第21話:クルーザー-ヨットを買う話

 2012年9月、三男の辰男が中学3年生になり。英語も、ポルトガル語もわかるようになり、数学、英語、理科、数学も、かなり良い成績だった。

 

 次回は2012年9月に、ヨットの実地試験を受けるため、毎週、実施試験の練習をして、9月の実地試験を迎え、今回は、確認しながら、慎重に運転していき、ほぼ、ノーミスで実地試験に合格した。


 この知らせを聞いた、ニコラスが、一緒に、船を探しにいこうと言い、彼が、いろんな業者に電話して、ポルトに、5年使用した中古の40フィートのカタマラン・

クルーザー・ヨットが25万ユーロで売りたいと言う人がいると、教えてくれた。


 30万ユーロ以下の中古艇は少ないと言い、来週、ポルトへ、行って見ようと言われて、一緒に交渉に行ってくれることになった。2012年10月2日土曜、朝8時に、ニコラスが、塚田守を迎えに来てくれ、車を飛ばして、3時間で、ポルトのヨットハーバーに行くと、持ち主の白髪の男が待っていて、挨拶し、握手をした。


 彼は、65歳、ヨット好きだったのだが、昨年、健康診断で心筋梗塞と診断され、手術して、家族から、心配だから、海に出るのを辞めてくれと言われて、残念だが船を手放すことにしたと言い、大事に使ってくれと、寂しげに語った。次に、値段交渉をしようと、ニコラスが言うと、25万ユーロで良いよと塚田守が言い、大事に使いますと言い、その男と握手すると、彼が、塚田を抱きしめ、頼んだぞと言った。


2012年9月、クルーザー購入後の資産が1.8億円と507万ユーロと5250万豪ドルになった。


 その後、ニコラスが、そのヨットを点検させて欲しいと言い、ヨットハーバー周辺を一回りして、エンジンや船体に傷や、問題が無いか、確認した。それを終了すると、クルーザーの持ち主の老人の目に涙を浮かべ、塚田と固い握手をした。


 そして、彼の電話番号と住所、名刺、銀行口座番号を聞いて、入金を約束して、来週土曜に、午後1時に、再会して、船を引き取る事にした。翌週の火曜日の朝、今日、入金すると伝え、確認できたら、電話して欲しいと言った。午後3時に、入金が確認されたと彼からの電話が入り、契約成立だと言い、2012年10月9日土曜、ヨットハーバーで会おうと言った。


 その日、朝8時に待ち合わせ、近くの地下鉄の駅から、リスボン駅に行き、特急列車で、11時過ぎに、着いて、ポルトのカフェで、昼食をとり、歩いて、20分で、ヨットハーバーに行くと、売り主の男が来ていて、にこやかな顔で、早めに来て、きれいにしておいたと言い、リスボンまでクルーザーヨットに乗って帰るんだろと、笑いながら言った。


 船の関係書類一式を渡してくれ、大事に使ってくれよなと、言って、握手して、キーを2つ、渡してくれた。その後、船に乗り込んで、最初は、ニコラスが、運転し、塚田が隣について、運転を見て、途中で変わる事にした。


 エンジンをかけて、ヨットハーバーを出る時に、遠ざかって、小さくなっても、ずっと、愛おしそうに、泣きながら、ボートを見送る彼の姿を見て、塚田の目にも涙がこみ上げてきた。

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