第15話 『悩み事相談』 その2

 『じつは、あたくし・・・・・』


 彼女………たぶん幽霊さん👻が、ようやく語り始めたのです。


 『とある方から、ここで悩みごと相談していただける、と聞きましたの。』


 『どなたですか。そのような情報を流しているのは。』


 『あの、ある、女神様です。『不思議が池』というお池の女神様で、なんでも、ここのおうちのかたと、よくお話しているらしいのですが、そのなかで、ここの時計さんが、悩みをよく聞いてくださるとか・・・』


 『はあ? そっりゃあ、もしかして、他の時計さんでは? ここのご主人は『ラジオさん』と『時計さん』が大好きですよ。ほらほら、そこら中、ラジオとさんと時計さんだらけでしょう。ね。』


 『でもお、人相を聞くと、あなたがそっくりで・・・・。』


 『はあ・・・・?』


 ぼくは、ふっと、警戒しました。


 もしかして、ご主人には超能力があるのか?


 ぼくの正体を見破っていたのか?




 そこで、不意に、電灯が、また、灯りました。


 またまた、ご主人さまが、ふらふらと、乱入してきたのです!


 なんかつまみ食いしたらしく、お口の周りにソースが付いています。


 まあ、一瞬でも、怪しいと思ったぼくが、ばかでした。


 こんなのが、ぼくの正体を見抜けるわけがないですよね。


 でも、その、なんだかんだ池の女神様と言うのは、気になるな。


 ご主人は、山と積みあがった、『おもちゃ』の詰まったダンボール箱(空のも、いぱいありますが・・・)から、何かを取り出そうとしているらしいです。


 しかし、山の中の途中にあるので、上手くゆきません。


 これは、実は、あすの昼間、こうした事態になる様に、ぼくは、仕組んでいたのです。


 まあ、いいか。


 どうせ、そうなるんだから。


 幽霊さんは、こんどはカーテンの後ろ側に潜んでいます。


 どうせ、ご主人には、見えないんですけどもね。



『どっか~~~~~ん! ずどどどど!』


 やったあ~~~~~。


 予定通りです。


 ご主人の頭の上から、多数のダンボール箱や、おもちゃが降りそそぎました。


「あひゃあ~~~~~~。」


 ご主人は頭を抱えました。


 ふん、いい気味だ。


 ちゃんと、おかたずけしないから、こういう目にあうのだ。


 ぼくは、『同盟』の仲間のいくつかさんには、すでに、この計画を依頼していたのだ。

 

 この、山と積み重なった箱さんや、おもちゃさんに、重心をちょっとずらすように頼んであったのです。


 『そうしたら、少し楽になるからね・・・』・・・・・と。


 そうとも知らないご主人は、また崩れた石垣を積み上げるように、空いたところに、崩れた箱を、一生懸命押し込もうとしております。


 むふふふ。


 『どうっかっあ~~~~~~~~ん。ぐちゃららら~~~!』


 今度は、左側の壁が崩れました。


 「あぎゃ~~~~~。くっそー。みんなで、いじめるんだぁ!」


 ご主人が叫びました。


 「そうなんだ、そうなんだ、やっぱりそうなんだ。やっぱ、この世のみんなが、ぼくを、いじめるんだあ~~、みんな、ぐるなんだあ~~~!!」


 幼稚園生みたいなことを言いながら、涙目のご主人は、また崩れた箱を積み上げ始めます。


『ぐあっしゃ~~~~~~んん!!!』


 あああ、またやった。


 こうなったら、賽の河原みたいな感じだなあ。


 ちょっと、可哀そうかも。


 いやいや、怨みを晴らすには、この程度ではだめだ。


 これは、『序奏』にすぎないのだ。


 ひっひひひひひひひひ。




 『ん?・・・あららら、きみ、なに、やってるのお?』


 ふと見れば、巨大パンダちゃんが、後ろ足で、どこかを蹴っ飛ばしています。


 『あああ、そこだめ、そこ、蹴ると、ああああ。うぎゃあああ~~~~~~!!!』


 『どどどどどどお~~~~~~~~!!』


 ぼくの頭の上の棚が崩壊し、あらゆるものが降りそそいできたのです。


 『ひぇ~~~~~~~、壊れるう~~~~~~!! たしけて~~~~!!』


 しかし、ご主人に、ぼくの叫びは聞こえず、・・・・・もう、放心状態のご主人は、まったく幽霊さんそのもののように、つまあしだって、この荒れ果てた現場を後にし、寝室にこもってしまいました。


 おもちゃの山に埋もれたぼくを、そっと拾い上げたのは、かの、幽霊さんでした。



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