第8話 『同盟』その3

 ところで、ぼくの立ち上げた『同盟』には参加せず、ひとりご主人様に恨み、いや、怒りをぶっつけていらっしゃる、『ある』存在がありました。


 それは、お正月の『お飾りさま』です。


 もう、お正月が過ぎて、半年近く経とうと言うのに、ご主人様は、ずっとほったらかしっぱなしだったのです。


 『お飾りさま』は、いいかげんにきちっと処分してほしかったのですが、まったく、言葉どおりの、ほったらかしでした。


 むかしは、町内でまとめて、天にお帰りいただく行事もあったのですが、今はそうしたことはなく、個人的な行為にまかさてれいます。


 昨年までは、お正月明けのごみ収集日に出していたようですが、今年はなぜか、ほったらかしです。


 大変に、その扱いに苦労したお母様も亡くなり、仕事もやめてしまって、気力がまったく無くなったご主人様の事です。

 

 ここ5年ほど、お母様が亡くなって以来、家じゅう、『ペットボトルさん』が占領しており、『ペットボトル屋敷』になっていました。


 しかし、ここに至って、自分の居場所がなくなて来て、さすがにどうにもならなくなったらしく、ようやく『中性子星』のように重たい腰を持ち上げ、少しずつかたずけています。


 しかも、もう、我慢の限界となったのか、『お飾りさま』が、ご主人に罰を下し初めていました。


 ご主人は、最近路上で、2回、大転倒をしています。


 『何かに足を取られたんだあ~』、とか、言っておりましたが。


 これは『お飾りまさ』の、祟りだったのです。


 ぼくとしては、ぼくがするべきことを、『お飾りさま』に取られてしまっては困るので、なんとか、『同盟』に参加していただけますように、お願いしています。


 しかし、さすがは歴史と伝統と高い権威のある方なので、見向きもしていただけません。


 こうなたら、ご主人様に、早く気が付いてもらって、適切に天に帰っていただくことこそが、望ましいのだろう、と、みんなで話し合いをいたしました。


 それ以来、ご主人様の周囲に、つねに怪しい視線を張り廻らせるようにしたのです。


 ご主人様は、稀に見る『鈍感』な人で、おまけに、『宇宙人』やら『鬼さん』とか『三途の川』とか、そうした、超常現象を描いているくせに、実は『宇宙人』が地球に来ているなんて、またく信じていない人です。


 でも、臆病者です。

 

 きっと、この闇からご主人様を見つめる『眼』には、さすがに気が付くだろうと思いました。


 ぎひゃひゃひゃひゃ!!




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