第12話 『呪いの神さま』 その1
そういうわけで、ぼくは、新しい呪いの企画を考えている日々でした。
ご主人は、病院でお薬をいただいて、ようやく熱は下がったようです。
そんな、ある晩のこと。
深夜、ぼくの前に、ぼわ~っと、何かが中空に、浮かびあがったのです。
それはやがて、大変高貴な『女神様』のお姿になったのです。
さらに、そのお隣に、『男神様』も現れました。
ぼくも、長年『呪いの時計さん』をやっているくらいですから、こうした『呪い神』さまがいらっしゃることは、分かっておりました。
しかし、このように、じっつにはっきりとしたお姿で、しかも、二体も出現されるというのは、聞いたことがありません。
『そなたは、なにをしておるのじゃ?』
美しい『女神様』がお尋ねになりました。
「なにを・・・といいますと、ぼくは時計さんですから、時を測っております。」
『そなた、並の時計さん、ではあるまいに。』
「はあ・・・さすがお見通しですか。ええ、ぼくは『呪いの時計さん』です。」
『じゃから、なにをしておるかと、尋ねておる。』
「いやあ、と、いわれましても・・・・」
ぼくは、少し答えあぐねたのです。
『まてまて、こやつは、『時計』であるから、よくわかっておらぬのだ。』
『男神様』が、おっしゃいます。
『ならば、捕捉いたそう。そなたがちょっかいを出して居るこの男は、我らの
管轄じゃ。手を引いてもらいたい。』
「管轄?ですか。ぼくは、難しい言葉は苦手であります・・・・」
いやいや、もちろん分かってます。
『呪い神様』は、多くの人間の呪いの心が集まり、形成される神様です。
しかも、このような、明確な姿で、しかも、『男女神様』そろって現れるということは、こりゃあ、ご主人、相当、誰かさんたちから、具体的に怨まれてるという事実を示しているのです。
「ぼくは、多くのみじめな人たちの怨みを背負ってやっているのです。簡単には手を引くことはできないです。」
『むむむ。そなた、時計の分際で、『神』に抗おうと言うのか?』
大変に、険悪な雰囲気が、お部屋中に、いえ、このお家中に充満していったのです。
これは、恐ろしい展開になりました。
ひっひひひひひひひ~~!
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