第162話第百十七段 友とするにわろき者
(原文)
友とするにわろき者、七つあり。
一つには、高くやんごとなき人。二つには、若き人。三つには、病なく身強き人。四つには、酒を好む人。五つには、猛く勇める兵。六つには、虚言する人。七つには、欲深き人。
よき友三つあり。一つには、物くるる友。二つには、医者。三つには、智慧ある友。
(舞夢訳)
友人とするのに問題がある者が、七つある。
第一には高貴な人。第二は若い人。第三は病気がなく健康な人。
第四は酒好きな人。第五は勇猛な武士。第六は嘘をつく人。第七は、欲が深い人。
良い友は、三つある。
第一に物をくれる人。第二に医者。第三に知恵のある友
さて、確かに自分より高貴な人は、友としての付き合いが難しい。
若い人の場合も、感性が合わない場合があるので、やはり難しい。
病気知らずで健康な人も、元気すぎて一緒に歩くのは難しい、「元気な体育会系」で、弱い人への同情に欠ける場合が多い。
酒好きの人は、程度の問題かもしれないけれど、酒癖が悪いと閉口してしまう。
勇猛な武士については、兼好氏が「武勇の道は人間の道に遠く、鳥や獣に近いふるまい」と考えていたため。
嘘つきは、確かに信頼できないし、友人とする気にはならない。
欲張りも、一緒にいると、疲れる。
友人としたい「物をくれる人」は、確かに便利、お仕着せがましくなければの条件はつくかもしれない。
医師も、当然、銭金でなくて親身に相談に応じてくれれば、まことに良い友。
知恵のある人も、理性に基づいた話ができるので、良い友だと思う。
なかなか、納得できることの多い段である。
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