮に包まれて、毎日自殺寸前まで追いやられているの」

元助「そうか分かったよ。でも美咲はどちらかと言えば美人じゃないか。イジメを受ける原因がパっと見だと、見当たらないが高校生なりに苦労しているのだな」

美咲「そうよ。本当に苦労しているんだから」

元助(少し同情すると調子乗る。若いな)

美咲「それで見て。私が前まで持っていたSNSアカウントを。携帯電話をイジメて来る学年のヤツらに、イジメを受けている時にパクられてパスワードを変えられて乗っ取られたのよ。だから私のことを好き勝手SNSに投稿するの。私はSNSでも居場所は無いのよ。それに無理やり私の制服を脱がしたりして、その私の裸の姿を写真に撮って、それもSNSに投稿したり他のインターネットのサイト上にばら撒くの。私は社会的にも生きて行けないほど恥部を晒されたわ。今も次第に野次馬が集まって来ている。もう私達は晒し者よ。とりあえず私のSNSの現状を見てみなさい」

美咲は元助に自分の携帯電話のSNSの画面を見せた。

元助「これは酷いな…。死にたくなるのも分かる。しかしどうして美咲がイジメの対象になったんだ?」

美咲「私はそれなりに勉強が出来て成績は、いい方なのよ。そして元助も言うように私は美人過ぎたのかも知れないわね。つまり嫉妬よ。嫉妬されて同じ女子からイジメを受けている」

元助「相談出来る相手とかいないのか?」

美咲「いないわよ。学校の人が滅多に来ないようなところで脱がされているんだから。その為にイジメて来るヤツら以外私がイジメを受けていることは、きっと誰も知らないわ」

元助「それじゃあ家族や教師には相談出来ないのか?」

美咲「教師に言ってもきっとなにか対処してくれるとは限らないわ」

元助「それは分からない。少し教師や人を信頼した方がいい。それに大切な家族がいるだろうに」

美咲「家族は私にとって敵よ。特に父親はね。母親はまだ味方だけど生活する時間帯が違いがあってなかなか話す機会が無いのよ。だから家族なんて大切だなんて思ったこと無いわ」

元助「どうして父親は敵なんだ?」

美咲「母親は夜勤の仕事をしているの。それで父親は昼の仕事で18時ぐらいには確か帰って来るのよ。そうして母親と入れ替わりで家にいるの。私は帰り道に渋谷にあるビルから飛び降り自殺をする為にしばらくの間寄るのよ。でも毎日死ねずに終わって晩ご飯を作る為にスーパーで買い物して、帰って料理を作って父親と食べる。だけどお風呂に私達2人が入って寝る頃に父親からセックスを求められるの。やめてって言ってもやめてくれない。母親の休日以外は毎晩父親から力づくで抑えられて犯さられるの。だから父親は敵なのよ。あんな家(ばしょ)本当は帰りたくもない。父親の存在もまた、私が死にたい理由の一つよ」

元助「なるほど。ここまで来ると可哀想だな。どこにも安らぎの場が無いからな…。でもこれこそ児童相談所や学校の教師や味方と言う母親をしっかり味方につけるべきだろうな」

美咲「いいの。どうせ死ぬから」

元助「良くない。人を信頼するんだ。そして生きろ」

美咲「ハッ笑える。人を殺そうとした人間から生きろ、なんて言葉が出て来るのね。でも確かに母親とは仲良くいつも話しをするわ。だけどその時は父親も同じく家には居て、母親にはどうしたって相談するのにも勇気がいるのよ。児童相談所には行く気は無いわ。だって母親との関係を壊したくないから」

元助「そうか分かった。それに確かに人を殺そうとした俺が生きろなんて言う資格無いよな。とにかく美咲の死にたい理由が分かったよ。今度は俺の通り魔を行った理由の番だな」

美咲「言い終えたら私を殺して」

元助「美咲を殺すかどうかは俺が決めることだ」

美咲「いいえ私はもうこのスクランブル交差点で殺されて死ぬの」

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