第23話:和美の結婚式

 結婚指輪は、まだ買えないから、少し待って下さいと言うと、父が、それは仕方ないと言った。最後に、父が、君の今の信条は、何かと聞くと、真心ですと答えた。結婚してからの信条は、と質問すると、ファミリーを大切にしますと答えたので、塚田守が、思わず、カルロスの肩を叩いて、頼んだぞと、力いっぱい握手すると、和美さんとカルロスの目に、涙が浮かんだ。そして、父が、正式に、結婚を認めると、塚田家の6人の前で、宣言した。


 その後、12月20日に結婚式をすると招待状を送ってきた。結婚式当日、彼のカフェ・レストランへ行くと、精一杯の正装で、和美とカルロスが現れ、招待客25名、彼の兄弟3人と、御両親、親戚の方7人と、店の常連客10人と、塚田家のファミリー5人がそろっていた。



 彼の兄弟が、ウエディングケーキを大きなテーブルの上に置き、和美とカルロスが、入刀して、招待客に分けてくれ、披露宴が始まり、兄弟達が、多くの料理をテーブルに、手際よく運んで、ポートワインで、乾杯した後、常連客の2人の女性が、お祝いの歌を歌ってくれた。その後、ファドの歌を聞かせてくれ、楽しい、結婚式が続き、夜10時に終了して、塚田ファミリーは、家に戻ってきた。2013年1月1日に、和美とカルロスが、新年の挨拶にやってきて、一緒に、昼食をとり、今晩から、店を開けると話していた。


 塚田家の家族は、避寒旅行を計画し、1月3日、リスボン空港から、スペインの

マラガへ飛んだ。リスボンも昼間が15度を超え、暖かいが、マラガは、更に暖かいというか、昼間の日向は、日射しがきつくて、日焼けしそうになる。真冬でも、20度になりヨーロッパの富裕層が、避寒旅行に来るそうだ。


 市内のエンカルナシオン大聖堂は、大きく、広く、荘厳な巨大な空間が広がり、まさに厳か、そのものだった。天井の高さは40m以上あり、装飾や、天使の像などが素晴らしく、彫刻や絵画がも多く、世界屈指の大聖堂だった。

マラガに一泊して、翌日は、イギリス領のジブラルタル空港へ飛んだ。


 ジブラルタルは、御存知の通り、アフリカに最も近い、ヨーロッパで、切り立った岩山、ターリクの山。711年にこの地に侵入したアラブの首長ターリク・イブン・ザイードが「ターリクの山」と名付け、それがなまってジブラルタルになったのだとか言われている。英語では「ザ・ロック」と呼ばれ、ジブラルタルの代名詞として親しまれている。


 ザ・ロックの山頂からは、天気の良い日にはジブラルタル海峡の向こうにアフリカ大陸を望む絶景を楽しむことができる様だ。標高426メートルへの山頂へはロープウェーが便利。展望台やその周辺には、もはやザ・ロックの主となった猿たちが、わがもの顔で、歩き回っている。その後、旅行を終え、ジブラルタル空港を9時半に出て、11時半にリスボンに帰って来た。

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