第4話 ソーセージですが何か

思えば、俺と母さんはこれまでずっと二人三脚だった。

だから他人に割り込まれるのが嫌で。

毛嫌いしている気がするが仕方が無いんだ、そう思うのは。

今までが今までだったから。


佳菜子ともあの状態だしな。

全てを受け付けれない気がした。

その為、俺は考えを纏めたくて篭って目の前の窓ガラスを見る。


「.....うぉ!?」


コンコンと目の前の窓を外からノックするバカタレが居る。

苦しそうな顔を浮かべながら、だ。

嘘だろ!下は直で一階だぞ!?

何やってんだこの馬鹿!!!


「開けて下さい!師匠!お、落ちちゃうです!」


「バッカ野郎!?」


窓を開けて直ぐに室内に引き込む。

そして冷や汗をかきながらゼエゼエ言いつつ佳菜子に聞いた。

このクソッタレめ!


「己は何をやっているんだ!俺を一人にしろよ!」


「だって.....部屋に引き篭もって師匠にもう会えないかと思ったんだもんです.....」


ウルウル目を潤ませながら。

号泣する、佳菜子。

それも、うわーん!と、子供の様にだ。

馬鹿かコイツは!マジのアホだ!


「お前はアホか!部屋に何時迄も篭れるか!待っとけよそこは!」


「だっで.....だっで.....でず!」


「.....ったく.....」


佳菜子は涙を流す。

その佳菜子にティッシュを渡した。

そして床の座布団に座る。

チーン!と鼻水を吹いて、そして俺に向いてくる佳菜子。


ニコニコしていた。

そして赤面している。


「.....ここがお師匠様のお部屋ですか.....」


「.....あのな、いつまでお師匠様って言うつもりだこの野郎。俺はそういう系は辞めたの!分かる!?」


「お、オッスです!お師匠様!」


聞けよ。

コイツ全然話を聞いてねぇ。

俺は頭に手を添えながら、座布団を放り投げる。

そして座らせた。


「.....あ、有難う御座いますです。お師匠様」


「.....もう良いや.....お前、何でそんなに俺の事を心配する」


「.....お師匠様も同じ目をしていたからです」


「誰とだ」


おか.....と言い掛けて。

自らに話を変える、佳菜子。


もう二度と会えない気がしたからです。

その様にご丁寧に解説する、佳菜子。

俺は同じ目と言われて複雑な思いを抱えた。


「.....なぁ、佳菜子.....って!何やってんだテメェ!!」


「ラノベがいっぱいです!!!凄いです!私の部屋よりいっぱい有る!!!」


ラノベを置いて有る棚を目を輝かせて模索する、佳菜子。

俺は盛大に溜息を吐いた。

この馬鹿野郎.....。


「お前、人の話を聞けよ.....」


「す、すいません!つい目を奪われてしまってです!」


慌てて手に取ったラノベを直そうと。

素早く直した、次の瞬間。

床に置いていた積もったラノベに佳菜子のスカートが引っ掛かり。

そして思いっきり捲れた。


「.....」


「.....キャ.....」


白のショーツだった。

つまり、トイレ時に遭遇した時と同じショーツ。

当たり前だけど!

俺は鼻血を出した。


「えっちです!すけべです!見ないでぇ!」


「い、いや、見てねぇよ!!!」


「嘘吐きは閻魔様に舌を切られるです!」


目をグルグル回しながら俺をポカポカ殴る。

その瞬間、佳菜子が床で思いっきり滑る。

そして俺に覆い被さる様になった。


「.....ヒェ!?」


「.....!?」


みるみる赤面していく佳菜子。

そのまま、思いっきり殴られた。

理不尽だろこれ!

何の為にこの部屋に入って来たのコイツ!



「.....俺が同じ目をしているってのはどういうこった」


崩れたラノベの山を片しながら。

同じく俺のラノベを片す、佳菜子に聞く。

佳菜子は複雑な顔付きを見せた。


「.....私のカンです。でも、私のカンって本当によく当たるんです」


「.....そうか。お前って母親どうしたんだ」


「自殺です」


俺は見開いた。

そしてラノベの山を倒す。

何だって?

俺は直ぐに片している佳菜子を見た。


「.....自殺.....」


「.....はいです。あの日は同じ日だったのに、です。私のお母さんは.....過労で自殺したとされています」


「.....されたとされている?」


「.....ビルから飛び降りたんです。だから身体が.....バラバラで.....検死のしようが無くてです」


そんな悲惨な人生をこいつは歩んでいるのか。

俺はその様に思いながら、見ると。

エッチなアニメのパッケージ。

つまり、エロゲを見ながら赤面でワナワナ震えていた。


「.....こ、この子は.....何をしているんです?」


「.....見りゃ分かるだろ。男のソーセージを食べているんだ」


「.....エッチ馬鹿変態です!!!!!」


拳が飛んで来た。

またぶん殴られて。

俺は床にぶっ倒れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る