第3話
誰かが追いかけてきて
足音はうるさく鼓膜をうち
赤色の景色から
言葉だけが消えていく
隠し持った注射器と
丸めたパケを抱えて
何度も振り返りながら
緑の影を探す
肩を濡らす雨に気づいても
足音は消えず
監視の目は厳しく
隠れ場所を探して
青の入口に飛び込む
残った結晶を注射器につめ
急いで
左腕の静脈管に突き刺し
黄色に染まる景色のなか
注射器とパケと
血を拭いたティッシュを
下水に流す
乱れた鼓動に
やっと生を感じて
何事もないように
白い世間に飛び出していく
走りたいのを我慢して
追われる景色を消化していく
俺の家はどっちだ
つま先が呟き
茶色の電柱が笑う
おぞましくも可愛らしい
視線という視線から
放たれる悪意に
打ちのめされ
内ポケットのナイフを
握りしめる
次の角を曲がったところに
居る男は オレの敵だ
ヤラれる前にヤレ
色をなくした景色
重い足
オレの家はどっちだ
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