第8話:喫茶店の手伝い

 そして夜7時過ぎになり、食事してから,帰りましょうと、塚田守が言うと、

わかりましたと言い、美鈴さんが、店を片付けて、鍵をかけて、出てきた。

そして、近くのレストランに入って、子どの食べやすいものなど、夕飯を注文

して、食べて、支払いは、塚田守が、俺、株で儲けたから、払うよと言って、

支払った。


 何から何まで、本当にご迷惑かけて済みませんと、美鈴さんが言うので、私

は、迷惑だとは思ってませんからと、笑いながら言い、こんな、可愛い子供達

が、いるんだから、しっかり生きて、行きましょうねと、握手をして別れた。

 そうして塚田守は、実家に帰り、ゆっくり風呂に入りながら、俺も、考えて

見れば、もう今年で25歳か、結婚していても、いい年だなーと、いつになく

神妙な気持ちになった。


 今日の事件と言い、人生、一寸先は闇と言うからと、いろいろ思いを巡らせ

ていた。しかし、美鈴さんは、若く見えるなーと、思い出していた。翌日も、

8時半に起きて、ゆっくり新聞を見て、10時開店の、駅前の喫茶店「美鈴」

へ行くと、看板が上がり、営業を始めていた。おはようございますと、入ると、

昨日は、本当にお世話になりましたと言うので、堅苦しい、挨拶は、よせよと

照れた。


 それより、葬式が終わるまでは、付き合うから、心配するなと言った。その

うち、常連さん達が,数人、入ってきて、昨日のおばあさんから、すっかり

話を聞いた人が多く、入る度に、今回は、大変だったねーと言う,挨拶ばかり

だった。昨日の、おばあさんもやってきて、気を落とさないでねと言い、何か

袋を渡した。美鈴さんが、何ですかこれ、と言うと、心ばかりのお悔やみの

気持ちだよ、これから金銭的に困るから、足しにしてくれと言った。その話を

聞いて、数人が、私もと、渡しに来てくれた。これを見ていた美鈴さんは、

呆然として本当にありがとうございますと、深々と頭を下げた。すると、あの

おばあさんの1人が、「人はね、優しくされた人には、ちゃんと、お返しするもんだ、お返しもらえる人も、もらえない人も、それは、その人の心根一つなんだよ」と、諭すように言うと、美鈴さんは、号泣して、化粧がすっかり、

落ちてしまった。


 それを見ていた塚田守は、席を立ち、美鈴さんに、化粧を直してこいと言い、

直したら、モーニングセットを作ってと言い、僕は、珈琲と紅茶を入れてやる

からと笑いながら言った。そして、大きなヤカンにお湯を沸かし始めた。

 10分位して、化粧を直して、ちょと待ってて下さいよと言って、手早く、

 トーストを次々の焼いて、長女の和美さんがミルクとジャムとバターを用意

した。お湯が沸くと、小さな口の珈琲用のヤカンにお湯を入れて、ひいた珈琲

豆を濾紙の上に入れて、お湯を注ぎ、十分に珈琲にお湯を含ませ30秒後、

お湯を少し入れると、珈琲の粉が盛り上がって、良い珈琲の臭いが立ちこめ、

1分後に、勢いよく,お湯を回し入れて、下の珈琲フラスコがいっぱいになる

と、暖めた珈琲カップに珈琲を入れはじめた。


 並行して、紅茶用の硝子容器に、茶葉を入れて,十分に沸騰したお湯を入れ

ると、茶葉が,踊り出して、湯が茶褐色になって来て、1分半で、完成、次々

と、カップに入れて、お客さんの元に届けて、そのうちに、トーストが、完成

し、30分程で8人分のモーニングセットが出来た。

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