第20話 日露戦争 組織編制
日露戦争を前にして源太郎が次長を務める陸軍参謀本部は4つの「軍」を組織した。(鴨緑江軍だけは奉天会戦前に設定)
参謀本部長は薩摩藩出身の大山巌であった。大山は西郷隆盛の従兄弟にあたりその風貌や周りに安心感を与えるおおらかな雰囲気は源太郎をはじめとするスタッフ全員にやる気を与えた。
また一度信頼して仕事を任せたならば細かいことに口出ししないという性格が源太郎の能力を最大限にいかせられた理由でもある。
これが細かい性格であった山県有朋なら同じ長州の同郷出身とはいえ現太郎の自由度が低かったことであろう。
ここで司令部で源太郎を補佐したスタッフを紹介する。
井口省吾少将(静岡)
福島安正少将(長野)
松川敏胤大佐(宮城)
田中義一少佐(長州)
主にこの4人が源太郎の補佐役となり情報収集や作戦の立案を援助した。特にシベリアをソリによって単独横断したことで有名な福島安正少将の意見は源太郎にとって貴重なものとなった。
続いて源太郎の作戦に基づいて現場で戦う5つの「軍」と軍司令官およびスタッフを紹介する。
第一軍 指令官 黒木為禎大将(薩摩) 参謀長 藤井茂太(兵庫)
第二軍 指令官 奥 保鞏大将(小倉) 参謀長 落合豊三郎少将(松江)
第三軍 指令官 乃木希典大将(長州) 参謀長 伊地知幸助(薩摩)
第四軍 指令官 野津道貫大将(薩摩) 参謀長 上原勇作少将(日向)
1905年1月12日設立
鴨緑江軍 指令官 川村景明大将(薩摩) 参謀長 内山小二郎少将(鳥取)
薩長軍閥の中で唯一第2軍の奥 保鞏のみが旧幕府軍上がりであった。
いかに彼の戦上手が評価されたかがわかる。
この編成の中で乃木の指揮する第三軍のみが旅順攻略に回され、その他の軍は満州平原を南下してくるロシア陸軍との戦闘を行う役割を与えられた。
源太郎の頭の中のイメージではまず遼東半島の中ごろに上陸して第3軍だけは左に侵攻し旅順攻略、その他は右に侵攻して南山を落とし遼陽を落とし沙河を落とした後に奉天でに向かうというものであった。
そして最後の奉天決戦までには旅順を落とした第3軍をも合流して最大の戦力でクロパとキンと戦い勝利するという構想を持っていた。
またロシア軍だけでなく源太郎は時間との戦いも考えなくてはいけなかった。
なぜならばシベリア鉄道が開通してなおかつ複線化されてしまえば本国からの増援部隊が波のように押し寄せてくるので早い段階で引き分け以上の結果を出さねばならなかったのである。
また引き際を見誤らないように終戦の工作をアメリカに託すつもりで当時のアメリカ大統領セオドア・ルーズベルトとハーバード大学で同期であった金子堅太郎にその仲介役を買ってもらうように命じての出征であった。
ただ聡明な源太郎であったが彼をして計画を狂わせる要因が発生した。
10年前の日清戦争時に乃木希典が一日で落とした旅順要塞をあまりにも簡単に考えすぎていたことである。
このことは現太郎のみならずほとんどの幕僚たちも旅順を軽く落とせると考えていたため彼のみの責任ではない。
緒戦の戦場になる予定の遼東半島を人間の腕に例えて各軍の攻撃目標と上陸地点を記す。
第1軍が韓国に上陸して鴨緑江を渡り半島の脇に相当する九連城を落とす。
第2軍は手のひらに当たる塩大墺に上陸。
第4軍は肘に当たる大弧山に上陸。
第3軍は指先にあたる大連に上陸。
このような戦略の元で陸軍の日露戦争は開戦を迎えることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます