#2 魔人の遺産
それは、
「前にも言っていたな。統治するならお前でも良いんじゃないか? なんで俺なんだ。俺は魔人だぞ」
その疑問に「確かに人間の統治が好ましいんですが……現実的ではありません。魔法使いが居なくなった今、魔導士だけで全域を統治する事は出来ません。そこで、人間に友好的な魔人と同盟を結びたい――という訳なんですが、分かってくれましたか?」
「それが、俺か?」
「そうです。貴方は彼女から人権を奪いませんでした。それが貴方を信用する理由です」
「本当に良いのか?」
「はい」
「分かった。引き受けよう」
「ありがとうごさいます。ただ、一つだけ注意点があります」
「なんだ?」
「人権を軽んじた際、俺たちは貴方の敵に有り得ます。加えて、これは魔導士の総意ではありません。魔人を差別する者は前時代から今も存在し続けていますから」
「そんな事か」
「はい、そんな事です」
「注意しておく」
「お願いします」
「なんだ?」「なんですか?」
返答を聞き、言える準備は整ったが、受け入れられるか不安だ。
それでも黙っていた方が後々大きな問題に発展するだろうから、今、言わないと。
「すぅーはぁー」と深呼吸した俺は二人に「俺の中に
頷き、大和の問いに答えたら。
自分の魔女が他所の魔人に手を出された、と知れば不機嫌に成るのは当然かもしれない。
イライラしている
「もし、妊娠していたとしたら……産んで良い?」
ドキドキと鳴く心臓を聞きながら答えを待つ。
「なんで、産みたいんだ。それはお前を襲った子供だぞ」
その敵意は当然だろう。
でも、俺は「父親が誰であろうと母親は俺だ」そう答えた。
母親だから、俺の子供だから、それが俺の気持ちだ。
「好きにしろ」
投げやりな答えから不満を感じたが拒絶はされなかった。
それが嬉しかった。
でも、
それでも俺は子供が大切だ。
気に入らないと言わんばかりに俺の前から立ち去る
二人の姿を見送りながら、罪悪感を抱きながらも、子供が増える可能性に嬉しさを感じていた。
【おわり】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます