第11話 『同盟』 その6

 ある日、ご主人は、どこかから、体長1メートルには達しようという、巨大ぱんだちゃんのぬいぐるみを調達してきました。


 しかし、ぼくは『呪いの時計さん』ですからね。


 この子が、大きな怨みをしょってるらしいことは、すぐに見抜きました。


 しかし、こまったことに、身体はでかいけど、あまり話すのは得意ではないらしい。


 詳しい事情がわかりません。


 でも、まあ、ぼくは、我が『同盟』に加わるように説得しました。


 すると、意外にも、すぐに『いいよ。』という返事。


 むふふふふ。有力な仲間が出来ました。


 体がでかいと、怨みの力も強いのです。


 しかも、好都合なことに、ご主人は、ぼくのすぐ横に、おいてくれたのです。

 

 そこで、ぼくは、この子の体に、とある、秘密の『細菌』を撒きました。


 放浪生活をしていた時代に、体内に取り込んでいたのだ!


 ぬいぐるみさんが大好きなご主人のこと。


 絶対、いいこいいこ、しにくるに決まってます。


 そうして、予想通りになったのです。


 むふふふふ。


 ご主人は、熱を出して寝込みました。


 また、ストレスが溜まる事だろう。


 そうとも知らぬ、お人好しのご主人は、身体がつらいのに、この子のでかい前足に、えのでんの小さなぬいぐるみを持たせてやったりして遊んでいました。


 ところが、それから数日経った真夜中。


 ぼくは、次の手をこの子と相談しようとしたのです。


 さらに強力な細菌を、ご主人に与えるのだ!


 ところが、なんと、予想外のことがおこったのです。


 『おわ~~~! なにをするう!』


 この、巨大ぱんだちゃんが、後ろ足で立ち上がり、ぼくにのしかかってきたのです。


 『ぎぇー! ななな、なんだあ〰️…‼️』


 立ち上がって見れば、ますます、でかい!


 そのまま、のしかかられたぼくは、息も出来なくなりました。 

 

 『ぎぇー、わかた、わかた。やめました。この呪い。やめます。ひい…………つぶれる。たしけて! やめます。やめます。やめますからあ!』


 それを聞いて、巨大ぱんだちゃんは、小さな電車をだっこしたまま、大人しく寝てしまいました。


 『なんだ、結局、これが気に入っただけか。くそお、しっかりと、たぶらかされたかあ! さすがご主人。あなどってはならぬな!』



  ************ 🐼 🐼 🐼 ************ 







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る